こんにちは!コモ子@やまたび北海道(@ComocoHk)です。
今日はマレーシア最高峰、ボルネオ島にあるキナバル山の話題。
2019年4月上旬に個人手配でスケジュールを組み、最高の天気なのかで山頂へ登ることができました。
このエントリーでは、これからキナバル山へ行く予定の方だけではなく、キナバル山に興味があるけれど、具体的な行動がなかなか起こせない方にも、計画の段取りの参考になるように記事を書いてみました。
多くの方に海外登山に目を向けてもらい、実際に登って素晴らしい体験としてもらいたいと思います。
なお、当時の旅行記はこちら。
キナバル山(標高4,095m)旅行記|札幌発着3泊4日、10万円で登れちゃうマレーシアの最高峰
さて、本記事は3部にわたって構成されています。その内容は次の通りです。
- キナバル登山【概要】…キナバル登山に興味があるけれど、よくわからないという方へ向けた内容
- キナバル登山【準備編】…キナバル山に実際に登ってみよう、というアクションを起こそうとしている方向け
- キナバル登山【現地編】…キナバル登山がすでに決まっている方向け
この記事はかなりボリュームがありますが、みなさんのお役に立てるよう力を入れて書きました。ぜひご活用ください。
第2日目の山頂アタックについては下記にて。
キナバル登山【概要】
キナバル山はマレーシアの首都があるマレー半島部ではなく、東部のボルネオ島(インドネシア語でカリマンタン島)の北東部に位置し、標高は4,095m。
ボルネオ島の最高峰であると同時に、マレーシアの最高峰でもあります。
東南アジアの最高峰はミャンマーのカカボラジ山で標高5,881m。オセアニアの最高峰は7大陸最高峰の一つ、カルステンツピラミッド(プンチャックジャヤ)で標高4,884m。
キナバル山はそれらに比べると標高は低いものの、世界遺産に登録されており、ピークに立つことが比較的容易なことから、一般登山者には知名度が抜群に高く、とっても人気がある山です。
登山の玄関口となる街はマレーシアサバ州のコタキナバル。
人口は約45万人の都会でコタキナバル国際空港があります。
日本との直行便は、マレーシア航空と日本航空のコードシェア便があります。成田空港から約7時間のフライトで、キナバル登山の前日に到着することが出来ます。
キナバル山ってどんな山?
キナバル山は山域一帯が自然公園となっており、世界遺産にも登録されています。
ボルネオ島には北東から南西にかけて山々が連なっていて、概ね山脈の北側がマレーシア(一部にブルネイ)、南側がインドネシアの領土で、概ねこの山脈によって分け隔てられています。
その中でもキナバル山は独立峰のような存在で、コタキナバルの市街地からでも屹立したその姿を確認することができます。
基本的な登山スケジュールは、標高1,866mのティンポホンゲートから登山を開始し、標高3,273mのラバンラタ小屋で1泊。
翌日の深夜から標高4,095mの山頂をアタックし、その日のうちに下山をするのが一般的です。
登山口からの標高差は2,229m、往復およそ16kmの道のりです。
日本国内で山歩きを趣味としている人にとっては、危険個所と感じるところは特にないでしょう。
山頂まではよく整備された登山道が続き、中腹のラバンラタ小屋までの道のりは、いたって普通のハイキングコース。
ラバンラタ小屋から上部は急峻ですが、階段や一部にロープが設置された岩場が中心になります。
現地の気候やキナバル登山に適するシーズンは?
麓のコタキナバルの気候は年中温暖で、日中は30℃を上回ります。
1日の最低気温も20℃を下回るようなことはなく、シンガポール、バンコク、ホーチミンシティなどと同じように考えて大丈夫です。
ただし小屋より上部は標高があり、さらに深夜・早朝の登山になるので、防寒対策が必要。とは言っても風雨が強くなければ、凍えるほど寒いということはないでしょう。
雨量は1年を通じて多いようですが、1月~4月は雨が少なめでこの時期は乾季に当たるとのこと。天候を優先して考えた場合、キナバル登山は年末年始の休暇や春休みシーズンがねらい目でしょう。
また、年末年始や春節時期を除けば、航空会社の閑散期となるため、比較的割安な料金で渡航することが可能。
年末年始は各国の休日が、春節は中華圏の人々が、今回私が訪れた4月上旬はタイの祝日となるため、人の往来も多くて予約の集中が予想されます。ただし、ラバンラタ小屋は完全予約制なので、事前に予約さえ取れれば大丈夫。
キナバル登山のグレードはどのくらい?
実際に登ってみたいと思っても「私でも登れるかしら?」という不安が付きもの。そこで、具体的にどのくらいのレベルなのかを考えてみましょう。
私の山歩きの経験で言えば、日本国内で普段から山歩きをしている人ならば、まったく問題なく登れるでしょう。正直なところ、ほとんど心配要りません。
ただし、キナバル山は標高が高いので高山病の懸念があります。事前に富士山や北アルプスなどでトレーニングをするのもいいかもしれませんが、高山病対策のためにわざわざ登っておく必要はないと思います。
むしろ体力を付けるために、低山でもいいので定期的に登っておいた方がいいでしょう。
装備も特段変わったものを準備する必要はありません。むしろ必要最小限の荷物で身体でへの負荷を減らした方が良いでしょう。
キナバル登山【準備編】
さて続いては、キナバル山【準備編】と題して、具体的な手配について説明していきます。
旅のスタイルや予算によって、それぞれベストの方法が異なりますので、あくまでもご参考までに。
キナバル登山は一人でも申し込める!?
キナバル登山は一人では申し込めないと思っている人がいて、実際に私たちもそうだったのですが、決してそんなことはありません。
日本人でも一人で参加している人はたくさんいます。
ただし、一人で申し込むと割高になります。まずは、その理由をお話していきます。
キナバル登山には現地ガイドの同行が必要
キナバルの登山には、現地ガイドの同行が義務化されています。これには登山者の安全や公園内の保全、維持管理といった保守だけではなく、雇用の側面もあるのかもしれません。
ガイドは1パーティにつき1名が付くため(パーティの最大人数は5名までとのこと)、たとえ1名で参加しても必ず1名のガイドが付きます。
ガイド1名あたりにかかる費用は固定なので、参加人数が多ければ参加1名あたりのコストを下げられます。逆に1名で参加する場合は、自分一人でガイド料を支払わなければならないため割高になるというわけです。
なお、下山が16時以降になった場合は、1時間当たりRM15の延長料金がかかるとのこと。
*2019年4月現在、1RMはおよそ27円です。
それと、マレーシアにはチップの習慣がないと言われていますが、ガイドさんには参加者1名あたり、30RM程度のチップを渡すのが通例になっているようです。
日本でもガイドさんに山小屋でビールやコーヒーをご馳走したり、送迎に際して寸志を渡したりするのと同じような感覚だと思います。
日本にはチップの習慣はありませんが、何かを貰ったらお返しするというような感覚と同じように考えていいと思ます。
ガイドさんたちは、各国からの登山者を案内しています。
私たち一人一人の振る舞いが、日本人、日本という国のイメージに繋がり、諸外国と比較されることがあるかもしれません。
また、これからも日本人が彼らのお世話になり続けることでしょう。
チップは必須ではないものの、アジアの中の先進国の一員として、また次にお世話になるであろう日本人のためという気持ちを込めて、ちょっとしたお礼程度に渡すがいいのかもしれません。もちろん、第一義的には「感謝の気持ち」です。
*あくまでも私見です。
キナバル登山に必要な日程は?
次にキナバル登山に必要な日程について説明します。
仕事勤めがある現役世代が休暇を取得してキナバル登山をする場合でも、最低4日間のお休みが必要。
まずは、基本的なスケジュールです。
日 程 | 概 要 |
1日目 |
日本からコタキナバルへの移動(コタキナバル市内泊) *直行便であっても、経由便であっても、登山日初日に到着することはほぼ不可能です。 |
2日目 |
コタキナバル市内から公園本部への移動、登山初日(ラバンラタ小屋泊) *前日に公園本部付近のホテルに宿泊することも可能ですが、それほど意味がないかもしれません。 |
3日目 |
キナバル山頂往復、下山。コタキナバル市内へ移動して解散。(コタキナバル市内泊) *当日のフライトで帰国することも可能ですが、到着は翌日になります。 |
4日目 | 日本へ帰国 |
●キナバル登山以外は割愛、最低日数で登りたい人には
上の基本スケジュールを前提に、お仕事の都合などで「余裕を持ったスケジュールが組めない」という方向けのプランを紹介します。私はこのパターンで行動したので、メリットとデメリットをそれぞれ説明します。
日 程 | 概 要 |
1日目 | 日本からコタキナバルへのフライト (コタキナバル市内泊) |
2日目 |
登山初日(ラバンラタ小屋泊) |
3日目 | 山頂往復後、下山。深夜便で帰国 |
4日目 | 早朝に日本到着。午前に帰宅 |
帰りににコタキナバルから直行便を利用する場合は、日付を跨いで深夜の出発になります。
経由便を利用する場合は、コタキナバル空港をどんなに早くても16時以降に出発することになるでしょう。
私は19時出発のフライトで、クアラルンプールで乗換えて新千歳空港へ深夜便で帰りました。
まずこのパターンの良いところですが、
- 最終日は早く帰宅できるので、後片付けを済ませて早めに就寝できる。これにより、翌日からの出社にはあまり影響しない。
- 下山後に現地での宿泊を伴わないので、宿泊費を節約できる。
一方で、それなりのデメリットがあることも付け加えます。
- 下山後のフライトなので、スケジュールがタイトで気持ちに余裕がない。
- 場合によっては空港まで別料金を支払い、専用車で空港から送迎してもらわないとならない。専用車の手配はRM200と高めなので、「時間をお金で買う」という印象
- 空港ラウンジを利用できない人は、帰国までシャワーすら浴びることができない。
- せっかく景勝地のボルネオ島に来たのに、他の魅力を少しも楽しむことができない。
というようなことが挙げられます。特に、最後のポイントは大きいです。ボルネオ島にはたくさんの魅力がありますからね。
●バランス重視。おススメのスケジュールはこちら
あくまでも私見になりますが、これから行かれる方には次のスケジュールをお奨めしたいと思います。移動、観光、登山のそれぞれを1日単位で完結することができるので、慌ただしさがありません。
日 程 | 概 要 |
1日目 | 日本からコタキナバルへのフライト (コタキナバル市内泊) |
2日目 | 市内観光、ツアー参加など(コタキナバル市内泊) |
3日目 | 登山初日(ラバンラタ小屋泊) |
4日目 | 山頂往復後、下山(コタキナバル市内泊) |
5日目 | 午前のフライトで帰国 |
このスケジュールは観光と登山の両方を楽しむことができ、バランスが取れた日程になっています。お仕事がある方でも、5日間のお休みを取得できれば大丈夫。
初日と2日目の滞在ホテルを一緒にしておけば、荷物が多くても安心。登山中は、公園本部で不要な荷物を預けることも可能です(後述)。
帰国は経由便になるので、クアラルンプールもしくは第3国でのトランジットが必要になります。6日目の帰国でも構わない場合は、5日目は一日中遊んで、直行便で帰国することもできますが、ホテルチェックアウト後の荷物について一考の余地がありそうです。
なお、LCCで乗り継ぎされる方には、後ほど具体的な接続先を説明します。
このパターンでは日本国内での乗換えや陸路での移動が不要であれば、帰国後の夕方に帰宅することが可能です。4日目のホテルで軽く洗濯を済ませ、道具も手入れしておけば、帰国後の後片付けもかなり楽になります。
山中では1泊?自信がない場合は2泊がいいの?
次に悩むのが、山中で1泊するか2泊するかという問題。具体例を挙げるならば、
- 60代半ばを超えて体力の衰えを感じるシニア世代
- 日本国内でもほとんど登山経験がないような方(他のスポーツや職業、若さによっては問題ありませんが、基本的には推奨しません。)
- 高山病に対してとっても心配性な方
こういう方々が山中2泊について、真剣に検討されるのではないかと思います。
でも結論を言うと、一般的な登山者であれば1泊2日がおすすめです。これは多くの方がブログ等で説明している通り。
普段から山歩きを趣味としているような方であれば、1泊2日でも時間を持て余すくらいだと思います。
ただしラバンラタ小屋は、食事や寝泊りにはまったく心配がなく、しかもとっても快適な空間なので、時間と予算に余裕があって、なおかつ体力的に不安を感じるのであれば、2泊しても良いかもしれません。
例えるならば、北アルプスや南アルプスの山々において、山中1泊2日が標準のコースで2泊3日するようなイメージです。
一方で、高度順化を目的に2泊する意味はほとんどないものと私は考えています。ラバンラタ小屋までゆっくり登り、水分と睡眠をしっかり取って体調を整えれば、たいてい翌日は元気に登れるでしょう。
ただし考え方によっては、健脚者でもあっても2泊3日が良い場合もあります。具体例を挙げると、
- ピークを踏むことだけが目的ではなく、キナバル山を深く幅広く楽しみたい方。
- 悪天候など天候のリスクを考慮して、予備日を設けたい方。
このような前向きな考え方で2泊以上することもあるでしょう。これは十分検討に値すると思います。
これらの考え方をまとめたものが次の表です。あくまでも私見の範疇を超えませんが、お悩みの方にとって参考になれば幸いです。
対象とする人 | 1泊2日 | 2泊以上 |
体力に自信がない *国内の山歩きでも標準タイムを大幅に時間がかかる |
〇 | △ |
高山病が心配 |
〇 | × |
キナバル山を深く幅広く楽しみたい | △ | ◎ |
天候リスクを分散させたい(再チャレンジが難しい) | △ | 〇 |
国内でも登山経験がほとんどない *やめた方が良いでしょう |
× | △ |
キナバル登山に必要な予算は?
次にキナバル登山に必要な予算について説明していきます。
予算を組むにあたり、おおむね次の4項目を検討することになります。
- 航空券
- コタキナバル宿泊先
- ラバンラタ小屋宿泊費
- 公園本部に支払う費用(ガイド料、送迎、入山料、保険料)
1.日本の旅行会社で手配する
まずは、日本の旅行会社で手配をお願いする方法です。費用が最も高くなりますが、最大のメリットはすべてを代行してくれることです。
日本の旅行会社で募集しているツアーは、4日間で概ね16万円台~、5日間、6日間で20万円台~とかなり割高になります。ただし、往復のフライトがLCCではないので、手荷物の許容量も増えますし、機内での快適度も上がります。
なお、内容は個人旅行になりますので、自宅を出発してから帰宅までの間は、基本的に自分自身で計画に沿った行動をすることになります。
そのため、出国手続きや現地到着後の行動に関して不安があり、添乗員が必要な場合はさらに割高なツアーに申し込むことになります。
国内の登山ガイドさんが同行するツアーの場合は、さらに割高になりますが、気心が知れたガイドさんと登るのは、お金に換えられない安心感があるものです。
なお、旅行会社で手配した場合には、次のメリットがあることを付け加えます。
標準旅行業約款では、旅程保証や特別補償規定というものがあり、運送や宿泊に際して変更が生じた場合に変更補償金が支払わる制度があります。
また、身体や手荷物に一定の損害を被ったときに、補償金や見舞金が支払われる制度もあります。
また、何らかの理由で帰国できない理由が生じた場合に帰国便の手配をしてくれたり、トラブルに見舞われた場合に対応をしてくれるなど、いざという時に旅行会社は力になってくるので頼もしいところです。
2.現地の旅行会社で手配する
次に紹介するのが、現地の旅行会社で手配する方法です。具体的には次の業務を代行、手配してもらうことができます。
- ラバンラタ小屋の仮押えと入金後の予約、決済代行業務
- 公園本部への入山手続き代行と決済代行業務
- 市内からの往復送迎
- 登頂証明書の発行
- 詳細な日程表の発行と、事前の問い合わせ等への対応
煩雑と思われるこれらの手続きや決済を、事前に日本からウェブだけで日本語で申し込み、数度のメールのやり取りとクレジットカードでの決済で、すべてお任せすることができます。
しかも現地日本人スタッフが対応してくれるので、言葉の心配も不要です。
一方で、それ以外の部分、例えば航空券の手配やコタキナバル市内の宿泊先の予約といった、キナバル登山以外の部分に関しては、すべて自分で手配する必要があります。
ちなみに、私たちはボルネオトレイルさんという現地の旅行会社のウェブサイトから申し込みました。こちらはとても評判が良く、親切で安心できます。
2名参加の場合、ツアー代金は一人当たり1,980RM(2018年12月の申し込み当時。1RM=27円で計算した場合、手数料込みでおよそ55,000円)。
さらに空港まで別便で送迎してもらったので料金追加分が200RM加わります。
なお、クレジットカードでの支払いには手数料3%が課せられるため、ツアー代金÷0.97が実際の支払額になります。もちろん、海外送金での支払いも可能です。
*海外での多額のクレジットカード決済は、カード会社によっては不正利用と判断してセキュリティがかかる場合があります。その場合、カード会社から電話がありますので、当日限りの解除をします。
3.すべて自分で手配することも可能だけど、、、
キナバル登山は、すべて自分で手配することも可能です。RIEさんのブログ「Lトラベラー」内に「キナバル山/個人で申し込む方法・費用」という記事があり、具体的な費用とラバンラタ小屋の申し込み手順が解説されています。
個人ですべて手配したいという方はご参考ください。
こちらの記事によると、個人手配の場合は1,252RMで済ませられるということですので、何よりも費用が優先される場合は、個人で手配することも選択肢に入るでしょう。
日本円にして20,000円強を削ることが可能になりそうです。
●キナバル登山|手配手段別の予算のまとめ
最後にこれらをまとめた表がこちらになります。なお、費用の目安ですが、航空券を往復4万円程度で試算しました。それを加味してご参考下さい。
手配方法 | 費用の目安 | メリット |
日本国内の旅行会社で手配する |
16万円~ | すべてお任せ |
現地旅行会社で手配する |
10万円~ |
簡便、比較的安い |
すべて自分で手配する | 7万円~ | とにかく安い |
日本からコタキナバルへのアクセス方法(格安編)
続いて航空券の手配についてお話します。前述の通り、コタキナバルへの直行便は成田空港から。2019年4月現在、マレーシア航空と日本航空のコードシェア便のみになります。
ここではこのブログらしく、LCCを駆使して日本からコタキナバルへ格安で移動する方法について考えていきます。
LCCの選択肢がない方は、読み飛ばしてください。
1.クアラルンプールを経由するパターン(エアアジアXでクアラルンプールへ、エアアジアでコタキナバルへ)
マレーシアと言えば、LCCの代表格「エアアジア」の本拠地。首都クアラルンプールと日本との直行便は、羽田、関西、中部、新千歳、福岡とを結んでいます。このパターンのいいところは次の4つです。
- クアラルンプールへ日本各地から直行便がある
- クアラルンプールからコタキナバルへのフライト数が多い
- 往復4万円程度の予算でチケットを入手できる
- 日本ークアラルンプール間の機材がワイドボディなので、比較的ゆったりしている
一見メリットが多いように感じますが、もちろんデメリットもあります。
それは、同じマレーシア国内と言うことでクアラルンプールを経由していますが、地図を見ると分かる通り、実はかなり遠回りになることです。
2.台北を経由するパターン(LCC各社で台北へ、エアアジアでコタキナバルへ)
台北からもコタキナバルへの直行便があります。
運航されているのはエアアジア1社のみで、1日1便ということもあって利便性はあまり良くありません。
ただし、日本国内と台北との間では、日系を始めとするLCC各社のフライトが多いので、格安でチケットを手配できる可能性が高いでしょう。
3.ソウルを経由するパターン(LCC各社でソウルへ、ジンエアーまたはチェジュ航空でコタキナバルへ)
韓国系のLCC「ジンエアー」や「チェジュ航空」では、ソウルからコタキナバルへ就航しており、工夫次第ではかなり格安なチケットを購入できると思います。
もちろん、日本国内からソウルへのフライトも便数が多くて割安なので、スケジュールも組みやすいでしょう。やや遠回りになるところと、機材がナローボディなので窮屈かも。
4.マニラを経由するパターン(ジェットスターまたはセブパシでマニラへ、セブパシまたはエアアジアでコタキナバルへ)
実は、地図上で最も近い経由地はフィリピンのマニラで、マニラからコタキナバルへは約2時間強のフライトで到着します。
関東にお住いの方であれば、フライトの時間が短く格安なチケットを入手できるのは、マニラ経由の可能性が高いです。成田ーマニラーコタキナバル往復で3万円以下も可能。
マニラからはセブパシフィック航空がコタキナバルへ運航していますが、深夜便でしかも隔日運行なのでフライト数は少なめ。
一方、エアアジアは午前のフライトなので便利です。
ただし、マニラのニノイアキノ国際空港ターミナルは、第1ターミナルから第4ターミナルまであって、ターミナル間の移動にはコツが必要です。
LCCの場合、入国手続きが必要になりますから、海外渡航経験が少ない方にはあまりおすすめしないルートです。詳しくは下記の記事から。
【マニラ】出国時に銃弾を入れられるのは過去の話?空港での夜明かし、ターミナル間の移動、シャトルバス、交通系ICカードの購入方法など
ジェットスターで成田からマニラに到着した場合、深夜に第1ターミナルから第3ターミナルに移動しなくてはならず、ちょっと不安になるかも。
5.香港を経由するパターン(LCC各社で香港へ、エアアジアでコタキナバルへ)
いい加減飽きてきたかもしれませんが、香港を経由する方法もあります。ただ、香港は人気の都市なので、チケットはあまり安くならないでしょう。空港諸税も高めです。
そういった意味においては上海経由も選択肢になりますが、これも一緒かも。
キナバル山登山に必要な持ち物について
キナバル山の登山を計画しているほとんどの人は、高山病と山頂部の寒さについて不安を感じているかと思います。
キナバル山は4,000m峰ではありますが、富士山より少々高い程度。あくまでも主観的な見解ですが、感覚的に真夏の富士山のご来光登山と考えておけばいいでしょう。
そのため防寒対策が必要になるのは、山頂付近で停滞している時間と、ラバンラタ小屋までの下山時だけで大丈夫です。
具体的には、雨具を1枚羽織る程度で十分で、場合によっては中にフリースやダウンを着用すれば良いでしょう。
●必ず必要なものは意外と少ない!?
ラバンラタ小屋まで行程と、それより上部の行程とでは、必要になるものが異なります。なぜなら、
- 初日は標高が低く日中の行動
- 2日目は標高が高く夜間・早朝の行動
というのがその理由です。極端な言い方をしますと、前者は曇り空のハイキング、後者は快晴時の富士山ご来光登山、そのような感じです。
雨具のお話は後述しますが、ラバンラタ小屋より下ではポンチョや折りたたみ傘が便利なこともあり、頂上では上下セパレートタイプのほうがいいでしょう。
そのほか、ヘッドライト、ザックのレインカバー、手袋(防水のものも)、夜間・早朝・強風時に耳まで被うことができる帽子があると良いでしょう。
睡眠時のためのマスク、モバイルバッテリー(通信が圏外になりがちなので、スマホは機内モードにしておいたほうが無難です)、ケミカルライト、ティッシュペーパー、早朝撮影用にカメラの三脚などがあると便利です。タオルも水で絞って体を拭けば、ラバンラタ小屋でサッパリして眠れます。
逆に不要なものですが、ラバンラタ小屋にはスリッパが備え付けなので、これは必要ありません。それとストックラバンラタ小屋からの下山時以外は不要でしょう。長雨の可能性も低いのでスパッツも不要かと。
ここまで私見を書きましたが、必要・不要の判断は個人によってそれぞれで異なりますので、あくまでもみなさんのご判断にお任せします。
キナバル登山【現地編】第1日目
さて、前置きが長くなりましたが、いよいよここからが【現地編】です。すでにキナバル登山が決まっている方に向けて、実際に役立つような情報を詳しく紹介していきます。
まずはじめに、登山当日にコタキナバル市内から出発して公園本部で受付を済ませ、ラバンラタ小屋までの行程【第1日目】の様子をお伝えします。
なおここで紹介する内容は、現地の旅行会社で手配した場合についての説明になります。
市内からキナバル公園本部へのアクセス方法
私たちが現地での手配業務をお願いした「ボルネオトレイル」さんでは、登山当日の朝、私たちの宿泊先まで迎えに来てもらうことができました。
送迎は他の登山客との混載車になりますので、乗車するそれぞれのパーティが宿泊するホテルまで行き、順番にピックアップしていく感じです。
ピックアップの時間は、事前にメールにて知らせてもらえますが、概ね朝7時頃と考えて良さそうです。
コタキナバル市内から公園本部までの移動時間はおよそ1時間30分程度となり、かなり長距離の移動となります。はじめはコタキナバル市内の幅広い道路を走りますが、しだいにカーブが連続する片側1車線の山道となります。車酔いが心配な方はちょっと注意が必要かも。
また車内が暑くなることもありますので、登山靴ではなくサンダルを履き、半袖1枚でリラックスしていきましょう。
キナバル公園本部での受付
キナバル公園本部に到着すると、いったん下車をして入山手続きを済ませます。
前述のとおり、個人で手配した場合はすべての手続きや現地での支払いが必要になるようですが、現地の旅行会社で手配した場合は、INDEMNITY FORMへのサインのみで、その他はすべてを代行してもらうことができます。
なお、登山に不要な荷物をクロークに預ける場合は、別途RM12を支払って手続きをします。また、必要な荷物をポーターさんに持ってもらう場合も、10㎏RM130の支払いと手続きが必要になります。
入山手続きが完了すると、各自のIDタグと昼食のお弁当が渡されます。ドライバーさんが手続きを代行してくれいる間、少々時間がありますので、この時間を利用して登山靴に履き替えたり、荷物の最終チェックをしたりして準備を済ませておくと良いでしょう。
同行ガイドと顔合わせとティンポホンゲートへの移動
公園本部でこれらの手続きが完了すると、再びシャトルバスに乗車して登山口となるティンポホンゲートまで移動します。シャトルバスには同行するガイドさんも乗車しますので、ここで自己紹介をしましょう。
実質的な登山口となるティンポホンゲートまでは約10分程度。シャトルバスから下車をしたら、ゲートにある概念図を利用して簡単なコース説明が行われます。ガイドさんから英語で昼食の場所と所要時間など、標準的な時間について説明があります。
その後はIDタグの照会があります。ゲートには向かって左側に詰所があり、IDタグを提示して登山許可と通過の確認を受けます。IDタグは行動中、常に首からぶら下げておきます。ラバンラタ小屋でのチェックイン時、アタック当日のゲート通過時、ティンポホンゲートへの下山時など、要所要所でチェックが行われますので、失くさないように注意しましょう。
ちなみにティンポホンゲートの向かって右側にはキオスクがあり、ここでも飲料や菓子類などを購入することが出来ます。
ティンポホンゲートからいよいよ登山開始
さて、ティンポホンゲートでIDタグの確認を受けたら、いよいよ登山開始となります。
ティンポホンゲートからいったん坂道を下り、下りきったところから登りとなります。実はここが復路で最大の登り返しになる場面。ティンポホンゲートが見えて、やっとゴールと思ったら階段の登り返しが待っています、、、
ここからラバンラタ小屋までの道のりは約6km、高低差は1,414mです。普段から山歩きに慣れ親しんでいる方にとって、6kmの道のりなど大したことがないように感じることでしょう。でも登山口からすでに標高が高いことから、高度順化のために時間をかけて登ることが推奨されており、結果としてそこそこの時間がかかります。
コースはしっかりと整備されおり、損傷が著しい箇所は階段等でしっかりと補修されています。ただ階段の段差が高いため、案外疲れるものです。
なお、ラバンラタ小屋までの区間は、スニーカーでも歩けるようなハイキングコースになっています。
ラバンラタ小屋までの区間で考慮しておきたいこと
続いてラバンラタ小屋までの行程で、予備知識として知っておきたいことについてお話します。
●休憩場所とトイレの問題
まずは休憩場所とトイレについて。
およそ1kmごとに休憩のための東屋があり、ここには水洗トイレも併設されています。キナバル山では、下水管はすべて下界までパイプでつながっていて、十分に環境への配慮がなされています。
山のトイレの問題は、日本の山々でもしばしば議論になるところですが、ここキナバル山では先進的な取り組みがされていると言ってもいいでしょう。そのための仕組みの維持や人材確保に関わる費用は、入山者の負担によるものも大きいと思われますが、それだけの入山者を見込めるくらいキナバル山には魅力が溢れています。
さて、トイレで使ったペーパーや、食品の包材、残渣といったゴミは各休憩所に残置できるようにゴミ箱が併設されています。ただし、結局は公園を維持管理しているスタッフが回収することになるでしょうから、ここは登山者自らが持ち帰るように配慮したいもの。
なお、4km地点には水が出る蛇口もありますが、飲み水ではありません。
それと、ほぼ1kmごとに休憩スポットがあると言いましたが、もちろんそれ以外の場所で休んでも構いません。
●お弁当と水、行動食
次に、お昼ご飯や行動食についてのお話です。
公園本部では、ランチボックスやスナックバー、ミネラルウォーターなどが渡されます。毎回同じものかどうかはわかりませんが、今回はランチボックス(骨なしのチキン、温野菜)、ペットボトル500mlのミネラルウォーター、パン、スナックバー2本、りんご1個、ゆで卵2個が入った紙袋を渡されました。
「えっ!?そんなに?」と思われるかもしれませんが、実際のところ、朝食と昼食を足したくらいのボリューム。これだけでかなりの重量となり、体積もあります。そのためこれを想定して、ザックに収められるだけの予備スペースを事前に確保しておく必要があるでしょう。
そして、ランチタイムとなる4km地点もしくは5km地点までの間に、行動食を少しずつ消化していくのが良いでしょう。
こういったことから、事前に行動食を準備する必要はほとんどありません。むしろ与えられた食事を頑張って消化するくらいのイメージになります。この後に宿泊するラバンラタ小屋でも、全部で3食の食事が提供されるのです。強いて言うならば、
- 万一、体調不良に陥ったときでも食べられるような自分が好きなもの
- ラバンラタ小屋から下山の終盤に食べられる程度のおやつ
この程度で良いと思います。
さて、次に水のお話です。東南アジアの山ということもあり、どれだけの水を背負っていくべきか心配の方も多いことでしょう。
事前の情報では、1日目に宿泊するラバンラタ小屋で水が手に入ると言われていました。ですから、ラバンラタ小屋で水を調達しようと考え、あまり背負っていかない方もいらっしゃるかと思います。
ちなみに2019年上旬の情報では、水不足のためラバンラタ小屋では手に入らないかもしれないと言われていました。現地からの情報では、水不足の場合は予告なく水の制限がされるとのことでしたが、4月上旬の段階では問題ないようでした。
話を戻しますが、ラバンラタ小屋で水が手に入るという情報をもとに、あまり多くの水を担がないで登ろうと考える方もいるようですが、それは誤りです。なぜなら、行程中で実際に多くの水を消費するのは、登山口となるティンポホンゲートからラバンラタ小屋までの6kmの区間だからです。
そのため、最低でも2L程度の水を担いで登るべきだと考えます。もちろん、水の消費量には個人差がありますが、高山病対策にも効果的なので、いつもより水分補給には気を配るべきでしょう。私は全部で4リットルを担ぎ、下山時まで3リットル程度の水を消費しました。その他にもラバンラタ小屋では、コーヒーやお茶などを毎食飲むので、かなりの水分を摂っていると思います。
なお、ラバンラタ小屋の居室では、各自に500mlのミネラルウォーターが準備されていました。
●登山ガイドさんとの関わり方
次に、現地で私たちに同行するガイドさんについてのお話です。
彼らは、基本的に私たちの行動に合わせてくれます。日本の山岳ガイドさんのように、行動中ガイドさんの指示のもとでリードしてもらうようなスタイルではありません。歩行のペースや休憩のタイミング、休憩時間や出発時間などは各自のペースとなります。
ただ、休憩中はガイドさん同士でやや離れたところで待機していることが多いので、出発時には合図をして、はぐれないように気を付けましょう。
また、私達の関わり方によっては、積極的にコミュニケーションを取ることも可能ですので、せっかくの出会いを大切にして友達になってみてはいかがでしょうか。
●周囲の植生、雨、気温のお話
およそ4km地点までは、南国らしい木々が茂る林内を歩きます。一方でそこから上部のラバンラタ小屋までの区間は森林限界となるようで、背丈が低い灌木が中心になります。
気になる突然の雨の話ですが、キナバルは海に近いこともあり、雲に包まれることが多いようです。そのため、ラバンラタ小屋到着時は雲の上、登山口付近の下界は雲の下となり、上空が晴れていても登山中はガスの中、もしくは小雨となることもあります。突然の大雨とはならないまでも、ガスの中では身体が濡れることもありますので、せめて荷物を濡らさないように初めからザックカバーを取り付けておくか、すぐに装着できるような準備が必要です。
なお、日本のように雨が長く降り続けることは少ないので、雨具はポンチョのほうが便利かもしれません。ガイドさんたちは、意外にも大きめの傘をザックに取り付けています。
それと気温のお話ですが、ラバンラタ小屋に至る行程の半分くらいまでは、半そで半ズボンでちょうど良いくらいの気温です。そもそもコタキナバル市内の日中の気温が30℃前後ですので、標高2,500m程度でも快適なレベルなんですね。
それより標高を上げると、薄手のシェルを1枚着用するくらいの気温になります。
ラバンラタ小屋到着後の行動
●チェックイン
ラバンラタ小屋までおよそ6kmを歩いたら、初日の行程は終了です。小屋らしきグリーンの建物が見えてきて、ほっと胸を撫でおろしたと思いきや、そこはまだラバンラタ小屋ではありません。もう少し登ります。
さらに上の大きな広場に到着したら、その上の建物がラバンラタ小屋。小屋に入って左前方にレセプションがあり、ここでチェックインを済ませます。
行動中は常に首にIDカードをぶら下げているので、それを見せるだけでチェックインは完了。受付の方から部屋の場所を教えてもらい、鍵を渡されます。その後は、同行のガイドさんから翌朝の集合場所と時間について指示があり、翌朝までしばしのお別れとなります。
ちなみに、チェックインの開始時間は13時からとなっており、夕食の時間も16時からですので、早めに到着した場合は手待ち時間が長くなります。そのため、15時くらいに到着できるように、高度順化をしながらゆっくりと登るのが理想でしょう。
●翌日の準備
到着後は着替えを済ませ、夕食までの時間に翌日の準備を済ませておくのが理想です。
ちなみに、小屋内の電気は暗くなるまで点かないので、室内は日中の方が暗いかもしれません。また、水のシャワーを浴びることもできますが、体温を下げる可能性があるのでお奨めできません。
山頂のアタックは深夜3時前から開始します。登りは星空の暗闇の中での行動、下りは早朝の朝陽を浴びながらの行動となります。高所ですから、体に負荷をかけないために、最低限の荷物だけをパッキングし、不要なものは居室内にデポしておくのがいいでしょう。
これは私見になりますが、山頂アタックで必要なものは次の通りです。
- 雨具(防寒着を兼ねるので上下セパレートのものがいいでしょう)
- ビーニーや目出し帽など、強風でも飛ばされない様な頭にフィットする帽子。風が強いときは耳を覆えないと辛いでしょう。
- 写真を撮影する場合は、暗いので三脚が必要。
- 手袋。基本は防寒目的ですが、ロープを持つ場所や岩に触れて確保する場面もあります。基本は軍手や100均の手袋で十分な程度の寒さですが、雨が降った場合に備えて防水機能のもの(ゴム手袋でも良い)もあった方が良いでしょう。
- ヘッドライト。パーティの場合は、同一色のケミカルライトなどをザックに付けて、はぐれないように識別できるのが望ましいと思います。
- 雨具やシェルの中に着用するフリースやダウンウェア
- それと最終ゲートではIDカードのチェックもありますのでお忘れなく。
- あとは、頂上での記念撮影用に日本とマレーシアの国旗を持って行くとカッコいいです。
他の荷物は持って行かないほうがいいと思います。特にストックは不要でしょう。朝は寒いので、水は1リットルもあれば十分です。
●小屋での夕食
ラバンラタ小屋では全部で3回の食事が提供されます。
- 初日の夕食
- 2日目深夜の軽食
- 2日目下山前の朝食
いずれもブッフェ形式になりますが、初日の夕食が最も豪華です。
夕食はラバンラタ小屋の1階で16時から食べることができます。それ以前の時間帯はカフェとして営業されており、数種類の飲み物を注文することができます。もちろん、ここではスナック類も購入できます。
夕食の内容は、生野菜や温野菜、カットフルーツ、肉料理、ライス、パンなどが充実しており、好きなだけ取って食べることができます。おかわりも自由でですが、食べ過ぎに気を付けて。
●夕食後の行動
夕食後は完全に自由行動となります。翌日に備えて早めに休む人もいますし、ブッフェ会場で会話を楽しむ人、外で景色を見て過ごす人もいます。山で泊まる機会が少ない方は、ぜひ屋外に出て、沈みゆく夕陽と訪れる天体ショーを楽しんでいただきたいと思います。
*キナバル登山【現地編】第2日目へ続きます。