ソウル市内で最も有名なチムジルバンの一つ、ドラゴンヒルスパの話題。この記事では、次のような方に向けて書いていきます。
- ソウル市内で格安に宿泊したいけど、チムジルバンってどんなところ?
- ドラゴンヒルスパに行ってみたいけれど、利用方法などをもっと知りたい
- ドラゴンヒルスパについていろいろ調べたけれど、最近の情報が知りたい
- ドラゴンヒルスパって実際はどうなの?個人の口コミ的な話を聞きたい
以上のような方を対象にしています。そのいっぽう、汗蒸幕やアカスリなどの情報はありませんので、あしからず。
今回のソウル滞在は、2019年3月15日から18日まで。3泊ともチムジルバンに宿泊したのですが、初日の金曜日に利用したのがドラゴンヒルスパです。
ドラゴンヒルスパってどんなところ?
ドラゴンヒルスパは、24時間利用できる仮眠施設やお風呂を備えたサウナです。日本では「健康ランド」とか「クアハウス」、「スーパー銭湯」などと呼ばれていますが、最近では「温泉テーマパーク」とかそのまま「24時間営業の温泉施設」など、呼び名が多様になってきています。
いずれにせよ、それらとシステムや中身はほぼ一緒ですので、日本人であればかなり親しみやすい雰囲気でしょう。
ただ最初にお断りしておきますが、記事のタイトルにあるように、結論としては宿泊目的ではあまりおすすめできません。
韓国の観光情報について詳しく紹介している某サイトを見ていると、かなり良いイメージが膨らむでしょう。しかし実際のところは、一般的な日本人が要求する清潔レベルを満たしていないことが多く、特に女性にとってはやや不快感を抱くのではないかと思われます。
ちなみにこのブログでは、以前ソウル駅至近の「シロアムサウナ」を紹介させていただきました。今回も最終日に利用しましたが、やはりシロアムサウナ一択と言うのが個人的な感想です。そちらの記事もあわせてお読みください。
〇シロアムサウナの利用体験記事
シロアムサウナ|ソウル駅至近で仮眠もできる格安チムジルバンの使い方
〇こちらは、梨泰院ランドの紹介記事
【梨泰院ランド|ソウル】チムジルバンって宿泊にはどうなの?本音を話してみる
〇キレイでおススメ!江辺スパランドの紹介記事
江辺スパランド|とっても清潔でおススメ!韓国ソウルのチムジルバン。お泊りはどうなの?
ドラゴンヒルスパへの行き方
ドラゴンヒルスパは、その名前の通り「龍山駅」の隣にあります。龍山駅は、ソウル駅から地下鉄1号線で2駅の場所にあり、朝鮮半島南西部方面へ向かうKTXの始発駅となる大きな駅です。繁華街の明洞や梨泰院などからでも近いので、夜遊びをして23時を過ぎても、30分もかからずに行くことが出来ます。
駅を出たらすぐに到着できる距離なのが嬉しいですよね!
ドラゴンヒルスパの入館料金
ドラゴンヒルスパの入館料金は昼間と夜間、平日と週末では異なります。この記事では夜間に宿泊することを想定していますので、15,000ウォンを支払います(2019年3月現在)。
ドラゴンヒルスパの概要
ドラゴンヒルスパは建物が大きく、駐車場完備、汗蒸幕やお風呂はもちろんのこと、食堂や仮眠スペース、軽易な遊戯施設など長時間ゆっくりと過ごすための設備が備わっています。
そのため、日本を深夜出発で韓国に早朝到着するフライトで、お昼頃までチムジルバンで過ごしてゆっくりしたり、午前の早い時間に仁川空港から出国するために、早朝まで仮眠したりといった利用シーンにも便利でしょう。
キャリーケースはどうするの?
ちょっと余談になりますが、ホテルに宿泊しない場合、キャリーケースが「お荷物」になることがありますよね。
結論を言うと、基本的にはチムジルバンでも預かってもらえます。また、機内持ち込みサイズ程度なら、ドラゴンヒルスパのロッカーにもおそらく入るでしょう。いずれにせよドラゴンヒルスパは、受付の手前に外国人対応のカウンターがあるので、困ったことがあれば日本語で相談することができます。
ただし、基本的にはホテルのように入館前に預けてからどこかへ出かけることは出来ません。これは日本のスーパー銭湯などと同じ感覚で考えてもらえばわかりやすいと思います。うまく交渉すれば可能かもしれませんが、そもそも「無理なお願い」になるので難易度が高くなるでしょう。
こういった場合は駅のコインロッカーの利用がおすすめ。
ドラゴンヒルスパの隣にある龍山駅にもコインロッカーがあるので、こちらを利用してみてはいかがでしょうか?
ドラゴンヒルスパの利用方法
では次に、ドラゴンヒルスパの利用方法について説明していきます。基本的には、日本の健康ランドなどとほとんど変わらないので安心してください。
1.カウンターで入館料を支払い、ロッカーの鍵と館内着を受け取る
まず入口から館内に入って真っ直ぐ進むと、受付カウンターがあります。右手には外国人向けのインフォメーションデスクもありますので、入館前に何か困ったことがあれば、こちらに立ち寄ってから入館するといいでしょう。
受付カウンターでは入館料を支払い、番号が書かれたロッカーキー(シューズロッカーと共通)と館内着を受け取ります。外国人の利用が多いので、無理にコミュニケーションを取ろうとしなくても大丈夫。利用人数さえ伝われば、あとは入館料を手渡すだけで十分です。
館内着は半袖半ズボン。女性は色違いです。ちょっと厚手の生地なので、肌触りが良いとは言えません。
ポケットが付いているので、スマホを持ち歩くのに便利。なお、館内での買い物はロッカーキーで済ませ、退館時に精算するので基本的にキャッシュレスです。
2.ロッカーキーを貰って靴を預ける
受付を済ませたら、電車の改札口のようなゲートを通ります。一段、段差がありますのでここで靴を脱いで、ロッカーキーの番号と同じ番号のシューズロッカーに靴を入れます。
もちろん、靴を入れたら鍵を閉めましょう。一方向だけに僅かな突起がありますので、その方向を下に向けて挿し込んで回すと、鍵が開く仕組みです。
3.男性・女性専用エレベーターでそれぞれのロッカーがあるフロアへ
シューズロッカーに靴を入れたら、男性・女性それぞれのロッカールームがあるフロアへ移動します。移動には専用エレベータを使いますので、間違わないように。
なお、1階には食堂や汗蒸幕などがありますが、ロッカールームから別のエレベータを利用して下ります。最初に使用するこのエレベータは、入館時と退館時のみに利用します。
ロッカールームの手前には貴重品ロッカーもあるので安心
エレベータで男女別のフロアに到着すると、すぐに売店と貴重品専用ロッカーがあります。自分のロッカーにも鍵がかかりますが、貴重品は専用ロッカーに預けることが推奨されています。パスポートやクレジットカードなどはここに預けておくと、より安心です。
日本の公衆浴場でも貴重品ロッカーの利用を薦められますが、鍵のかかるロッカーで盗難の被害に遭った経験がある人はほとんどいないのでは?
私見では、貴重品ロッカーを利用しなくても全く問題はないかと思います。韓国の治安は基本的に日本と一緒と考えて良いでしょう。
4.ロッカールームに移動して荷物を入れたら全裸でお風呂に直行!
さて、ロッカールームに着いたら自分の鍵番号のロッカーを探し、荷物をしまいます。お風呂に入らず、すぐに館内着に着替えてもOK。でもそういう人は少数派だと思いますので、まずは全裸になってお風呂へ行きましょう。
お風呂までの距離がやや長く、売店の脇を通ります。タオルはお風呂の入り口付近に用意されていますので、お風呂までは完全にスッポンポンで歩いていきます。これはシロアムサウナも梨泰院ランドも一緒。韓国のチムジルバンは基本的にこういうスタイルなのでしょう。
なお、ロッカーは上下2段のどちらかが割り当てられますが、高さは1m程度あるので、ハンガーにコートをかけても余裕があるくらい。奥行きも十分にありますが、幅は30cmに満たない程度でしょうか。機内持ち込みサイズが25cm以下ですから、キャリーケースがギリギリ納まるくらいだと考えていいでしょう。
中にはハンガーも数本用意されていますよ。
お風呂のスタイルは日本とほとんど一緒、熱いお風呂が好きな人も満足
残念ながら浴室内の写真は紹介できませんが、基本的には日本のお風呂と一緒です。浴室内にはシャンプーやボディーソープの用意はないものの、備え付けの石鹸があります。
日本とちょっと変わっているところは、入り口にタオルと一緒にシャワータオルが用意されているところ。それとハミガキも用意されています。チムジルバンでは、身体を洗いながら歯も磨く習慣があるみたい。日本の公衆浴場でも浴室内で歯磨きをしている人をたまに見かけますが、不衛生な印象を受け、嫌悪感を持つ人も少なくないはず。ここは文化の違いでしょうか。
お風呂は38℃、39℃、42℃の3種類と、23℃の水風呂がありました。温度帯の異なるお風呂があるのは、シロアムサウナも梨泰院ランドも一緒。
水風呂は温めですが、プールのように大きいので、長めに浸ってアイシングに最適。42℃のやや熱めのお風呂もあるので、温いお風呂が嫌いな人でも満足できることでしょう。
残念ながら、浴室内の清掃が行き届いておらず、建物の経年劣化が加わって、ちょっと清潔感を欠く印象を受けるのが惜しいところ。
ただし、海外の旅先で大きなお風呂に入れるだけでも十分、とポジティブに考えられる人にはおすすめ。もちろん滞在中は、追加料金などは不要で何度でも入浴することができます。
入浴後の脱衣所にはタオルとドライヤー、綿棒、フェイスローションが用意されており、これらは自由に使うことができます。
タオルで身体を拭いたら、新しいタオルを貰ってロッカーに戻って館内着に着替え。男性は階段、女性はエレベータで6階の仮眠室へ。エレベータで1階へ下りると食堂や汗蒸幕など男女共有スペースがあります。
5.入浴後は館内着に着替えて1階の大広間へ
1階には汗蒸幕がある広間や売店、食堂などがあります。暖かい床で男女が一緒になってゴロゴロしている様子は、微笑ましい思うか、ドン引きするか分かれるところ。しっかりと寝たい人は6階の仮眠室のほうがいいでしょう。
食堂はガッツリ食べたい人向け。深夜でもOKでビールも飲める
エレベータを1階まで下りて、売店の奥には食堂スペースがあります。入り口付近にも写真付きのメニュー看板があるので、ゆっくり品定めをしてから入店することが可能。カウンターで注文し、出来上がったらセルフで受け取るシステムです。
メニュー表にはすべて番号が振られているので、番号で注文してもいいですし、指差し注文でも大丈夫。お店の人も外国人だと認識した瞬間、つい身構えてしまいがちですが、こちらから笑顔で接すると場が和んでコミュニケーションがスムーズにいきますよ。
お会計はもちろんキャッシュレス。ロッカーキーをかざすだけで大丈夫です。
注文したお料理が出来上がったらマイクで呼ばれますが、朝鮮語を聞き取れないと、自分が呼ばれていることすら分からないので、カウンターの近くで待っていたほうがいいでしょう。店員さんが笑顔で合図してくれますよ。外国人旅行者が多いので、店員さんも慣れたもの。
お水もセルフで。キッチンの反対側、客席後方に用意されています。また、ビールも食堂で注文することができます。缶ビールは国産のみではなく、中国の青島ビールやアサヒスーパードライもありますが、お値段はやや高め。
食事が済んだら、食器をセルフで返却口に持っていきましょう。
売店では定番のゆで卵やシッケも注文できる
売店ではスナック、カップラーメンやドリンクなども注文できます。売店前にもテーブルと椅子が用意されているので、定番の茹で卵を食べながら、シッケを飲んでいるカップルや仲良しグループがたくさん。
館内の1階部分でフリーWiFiを使えるのが嬉しい
1階ではフリーWiFiが使えます。広間の入り口付近ではかなり調子が良くてサクサク動作します。SIMカードではなく、ポケットWiFiで韓国旅行をしている方にはとても便利。館内でポケットWiFiを持ち歩かなくてもいいですからね。
ただ、充電はちょっと困るかも。チムジルバンでは基本的にスマホ充電用のロッカーに入れて充電する方式なので、お風呂に入っているときや寝ているときに充電を済ませましょう。モバイルバッテリーを充電しておき、日中の移動中にスマホを充電するほうがいいかも。
ドラゴンヒルスパの良いところ
ひと通り館内の紹介をしたところで、ドラゴンヒルスパの良いところについていくつか挙げてみます。
1.駅から近いので、利便性がものすごく良い
私たち外国人にとって、ドラゴンヒルスパの最もいいところは、駅から近くてわかりやすいところ。特に、キャリーケースなどの大きな荷物を持っているときや、雨の日は本当に助かります。
また、ソウルは11月から3月くらいまで普通に寒いので、冬は駅からほとんど歩かなくていいのは助かります。前回紹介したシロアムサウナも駅から近いのですが、ドラゴンヒルスパほど近くではありません。
2.館内はすべてキャッシュレス。ロッカーキーをかざすだけ!
もう一つ、ドラゴンヒルスパのいいところを挙げるならば、館内はキャッシュレスで過ごせるところ。食事も売店も何か購入するときには、端末にロッカーキーをかざすだけ。コンビニで電子マネーを使うようなイメージです。
ロッカーキーを受付で返納するときに、館内で利用した分をまとめて精算することができます。現金を持ち歩かなくて良いので安心ですね。
ドラゴンヒルスパが宿泊場所として適さない理由
さて、ここまでドラゴンヒルスパについて色々と紹介してきました。この記事の本題になりますが、「なぜ宿泊場所としておすすめしないか」という点についてお話していきます。
1.清潔レベルが日本人が求めるクオリティを満たさない
韓国は先進国として知られており、平均的な生活水準が高く、日本人にとっても国内にいるのとほとんど変わらないと感じることでしょう。とは言え、いろんな面でピンキリなのは日本と同様なので、当たりはずれはもちろんあります。
ドラゴンヒルスパに関して言えば、残念ながら建物の経年劣化や清掃が行き届いておらず、公衆浴場としてはやや清潔感を欠く印象を受けると思います。これは、決してこの施設が不衛生だと言うわけではなく、平均的な日本人が要求する清潔レベルが高すぎるために起こる「ギャップ」ではないかと思うのです。
実際に、ドラゴンヒルスパに関する多くの日本人の口コミは、あまり良くない印象。それだけ期待が大きく、要求レベルも高いからだと思います。特に若い世代の女性が初めて利用する場合は、その辺を割り切って訪れた方が良いでしょう。
2.仮眠スペースが個人別に仕切られていない
ドラゴンヒルスパの仮眠室は男女別の大広間になっていて、100人以上が余裕で寝ることができます。ここの最大の欠点は個人別に仕切られていないという点です。「えっ?」と驚く方がいるかもしれませんが、韓国のチムジルバンは、カプセルホテルのように仮眠スペースが仕切られている施設が多く、ドラゴンヒルスパのような大広間タイプのほうが少数派なのです。
広間には簡易的なマットと枕が敷き詰められており、部屋も暖かいのでそのままゴロンと眠ることができます。ただ、それゆえの欠点がいくつかあります。
- 深夜になればなるほど人数が増えるので、他人のいびきや歯ぎしりの音がうるさい
- 隣の人との間隔が狭いので、寝相が悪い人が隣にいると体が触れることがある
- 周囲に配慮しない人が多いので、深夜でもスマホの着信音や通話が絶えず、早朝4時頃からはアラームの音が頻繁に鳴り始める
- マットに厚みがないので、寝心地が非常に悪い
- 真っ暗なので、同性の身体を触ることを目的に利用する人がいる
想像していただくと、かなり悪条件だと思われるかもしれません。要するに、チムジルバンを宿泊目的で快適に使うというのは、これらの悪条件の中でも平気で眠れることを意味します。もちろんこれは男性用の仮眠室の状況なので、女性用の仮眠室は静かに眠れるかもしれませんし、私が利用したのが金曜日だったためかもしれません。ただ、いずれにせよ神経質な人には向かないでしょう。
今回、私は3泊4日のすべてをチムジルバンで宿泊しましたが、やはり疲れが残ります。帰国して自宅の布団で眠るのがこんなに快適なんだと思ったくらい。
こちらは、他のチムジルバンや日本の健康ランドでもよく見られる光景ですが、わざわざ通路にマットを敷いて寝る人がいます。
ソウル市内には、チムジルバンと同じ料金で宿泊できるドミトリータイプのゲストハウスもたくさんありますし、1泊5,000円程度で立派なビジネスホテルにも泊まることができます。
それでもチムジルバンを宿泊先として使うというのは、
- 汗蒸幕やお風呂を利用し、しかも格安で泊まりたい
- 宿泊場所にとらわれずに柔軟なスケジュールで旅をしたい
- 深夜到着、早朝出発など、本当の意味での仮眠目的
こういったニーズに限られるような気がします。
【結論】チムジルバンでの宿泊はシロアムサウナ一択
最後になりますが、この記事では、
- ドラゴンヒルスパの概要と利用方法
- ドラゴンヒルスパの良いところ
- ドラゴンヒルスパが宿泊目的ではおすすめできない理由
について書いてきました。それでもチムジルバンを宿泊目的で使いたい、と考えている人もいることでしょう。
そんな方には、ソウル駅の裏手にあるシロアムサウナがおすすめです。シロアムサウナは、ドラゴンヒルスパに比べて2,000ウォンほど料金は高めですが、清潔さと仮眠室の快適さは格段に優れています。
私はシロアムサウナをこれまで3回ほど利用していますが、これからも継続的に利用しますし、多くの人に奨めていこうと思います。
もちろん、もっと快適なチムジルバンを発掘したいので、他のチムジルバンにもチャレンジしてみると思いますが、現状ではシロアムサウナが最もおすすめのチムジルバン。立地も最高ですので、ドラゴンヒルスパと比較して選ぶのでしたら、迷わずシロアムサウナにすべきです。
最後までお読みいただきありがとうございました。