今回の話題は、ラオスの古都ルアンパバーンで開催されるルアンパバーンハーフマラソンについて。
2019年の大会に参加してみましたので、前半は概要とエントリー、後半は大会当日の様子などをお伝えします。
なお、私の参加旅行記は下記にて。
ハノイから1泊2日でプーシーの丘とクアンシーの滝とルアンパバーンハーフマラソン
ルアンパバーンハーフマラソンについて
みなさんはルアンパバーンってご存知でしょうか?
東南アジアのラオスにある古都で、街全体が世界遺産に登録されている人口6万人くらいの地方都市です。首都のヴィエンチャンからメコン川を400kmほど遡ったところに位置しています。
隣国、カンボジアの世界遺産「アンコールワット」があるシェムリアップ同様に世界中から観光客が集まるので、街全体が欧米人や中国人などで賑わっています。
この街で行われるのがルアンパバーンハーフマラソン。2019年大会は10月20日(日)に開催。
FOR THE CHILDRENというタイトルが付けられていることから想像できる通り、この大会の収益はLao Friends Hospital for Childrenいう小児病院を支援するために使われます。
大会のウェブサイトの情報では「ラオスは東南アジアで5歳未満の死亡率が最も高く、15人に1人の子供が5歳の誕生日を迎えていない」のだそう。この病院が果たす役割が期待されています。
病院の設立にあたったNPOは1996年に写真家の伊豆健郎氏が設立し、日本とは決して無縁ではありません。
ルアンパバーンハーフマラソンのエントリー
大会の種目は全部で3種類
- ハーフマラソン(21km)
- 14kmラン
- 7kmラン(12歳以下の種目もあり)
ラオスの国籍を持つ参加者と、海外からの参加者では申し込み費用が異なります。
種目 |
日本からの申し込み *カッコ内は6/30までの早期エントリー |
ハーフマラソン |
80米ドル(70米ドル) |
14km | 60米ドル(50米ドル) |
7km | 45米ドル(35米ドル) |
7km(12歳以下) | 25米ドル(15米ドル) |
なお、この大会は500米ドル以上の寄付を集めると、自分の参加費用が無料になるという特典もあります。チャリティマラソンならではの取り組みでしょう。
エントリー期間は直前まで受け付けているようですが、公式には大会1週間前までとなっています。
詳細は公式ウェブサイトにて。
ただし、実際のエントリーはGO to RACEのウェブサイトから。Go To Raceはタイ、ラオス、カンボジア、ベトナムなどのスポーツイベントエントリーのポータルサイトで、日本ではあまり知られていないようなマラソン大会の情報も得られます。
2019年12月8日には第1回ビエンチャン国際マラソンが開催されることが決まっており、エントリーが可能です。
大会のコース
この大会は3種目がほぼ同時に開催されます。
メインのルートはすべて共通になっていますが、ハーフマラソンの前半部分だけが他とは異なります。
ハーフマラソン
大会ウェブサイトより引用
さて、コースマップを見てイメージできるでしょうか?
ルアンパバーンに行ったことがある人でなければ、なかなかピンとこないかと思いますが、ハーフマラソンは街全体を網羅するようなコースになっています。
観光ではあまり行かないようなローカルな地域も組み込まれているので、街全体を見てみたい方にはおすすめ。
後半は重複する箇所もありますが、2周目になると日の出を迎えて明るくなるので、マンネリに感じることはないでしょう。
14kmコース
大会ウェブサイトより引用
14kmのコースはほぼ同じルートを2周する設定。
街の主要な箇所を網羅しているので、ハーフマラソンはちょっと自信がないけど、参加してみたいという方におすすめです。
7kmコース
大会ウェブサイトより引用
最後は7kmのコース。基本的に14kmのコースと同じで、メコン川沿いの一部が削られています。
日本では、マラソン大会=ガッツリ走るというイメージが強いですが、7kmコースでは決してそんなことはありません。
初めから歩いてゴールを目指している参加者も多いので、ウォーキングが趣味のような方でも参加しやすい種目だと思います。
そのため日本のシニア世代の方などが、ルアンパバーン観光のついでにこの種目に参加されるのもありかと思います。
航空券の取得や滞在について
さて、次はラオスへの移動について。
2019年10月現在、日本とラオスを結ぶ直行便はなく、周辺国で一度乗り継ぎをする必要があります。
具体的にはベトナムのハノイ、ホーチミン、タイのバンコクが現実的で、中国の広州や昆明、あるいはマレーシアのクアラルンプールも候補になり得ます。
いずれにせよ往復にそれぞれ1日ずつかかると考えるのが妥当で、乗り継ぎ先での観光も視野に入れたほうが得策でしょう。
10月というシーズンは航空業界の閑散期。航空券の相場が低く、東京から往復4万円程度で移動することができます。
ラオスの入国について
2019年10月現在、ラオス入国にはビザは必要ありません。
日本はラオス入国に関してとても恵まれた国で、ビザが免除される数少ない国の一つ。ただし滞在は15日以内ですので、それ以上の滞在をする場合は注意が必要です。
ラオスの通貨と物価について
ラオスの通貨単位はキープ。基本的に現地で両替しないと手に入れることができません。
現地ではタイバーツや米ドル、中国元も使えるとの情報もありますが、私は未確認。やや割増しになると言われています。
似たような観光地であるカンボジアのシェムリアップでは、もっぱら米ドルが流通しているのに対し、ルアンパバーンではラオスキープがメインで流通しています。
物価は先進国並みとまでは言わないものの、そこそこ高めの設定になっています。
滞在先に選ぶべきホテル
マラソンのスタート位置はナショナルミュージアム前。大会受付のEXPO会場もそれほど離れておらず、ルアンパバーンのランドマークであるプーシーの丘の入口でもあります。
ルアンパバーンのホテルやゲストハウスはこの一帯に集中しているのですが、一部のホテルは郊外にも点在しているので、予約する際には立地の確認が必要。
その理由はスタート前の移動。
ハーフマラソンの出走時間は朝5時30分で、ルアンパバーンの交通はトゥクトゥクなどがメイン。確保できるか不確実です。
レンタサイクルでの移動も可能ですが、早朝は暗くて道に迷う可能性も。
そのようなことから、マラソン参加者はナショナルミュージアムまで徒歩圏内のホテルを選ぶべきです。ラオスは中国資本が多く入っていますので、ホテルの選択肢はTrip.comやAgodaが多いようです。
ルアンパバーンマラソン、大会前日から当日の様子
次に、空港到着から大会前日までの受付とEXPO、さらに大会当日までの様子をお伝えしていきます。
現地到着とホテルへの移動
ルアンパバーン国際空港は、滑走路1本だけの小さな空港。
到着後はすぐにイミグレーションがあり、荷物を受け取って税関を通過。
SIMを購入してラオスキープへの両替、タクシーまたはホテルの送迎サービスを利用して市街地へ移動します。
入国審査と税関
初めての海外旅行がルアンパバーンというような方はいないでしょうから、入国審査や税関について基本的な説明は割愛します。
ラオス入国に際しては、機内で配られるアライバルカードの提出が必要。
前述の通り、ビザが免除になるためそのまま入国審査の列に並べば大丈夫です。ほとんどの国の人たちがアライバルビザを申請するので、最初のうちは入国審査に行列が出来ることはないでしょう。
指紋の照合はありませんが、カメラでの撮影があります。カウンターからやや離れて撮影するので、パスポートを渡したら1歩後ろへ下がり、足のマークが付いている位置に立ちます。
税関は書類不要。荷物を受け取ってすぐに到着ロビーへ出られます。
SIMと両替
SIMカードは到着ロビーの手前左側に販売ブースが並んでいるので、ここで手に入れられます。当サイトでは出国前にAISの周遊タイプの購入を推奨していて、ラオス入国には第3国での乗り継ぎも必要なので特にイチ押し。
空港レートが高いようで気になる両替ですが、結論を言うと空港で済ませて問題ありません。ただし、ラオスキープは使い切ることを前提で両替したほうが良いので、余さない範囲で。
もちろん市街地にも両替所がたくさんありますが、1000円札などの少額紙幣の場合、手数料が加わったりレートが悪くなったりする可能性があります。
そのためATMでのキャッシングを推奨。
セディナカード等では手数料もかからずペイジーで繰り上げ返済も可能なので、利息も少なく高レートで両替が可能で、必要に応じて小まめに引き出せます。
なお、ATMは空港の到着ロビーから外に出たところに3台設置されています。
空港からホテルへの行き方
空港からホテルへはタクシー一択と考えて良さそう。料金は50,000キープ。およそ600円くらいです。
ホテルの無料送迎サービスがあればそれを利用しますが、有料の場合はタクシーよりも高い場合も。
また、空港から市街地へは徒歩でも移動できる距離ですが、気温が30℃を超えるなかで荷物を持っての移動は賢明ではありません。
さて、タクシーは到着ロビーの出口付近にあるカウンターで手配。
行き先のホテル名を見せて50,000キープを支払うと領収書が渡されます。
外で待機していると人数が集まりしだい呼ばれますので、それから車に乗り込んで移動。宿泊先のホテル前で停めてくれます。
大会受付とEXPO会場の様子
さて、次に現地到着後の受付についてお話します。
事前にメールで通知される内容
海外マラソンでは、事前にメールにてQRコードが発行されることがあるのですが、この大会はお知らせのみしか届きません。
登録したメールアドレスに大会5日前くらいになって2通のメールが届きます。
SNSをフォローしていれば随時情報を得られるのですが、各自に直接メールが届くのは大会直前になってからになります。内容は次の通り。
- 自分の登録番号(特に必要ありません)
- 受付の日時と場所と身分証明書の携行について
- 大会当日の各種目出走時間とスタート地点
- 表彰について
- 完走後の喫食について
具体的には、
- 10月18日(金)、10月19日(土)の10時~19時まで受付
- 受付場所はナイトマーケットの入口付近
- パスポート、運転免許証、居住している国で発行されるIDカードなどが必要
- 出走場所はRoyal Museumから。5時以降、各種目出走の30分前には集合すること
- 出走時間はハーフが5時30分、14kmが5時45分、7kmが6時ちょうど
- 表彰は7時45分から
以上のような内容です。
受付会場でパスポートを見せてBIBを受け取る
上のグーグルマップに示した付近にEXPO会場が開かれ、いくつかのテントに各種目ごとのカウンターが並んでいます。
自分が参加する種目のカウンターでパスポートを提示してチェックを受ければBIBと記念Tシャツが渡されます。
受け取ったあと、隣りのテントでBIBの裏に貼られているチップが間違いなく認識されるかどうかの確認を受けます。
受付はこれでおしまい。 ほんの5分程度で終了。
ちなみに、EXPO会場とは言ってもコースマップが掲示されているくらいで、スポンサーのブースなどもほとんどありません。
マラソン大会当日の様子について
さてここからは大会当日の様子について。
受付会場より北東側、ロイヤルパレス(パバーン仏堂)の入口付近がスタート位置(ゴール位置)になります。
参加者は、周辺に宿泊していることが前提なので、荷物の預かりサービスはありません。完走後は徒歩でホテルへ帰り、シャワーを浴びて朝食をとってもチェックアウト時間に十分間に合うので、荷物は全てホテルに置いてきて大丈夫。
5時に集合するように指示をされていますが、スタート位置周辺はまだ薄暗く、街灯の明かりが灯っている程度。もともとクルマやバイクの数も少ないので、とてもマラソン開始30分前とは思えないような雰囲気です。
ハーフマラソンは5時からスタッフによるBIBチェックが始まる
午前5時からスタッフによるBIBチェックが始まり、チェックを受けた人からスタート地点に整列します。
ハーフマラソンの参加者はそれほどいないので、本気で記録を狙う人でもなければ適当に並んで大丈夫。
なお、トイレはパバーン仏堂の反対側(プーシーの丘側)にあります。
スタートしてしばらくの間は、まだ薄暗い
大会当日の日の出時間は6時7分頃。出走時間が5時30分なので、約30分くらいの間は薄暗い中を走ることになります。
しかも街からどんどん離れていくため、最初はとても静かです。
だんだん夜が明けてきて、それまで薄暗くてよく見えなかった街並みが徐々にはっきりしてきます。それでも、周囲にこれといったものがないのも魅力。
2019年大会のTシャツはピンクとパープルの派手なカラーなので、ランナーたちは暗闇でも目立っていましたけれど。
ちなみに、道路はすべて舗装されています。
ルアンパバーン名物の托鉢風景を見ながらゴールを目指して
6時頃になるとコース上でも托鉢風景が見られます。ルアンパバーンにいることを実感できるでしょう。
僧侶たちが身につけているオレンジ色の袈裟よりも、参加記念Tシャツのほうが目立っていますが、、、
コース中には給水ポイントがいくつかあります。
大会規模が小さいのでこじんまりとしていますが、ペットボトルと紙コップの両方が用意されています。
日中は32℃くらいまで暑くなるルアンパバーンですが、この時期の朝は20℃くらいまで気温が下がるので快適。そのため、それほど水分を取らなくても大丈夫でしょう。
ハーフマラソンも中間地点に差し掛かると、14kmランと7kmランのコースと合流して賑やかになってきます。
正面にはプーシーの丘が見え、T字路を右折してナムカーン川沿いにメコン川との合流地点へ向けて走ります。
ナムカーン川沿いにはゲストハウスが多いので、テラスで朝食を楽しんでいる観光客からも声援を受けられるでしょう。
2周目に差し掛かると沿道には応援者が増え、気持ちが盛り上がります。
規模が小さな大会では、沿道から声援を送ってくれる人たちの盛り上げ効果が特に大きく感じられますよね。
おそらく、規模が大きな大会では参加者が多いので、自分たちだけでも盛り上がれるからだと思うのです。
FOR THE CHILDREN がこの大会のコンセプトですが、こうして子供たちからの声援を受けてランナー自身も元気になれます。
海外マラソン大会の魅力の一つは、他国の人たちと同じ時間を共有していることを強く実感できること。
最後のゴールへの直線では、すでにゴールした参加者たちも声援を送ってくれます。
その他にも参加者の家族や友人、大会スタッフなども。
ゴールまで最後の200m。
距離案内は必要最低限しか表示されていないものの、コースの曲がり角や、種目別に分岐する地点には随所に案内板が設置されています。
ゴール目前の直線ですが、すでにゴールした人たちがコース上を逆走してきたり、普通にクルマが走っていたりするのもご愛敬。
そしていよいよフィニッシュ。
それにしてもピンクが多用されていて盛り上がりますよね。名古屋ウィメンズマラソンみたい。
ゴール後はランナー同士で完走者を盛り上げて
ゴールはランナー同士が出迎えるような感じの温かさ。
大きな大会ではスタッフによって強制的に移動させらてしまいますが、こういったアットホームなところは規模が小さな大会ならでは。
この大会のキャラクターでしょうか。本当にみんな楽しそう。
こういったところがチャリティマラソンらしくていいですよね。
パバーン仏堂はご覧の通り、完走したランナーで賑わっています。こういった光景は1年に1度しか見られないのかもしれませんね。
ゴール後にはスナック類のブースがいくつか設けられ、クッキーなど小腹を満たすようなものをいただくことができます。
はじめから全員に配るのではなく、欲しい人だけが並んで貰うというシステム。合理的でエコだと思います。
今大会のメダルはこのようなデザイン。裏面は各種目の距離が書かれています。ちなみにハーフマラソンは21km。
***
いかがでしたか?ルアンパバーンハーフマラソン2019の様子をお伝えしました。
世界遺産のルアンパバーン、10月は雨期の終盤で晴天が見込まれ、観光にも最適。観光のついでにアットホームなチャリティマラソンを組み込んで、みんなで楽しんでみませんか?