こんにちは!コモ子@やまたび北海道(@ComocoHk)です。
今日の話題は雨竜沼湿原と南暑寒岳。2019年7月6日に訪れた様子を中心にお伝えしていきます。
このブログでは山歩きを趣味としている人向けの記事が多いのですが、雨竜沼湿原は山歩きをしない人にも、ぜひ関心を持ってもらいたいという思いがあります。そこで、はじめに雨竜沼湿原の概要について少しだけ触れてみます。
雨竜沼湿原の概要
雨竜沼湿原は増毛山地の中腹にある高層湿原で、この一帯は暑寒別天売焼尻国定公園に指定されています。また、ラムサール条約に登録された湿地でもあります。
北海道の尾瀬とも言われていて、残雪が残る増毛山地の山々と、200種類を超えると言われている高山植物とで、見事な景観を作り上げています。
お花については、雨竜町観光協会のウェブサイトで開花状況が随時更新されていますので、お出かけ前にぜひ訪れてみて下さい。
Twitterは雨竜沼観光協会(@uryunuma_info)
雨竜沼湿原へ行くための服装など
湿原へは、入り口となる雨竜沼湿原ゲートパークから山道を徒歩で1時間程度。約3kmの道のりです。本格的な登山道ですので、基本的なハイキングのスタイルが必須です。とは言っても、普段山歩きをしない人が雨竜沼湿原に行くためだけに装備を購入するのはどうかと思うので、せめてジャージとスニーカー、軍手、帽子を用意してもらえばいいかと思います。ただし足元が濡れて泥だらけになる可能性が高いので、靴は長靴のほうがいいかもしれません。実は長靴を履いて登山する人って案外多いものです。
あとは雨具(風がないときは折りたたみ傘でも大丈夫)、水を最低1リットル程度リュックに入れて歩けば大丈夫でしょう。
それと大切なのは、朝早めに出発するということ。午前10時過ぎに出発する人も多いのですが、午後になると天気が崩れやすくなります。しかも暑くなるので体力も消耗しがち。7時前には出発して、正午には帰ってくるのが理想です。
雨竜沼湿原へのアクセス方法
旭川市や札幌市から雨竜沼湿原へのアクセス方法は、道央自動車道の滝川ICから滝川市街地、新十津川町を経て国道275号線を北上、道道432号線に入って雨竜沼湿原ゲートパークへと進むのが一般的です。
札幌市からおよそ120km、旭川市からおよそ70kmの距離。新千歳空港から2時間30分、旭川空港から2時間程度で移動できます。
例えば、関東からなら日帰りも十分可能。羽田発の始発で新千歳入りして、8時にレンタカーを借りてゲートパークまで移動したら午前11時頃、5時間かけてじっくり雨竜沼湿原を散策したとしても新千歳には19時には到着できるので、空港内の新千歳空港温泉で汗を流してビールを飲んで食事をしても、21時台のフライトで帰ることが出来ます。十分日帰り圏内ですよね。
実際に雨竜沼湿原と南暑寒岳に登ってみよう
さて前置きはこのくらいにして、ここからは雨竜沼湿原ゲートパークから雨竜沼湿原、南暑寒岳までの様子を具体的にお伝えしていきます。
雨竜沼湿原ゲートパークから雨竜沼湿原へ
登山口となる雨竜沼湿原ゲートパークには舗装された無料駐車場があり、普通車が150台駐車できる広さがあります。詳しくは下記をご覧ください。
それでもシーズン中は混雑し、満車になることもあるくらい人気があります。駐車場は数ブロックに分かれており、遅く到着すると登山口から遠くなるので、できれば朝早くに着きたいですよね。
入口には雨竜沼湿原管理棟があり、管理棟の下に電話ボックスがあり、この中で登山届に記入します。登山届は2枚複写になっており、登山中はそのうちの1枚を携行し、下山時に返納することで下山完了報告となっています。そのため、濡らさずクシャクシャにならないように、地図などと一緒に防水の袋に入れて保管した方がいいでしょう。
また、ゲートパークにはよく整備されたキャンプ場と大きくてきれいな小屋、トイレもあり、2019年はすべて無料で利用できるようになりました。
なお、管理棟では環境美化整備協力金(任意)として500円/人を支払うことができます。任意ではありますが、ここはぜひ協力したいもの。ただし、2019年からは管理人さんが常駐せず、シーズン中の午前9時から16時30分までの在勤に変更になっていますので、多くの方は下山時に支払うことになるのではないでしょうか。
ゲートパークの利用方法等の変更について(宿泊無料化、管理人夜間不在等)
協力金を支払うと、領収書と雨竜町観光協会発行の割引券がもらえます。2019年7月に訪れたときの内容は、
- 雨竜町いきいき館入浴100円割引券
- 雨竜町パークゴルフ100円割引券
- 雨竜町道の駅(雨竜米アイス50円割引券)
- 雨竜町商店街100円割引券
といったもの。遠方から訪れる人でも、帰り際に雨竜町市街地へ立ち寄ることで、地域おこしにも寄与できるのではないかと思われます。
なお、北海道は他県より速いペースで人口減少、少子高齢化が進んでおり、札幌市など道央地区への一極集中も進んでいます。
さて、ゲートパークから5分ほど砂利道を歩き、ペンケペタン川にかかる渓谷第一吊橋を渡った所から本格的な登山道が始まります。
雨竜沼湿原までは一本道なので迷うことはありませんが、沢沿いの登山道ですので足元は水はけが悪い箇所もあり、前出のように登山靴や長靴での歩行が無難です。
ゲートパークから雨竜沼湿原までの距離は約3km。途中にある渓谷第二吊橋を渡ったところがちょうど中間地点になります。
吊橋の手前には白竜の滝があり、登山道から分岐して50mくらい歩いたところから滝の全体を見ることが出来ます。
ゲートパークから雨竜沼湿原までの区間は標高が低いためか、目立ったお花は少ないですが、ウツギ系の花などが数か所に見られます。上の画像はタニウツギ。ピンクのお花が疲れを癒してくれます。
中間地点を過ぎるとやや急な登りもありますが、次第に笹の緩やかな斜面となり、右手に川を見下ろすように道が続きます。
やがて前方に広々とした雨竜沼湿原が見えてきて、さらに進むと一気に視界が開けます。お花たちが一斉に迎えてくれるようで、とっても感動する場面です。
湿原入口から木道を一周しよう
正確に言うと、周囲が開けたところから湿原が始まるわけではなく、しばらく歩いたところにある「湿原入口」を過ぎたところから湿原が始まります。延々と木道が続いて歩きやすくなりますが、雨が降った後や朝露で濡れているときは、意外と滑りやすいので注意が必要です。
道中、くぼんだ所に小川を渡渉するような感じの場所がありますが、ここで靴の裏に付いた泥を落とし、湿原の外の種子を持ち込まないような工夫がされています。ここが湿原入口。
もちろん、木道から外れてはいけませんよ。
ヒオウギアヤメとエゾカンゾウ、ワタスゲ
湿原の入り口には木造で数段高くなった休憩スペースがあり、多くの人がここで休んでいます。
お花はその前からすでにたくさん咲いていて、私が訪れた7月6日の時点では、入り口付近が最もお花の数が多かった印象です。
晴れていれば、これから向かう残雪の南暑寒岳が見えます。
エゾカンゾウ
山歩きの経験をたくさん積んでいくと、花の名前を覚えるのはもちろんですが、地形によってどんな種類の花が咲くのかということも、少しずつ分かってきます。水から近い場所、日が当たらない場所、草が生えない場所、風が強く吹く場所など、山岳地らしい特性によって、いろんな種類の花を見つけることができます。
花の名前は、現地で見つけて「この花の名前は何て言うんだろう?」と疑問に思い、帰ってから調べて「あーなるほど!聞いたことある」といったん記憶します。ところが、次のシーズンになるとまた忘れるんですよね。そして別の山でまた同じ花を見つけ、帰ってからまた調べるという繰り返しになりがちです。
山歩きを趣味とする人は中高年の人が多いので物忘れが激しく、残念ながら何年もこの繰り返しをします。もちろんこれを書いている私もそうなのです。
そこで、山に行く前に事前に学習していくことをおすすめします。
- これから登る山にどんな花が咲いているのか、名称だけでも調べておく。
- 花の名称と現物が一致しない場合は、検索して画像を見ておく。
たったこれだけのことで、山歩きがとっても楽しくなります。花の名称と咲いている場所については、北海道夏山ガイドや山と高原地図に載っていますので、まずそのリストを作ります。ここ雨竜沼湿原に関しては、先に紹介した雨竜町観光協会さんのウェブサイトで開花状況が更新されています。
あとはスマホやPCのGoogle画像検索で、マイク向かって名前を言うだけで画像がたくさん出てきます。これで事前学習は終了。楽しい山歩きが待っています。
私は今年になって、夕張岳、雨竜沼湿原、赤岳とお花が多い山をメインに歩いており、事前にこれをしておくだけで、山歩きがとっても楽しくなりました。
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雨竜沼湿原から湿原展望台を経て南暑寒岳へ
湿原入口からしばらく歩くと分岐があり、ここから環状になって同じ地点に戻ってくるようになっています。コースは時計回りの一方通行で、ここから道は細くなります。
湿原入口から約2km歩くと今度は南暑寒岳への分岐となり、ここから480mで湿原展望台へ至ります。本格的な登りが始まる付近まではお花畑が咲きますが、それ以降は目立ったお花畑はありません。これは南暑寒岳までの区間総じて言えることで、むしろ南暑寒岳から暑寒別岳までの区間まで足を延ばさないと、大規模なお花畑には出会えないでしょう。
ゲートパークから雨竜沼湿原までの区間とは異なり、整備の手があまり入っていないようなので、足元が見えないくらい笹が覆いかぶさるような箇所も一部にあります。
湿原展望台からは雨竜沼湿原を見渡すことができるものの、南暑寒岳へ登らずにここだけを目的に訪れるのであれば、わざわざ行かなくてもいいかもしれません。
分岐から南暑寒岳までは約3.3km。比較的なだらかな丘陵歩きなので身体に負担はかかりませんが、雨竜沼湿原で一度テンションが上がって燃え尽きてしまうと、結構つまらなく感じるかも。
ミツバオウレン
それでも山頂が近くなってくるにしたがって、ミツバオウレンやゴゼンタチバナといった小ぶりなお花たちをいたるところで見ることができます。
右手には暑寒別岳が見え、縦走への意欲が湧いてくるでしょう。
開けた丘陵を登りきると南暑寒岳の肩の部分に到着し、そこから少し歩くと一等三角点がある山頂へ。
標高は札幌岳と僅か3mしか変わらない1,296mと低いものの、見渡す景色は素晴らしいものがあります。
暑寒別岳と縦走路の様子がこちら。縦走路の最低地点が標高1,050m付近なので、240mくらい下ることになります。暑寒別岳の山頂は標高1,491mなので、450mの標高差を再び登り返すことになり、単純に戸蔦別岳から幌尻岳への稜線歩きより大変な印象。
南暑寒岳から暑寒別岳の往復で4時間の設定になっているのも頷けます。
もう少し左に目を転じると、雄冬山から浜益岳、群別岳、奥徳富岳と続く増毛の山々を一望できます。
最近は雄冬山や浜益御殿にも夏道が付いているということなので、一般登山者にも増毛の山々への道が徐々に開かれてきました。
ちなみに4月の浜益岳の山頂から見た群別岳はこんな感じ。左手に南暑寒岳があるのですが、目立たないので判然としないですね。
【浜益御殿・浜益岳・雄冬山】4月の残雪期にこの3山をスノーシューで日帰りできるだろうか?
最後はやや脱線しましたが、お読みいただきありがとうございました。ぜひ、雨竜沼湿原を訪れてみてくださいね。