こんにちは!コモ子@やまたび北海道(@ComocoHk)です。
今日は北海道大雪山系の話題。
先日、雨のなか銀泉台から赤岳と小泉岳の手前まで登ってみましたので、その様子を中心にお伝えしていきます。
内容は銀泉台の概要とアクセス方法、登山道上に咲くお花について。2019年7月14日に訪れた段階での状況です。
銀泉台から登ることが出来る山々とその特徴
北海道在住の登山愛好者の方には説明不要でしょうが、はじめに少しだけ登山口の説明をします。
今回ご紹介する銀泉台は、表大雪北部の東側に位置する登山口で、赤岳や小泉岳への登山口となります。
北海道で3番目に高い山として知られる白雲岳もここから登るのが最短ルートです。
またちょっと足を延ばせば、北海岳を通じてお鉢平、大雪高原温泉から登られる緑岳、白雲岳避難小屋と高根ヶ原を経て忠別岳や化雲岳、そしてトムラウシ山への縦走も可能。
銀泉台は、旭岳や黒岳のようにゴンドラやリフトを利用しなくても、はじめから登山口の標高が高いので、比較的易しく主稜線上まで登ることができます。
北海道夏山ガイド②「表大雪の山々」では、縦走コースの初級として「赤岳~白雲岳~(北海岳)~黒岳」のルートが紹介されているくらい、難易度が低くてポピュラーなコース。
また、山腹に広がるお花畑や紅葉が美しいため、シーズン中はマイカー規制が行われるほど人気があるのも特徴的です。
2019年のマイカー規制は、9月14日(土)~9月29日(日)です。
詳細は上川町のウェブサイトをご覧ください。なお、大雪高原沼のハイキングコースについては、朝鮮語、中国語(簡・繁)、タイ語のパンフレットも用意されています。
銀泉台へのアクセス
銀泉台は表大雪北部の東側にあり、大雪湖より少し南寄りの東大雪側に位置しています。
そのため、札幌市や新千歳空港から車でのアクセスでは、高速道路を利用しても3時間以上かかるくらいの距離。
これは東京都心から、福島県の郡山市や静岡県の浜松市まで運転するのと同じくらいなんですね。
また、国道273号線から銀泉台まで通じる「道道銀泉台線」も大半が狭い砂利道なので、ここでも少々時間を要します。
札幌はもちろん、旭川市や旭川空港から行く場合でも、旭岳登山口や天人峡登山口に比べると、さらに1時間以上離れているということになるんですね。
愛山渓登山口と層雲峡登山口は旭川方面からアクセスしやすいのに対し、銀泉台や大雪高原温泉へは移動距離が長くなり大変です。
なお、銀泉台への道道は例年6月中旬頃にゲートが開き、10月頃には雪に閉ざされます。
詳しくは上川町のウェブサイトをご覧ください。
バス利用が出来るのも銀泉台の特徴
また、道北バスでは旭川駅・上川駅ー層雲峡ー大雪湖、層雲峡ー銀泉台の区間でバスを運行しています。
これをうまく利用すれば、銀泉台から旭岳登山口の旭岳温泉や黒岳登山口の層雲峡温泉、トムラウシ山登山口のトムラウシ温泉、富良野岳登山口の十勝岳温泉への縦走も可能となり、すべて公共交通機関を利用して大雪山系の縦走を実現することもできます。
区間 | 運賃(片道料金) | 所要時間 | 備考 |
層雲峡ー銀泉台 | 900円 | 約1時間 |
7月1日~9月30日 *1日2便 |
旭川ー層雲峡 | 2,100円 | 約2時間 | *1日7便 |
上川ー層雲峡 | 870円 | 約30分 | *1日4便+上記7便 |
層雲峡ー大雪湖 | 440円 | 約35分 |
7月1日~10月31日 *1日1便 |
前日から車中泊をするなら、大雪山道路情報センターを推奨
前日入りして車中泊をする方もいるかと思いますが、道道銀泉台線の手前には、大雪山道路情報センター(防災ターミナル)があり、こちらも利便性が高いです。
ここには水洗トイレ併設で広い駐車場もあり、石狩岳やニペソツ山など東大雪の山々に登る方もよく利用していますよね。
また、万一大雨や災害等で道道や林道が閉鎖されるような事態になっても困らないように、車中泊をする場合はここを利用するほうが安心。
大雪山系で高山植物と紅葉と言えばやっぱりここから
ずいぶんと前置きが長くなりましたが、ここからが赤岳への登山についてのお話。
大雪山系は一部に活火山があり、山肌にほとんど緑がない山もいくつかあります。
でも、山容がなだらかで池塘が点在することもあって、あちらこちらにお花畑が点在しています。
その中でも特に人気があるのがここ赤岳への登山道。
それと赤岳から小泉岳へと続くなだらかな丘陵地帯では、一面がお花畑になっているのです。
この区間には実にたくさんの種類の花が咲き、秋になると紅葉が見事です。
銀泉台で登山手続きを済ませて
銀泉台の駐車場は、未舗装ですが数十台が駐車できるスペースが確保され、シャトルバスの発着点にもなっています。
今回私が訪れた2019年7月14日(日)は、午前6時15分頃に到着した時点ですでに満車に近い状態。
雨模様の天気が続いていましたが、3連休の中日と言うこともあって、多くの登山者で賑わっていました。
銀泉台にはパトロール事務所があり、ここで登山届を提出(記入)します。
これは下山時にも記入するようになっていますので、ピストンをする場合には下山時にも立ち寄って下山完了時刻を記入しましょう。
なお警察への届け出は、北海道警察のウェブサイトが便利。
メールフォームで5分もかからず提出できますよ。
銀泉台には清潔なトイレもありますので、ここを利用してから出発するようにしましょう。
赤岳山頂までの区間にトイレはありません。
銀泉台から登山口までの間は、しばらく車両が通行できる幅の道路が続きます。
途中の左手には、登山道までショートカットできる小道がありますが、歩きづらくて傾斜もあるのであまり推奨できません。
そのまま直進した方が無難。
登山道に入ってしばらくは森の中。
標高はすでに1,500mを超えているので背丈の低い木々や高山植物も多く、一部には雪が残るところも。
そのため、雪解けが進むまで登山道には雪解け水が流れ、足元を濡らすことになります。
さて、ここからは登山道脇のお花を見ながら赤岳へと歩いてみましょう。
エゾコザクラ
第一花園に到着すると、一面にチングルマやエゾコザクラが広がり、一気にお花畑の様相になります。
それまでの間にもウコンウツギやゴゼンタチバナといったお花が随所に見られます。
すでに足元が泥だらけになっているかもしれませんが、夏ですのでそれほど不快に感じないでしょう。
チングルマ
今回訪れた7月14日には、第一雪渓にもまだまだ雪が残り、第二花園はまだお花の見頃を迎えていませんでした。
この付近にはキバナシャクナゲが多く、夏の訪れを感じるにはまだちょっと早い印象。
その他にはハクサンチドリやショウジョウバガマなども一部に見られます。
第一雪渓を越えて奥の平に到着すると大きなお花畑が広がり、ここでもチングルマやエゾコザクラが満開です。
ちなみに、残雪が心配な方がいるかもしれませんが、雪の上には登山者が歩いたステップが残るので、雨が降った後の早朝でもなければ、特に心配要らないでしょう。
コエゾツガザクラ
こちらも道中でたくさん見る花の一つコエゾツガザクラ。
小さいですが、たくさん集まってピンクのお花がとっても可愛らしいですよね。
チングルマや背丈が違うハクサンチドリなどが集まって、お花畑を彩ります。
コマクサ
奥の平を過ぎると今度は駒草平。一面にコマクサが広がります。
これほどたくさんのコマクサが咲いている場所は、あまりお目にかかれないでしょう。
銀泉台から駒草平までは1時間半から2時間程度かかります。
イワブクロ
駒草平付近に咲くお花はコマクサばかりではありません。
イワブクロも至るところに咲いています。
なお、携帯性に優れた山と高原地図には標準コースタイムのみならず、区間中に咲くお花の種類も掲載されているので便利なんですよね。
シマリス
登山道上にはシマリスが横切ることも。
今回はいくつかの場所で個体を見たので、このコース上では遭遇率が高いのかもしれません。
エゾノハクサンイチゲ
ハクサンイチゲも随所に見られます。
私の記憶に残るところでは、利尻山で見たハクサンイチゲが最もたくさん咲いていた印象。
利尻山には2016年の6月に登りました。
【利尻山】6月、ナイトハイクでご来光を眺めて、始発のフェリーで稚内へ帰る方法|札幌発着1泊2日1万円に挑戦
なお、ここで見られるエゾノハクサンイチゲは、普通のハクサンイチゲよりも花の幅が広いのだそう。
エゾヒメクワガタ
その他にはエゾヒメクワガタ(まだちょっと時期が早いみたい)やチシマキンレイカ、エゾタカネスミレなどなど、本当に多くの種類のお花で溢れていて、ついつい足が止まってなかなか前に進みません。
赤岳山頂から小泉岳へ
銀泉台から赤岳までの標準コースタイムは3時間程度。
ここから表大雪の高山帯の始まりです。
ここまでのお花畑だけでも十分に満足できるのですが、もう少し足を延ばして小泉岳付近まで行ってみると、さらに多くの種類のお花を楽しむことが出来ます。
天気が良ければ白雲岳や北海岳、緑岳を往復しても面白いのですが、たまにはお花だけをゆっくり楽しむという山の歩き方もいいものですよ。
小泉岳までは往復でも1時間程度。
少々雨が降っていてもほとんど問題ありませんが、風が強いときは遮る場所が無いので判断は慎重に。
ホソバウルップソウ
赤岳を過ぎてから頻繁に見るお花はこれ。
ホソバウルップソウ。
大雪山の固有種なのだそう。
ちなみに夕張岳のユウバリソウはウルップソウの近縁種で、ホソバウルップソウもユウバリソウもどちらも環境省の絶滅危惧種。
踏みつけないように注意をしたいですね。
ユウバリソウについては、6月下旬に訪れた夕張岳に関する次の記事で紹介しています。
【夕張岳|大夕張コース】林道ゲートは6月15日から解放 ユウバリソウを始め、高山植物が満開
チョウノスケソウ
こちらはチョウノスケソウ。
一見、チングルマに似ているので見落としがちですが、探すように見渡すと結構見つかるもの。
チョウノスケソウはアイスランドの国花なのだとか。
Googleで「mountain avens」と検索するとチョウノスケソウの記事がたくさんヒットします。
ちなみに下記のブログでは、ヨーロッパ各国の国花(Floral Embrem、National Flowerなど)について、イラスト入りで紹介されています。
Fantastic Gardeners (外部サイト)
ご存知の通り、スイスやオーストリアの国花はエーデルワイスですね。
キバナシオガマとエゾミヤマツメクサ
キバナシオガマもエゾミヤマツメクサ。
どちらも赤岳の山頂付近から見ることができるお花。
キバナシオガマも珍しいところですが、エゾミヤマツメクサも小さくてたくさん集まっている様子が可愛らしいですね。
その他にはイワウメなどの小さなお花もありますし、基本的にこの辺り一帯がお花畑なので飽きさせません。
そのため、赤岳で引き返さずにぜひ小泉岳まで足を延ばしてみたいですよね。
なお、2週間後に黒岳から再び訪れてみましたが、お花の数はかなり少ない印象でした。
表大雪の縦走は旭川駅・旭川空港からバス利用が楽チン!道北バスで層雲峡へ・66番旭岳線「いで湯号」で旭岳温泉へ