今日の話題は、台湾で2番目に高い山、雪山（標高3886m）について。

2019年12月、単独で登ってみた経験をもとに、

1. この山に登る際に必要な事前の手続き
2. 台湾到着から登山口まで行く方法

これらについて、詳しくお伝えしていきます。

追記）2023年4月4日に再訪、加筆

台湾到着から登山口までの詳しい行き方は、後編の記事にて。

台湾「雪山」登山口への行き方｜ひとりでもOK！事前予約不要で格安。全て公共交通機関だから、計画変更もカンタン

まずはじめに、雪山の概要を簡単に説明します。

雪山は台湾の雪覇国家公園にある主峰で、標高は3,886m。

標高は富士山より少々高いくらいですが、富士山のような独立峰ではありません。

周囲は北アルプスのような山並みが連なっており、3,000mを超える多くの山々を見ながら、爽快な山歩きを楽しむことができます。

台湾には南北を貫く山々があり、雪山はそこに位置しています。その中でも島の北側に位置しており、台中市の北東部、北側の苗栗縣との県境付近にあります。まずは台北との位置関係をグーグルマップでご確認ください。 

さらにもう少し広く見てみますと、島の東西には宜蘭市と台中市があり、この2つの都市は、省道の支線7甲線と省道8号線が貫いており、ほぼ中央に台中市の梨山という避暑地があります。

本題である雪山の登山口となるのは、梨山よりも北東側にある武陵農場という観光地で、西側の台中市ではなく、東側の宜蘭市からアクセスするのが一般的です。

雪山の登山口までのアクセスは、レンタカーを利用するのが最も賢明なのですが、海外で車を運転するのは少々リスクが伴いますよね。

そこでこの記事では、公共交通機関を利用して行く方法をお伝えしていきます。

まず台北市から宜蘭市までの移動は、高速バスを利用して約1時間程度。もちろん台鉄でも行けます。

次に、宜蘭市から武陵農場までは、國光客運というバス会社が1日2便を運行しており、こちらの所要時間は3時間程度となっています。このバスは山間部を走るので、かなり時間がかかります。

最後に、武陵農場から登山口までは徒歩で2時間くらいを要します。途中にはキャンプ場があるため、親切な方と巡り合えば車に同乗させていただくことも可能。

いずれにせよ、台北市からの移動は約6時間くらい。これに宜蘭市でのバスの接続時間を加えると、台北市から登山口まで8時間くらいはみておきたいところです。 

雪山の無雪期登山は、概ね3月下旬から翌年の1月上旬頃までと言われており、それ以外のシーズンはアイゼン等の装備は不要です。

雪山の登山口から山頂までの距離はおよそ10km。標高差は1,750mほどあります。登山道そのものは特に難所もなく易しいので、シニア世代の登山者でも不安なく登れるかと思います。

ただし、そこそこのボリュームがあり、日本の山々をコースタイムの70％未満で歩けるような健脚者であっても、日帰り往復10時間以上をみておきたいところです。

北アルプスで例えるならば、新穂高温泉から笠新道を経て笠ヶ岳を往復するくらいでしょうか。

話を戻して、雪山には「主峰」のほかに、途中のピーク「東峰」があります。一般的に目指すのは主峰で、東峰は途中のコブに過ぎません。ただし、経路上にある唯一のランドマークなので、しっかりと覚えておきたい地点です。

登山口から1時間程度の場所には「七卡山荘」が、そこから4時間程度の場所には「三六九山荘」があり、どちらも100名程度を収容できる山小屋となっています。入山の申請手続きには、この山荘の宿泊予約とセットで考えておくのが一般的で、ここの予約が取れないと申請が下りないと考えて良いでしょう。

余談になりますが、申請時に日帰り行程を申請することも可能です。日帰りできる体力がある方は、前夜に武稜農場入りして宿泊し、早立ちするという選択肢も考えられます。

ただし、前述の宜蘭市と武陵農場とを結ぶバスが1日2便しか運行されていないため、バスの時間に合わせる必要があります。ここが最大のネックだと思われます。

位置関係を整理すると、上の地図のようになります。

一般的には標高3,100mにある三六九山荘で1泊し、翌朝に山頂アタック＆下山がポピュラーです。

三六九山荘の予約が取れなかった場合は、標高2,463mにある七卡山荘での宿泊という選択肢になります。その場合は翌日の行程がかなりタイトになりますので、場合によっては山中2泊することも検討しなければなりません。

なお、どちらの小屋でも水が採れますし、トイレや炊事施設も併設されています。ただし営業小屋ではないので食事の提供はありません。

また、寝具もありませんので寝袋が必要です。

小屋の利用は無料ですが、入山届時に予約申請を受理されなければなりません。申請方法は後述します。

イメージしやすいように、タイムスケジュールを簡単に表にしてみます。

ご自身の体力レベルを加味してスケジュールを調整してください。

次に、国家公園への入山申請手順について説明します。すでに計画が決まっている方、ご活用ください。

まず、台湾の国家公園の一部では、入山に際して事前の許可制を採用しています。

これにより、生態保護区への入山者数を制限する狙いがあるものと思われますが、先着順で処理されるため、人気の山々にハイシーズン中に入山するのはかなりハードルが高くなります。

入山申請は1ヶ月前から、すべてウェブ上で無料で行うことができます。

繰り返しますが、山荘の宿泊予約は先着順となっており、抽選に外れた場合はキャンセル待ち扱いとなります。なお、抽選に当選した場合であってもキャンセルが可能です。

余談ですが、申請が必要な国家公園は、

1. 玉山国家公園
2. 雪覇国家公園
3. 太魯閣国家公園

この3つになります。今回手続きをするのは、雪覇国家公園です。

ここで問題となるのは、申請フォームへの記述は24時間行えるのに対し、実際に申請を送信できるのは台湾時間の7時～23時という点です。

日本と台湾の間には1時間の時差があるため、週末に入山する場合の申請では、1ヶ月前の平日午前8時からとなるのが通常です。

そのため、平日にお仕事をされている方の場合、この申請開始時間に間に合わないことが多く、結果として送信が遅れて抽選から外れてしまうことがあります。ガイドツアーやパーティが多い場合では、開始直後の5分後にはすべて満席になってしまいます。

そこで代理の方に送信手続きをしてもらうなど、何らかの工夫が必要になりそうです。

次に具体的な手続きについて説明します。

まず、次のウェブサイトから国家公園の入山申請手続きを開始します。

台湾国家公園入園入山線上申請服務網

リンクをクリックすると上記のような画面が開きますので、赤い丸印で囲んだ雪覇国家公園をクリックします。

なお、上部にある「日本語」と書いてあるところをクリックすると、日本語ページが開きますが、残念ながら2019年12月現在「玉山国家公園」の申請にしか対応していません。

次に、◆入園線上申請◆（オンライン申請）の画面に切り替わりますので、すべてのチェックボックスにチェックを入れます。

すべてのチェックボックスにチェックを入れ終わったら、一番下の「我同意」をクリックします。

さて、ここからが核心部になります。入力にはそこそこの時間を要します。

上の画面では、赤い線で囲ったところに5つのタグが付いています。

1. 「行程」
2. 「申請人」
3. 「領隊」
4. 「隊員」
5. 「留守人」

これらのそれぞれについて入力作業が必要になります。

まずは「行程」タグの入力方法から説明します。入力する項目と、記述する内容を表にまとめましたのでご参考ください。

次に「申請人」のタグについて説明します。

最初のクリックボックスをクリックすると、記入欄が表示されます。

次は「領隊」のタグです。領隊とはリーダーの意味です。

申請者と同じ場合、最初のチェックボックスにチェックを入れます。

記入内容は「申請人」の項目と一緒なので、説明は割愛します。

ただし、最後の「緊急連絡資訊」は入力が必須になっていますので、登山に参加しない方の氏名と電話番号を記入します。 

4つ目は「隊員」のタグです。

ここには、実際に登山に参加する全員の個人情報を入力します。

単独の場合は、最初のチェックボックスにチェックを入れて終了。複数人数を選択している場合は、各自の個人情報を記入します。

ちなみに、申請後に人数の変更が出来ないということが書かれています。 

最後は「留守人」タグの入力です。ここには山行に参加しない方の情報を記入します。

登山隊と連絡が取れなくなったときに、関係機関に捜索を要請するなどの行動が取れる方を記入します。台湾人でなければならない旨が書かれていますが、日本人でも大丈夫です。要するに安全なサポート体制を取ってくださいね、というような趣旨なのだと解釈します。

繰り返しますが、日本国内の留守担当者の情報で問題ありません。入力が必須となっている情報は、「氏名」「電話」「メールアドレス」この3つです。パスポートの情報は不要です。

追記）2023年再訪時は、この留守人を台湾在住者であることが望ましい旨を指摘されました。私には台湾に知人がいないため、滞在先のホテルを提案しましたがこれも却下。結局、日本の家族を留守人として許可が下りました。

すべての入力が終わったら、内容を確認して提出します。

まず「驗證碼」欄に、右に表示されている文字列を正確に入力します。

上のキャプチャの場合「X60BB」がそれにあたります。

最後に「確認送出」ボタンをクリックして申請が完了します。

前述の通り、申請時間外の場合は「儲存草稿」ボタンを押して保存しておくことも可能です。

申請が完了すると画面が切り替わり、上記のような申請番号が発行されます。

その後、深夜にメールが配信され、現在のステータスについて台湾語と英語で通知されます。

早ければ翌日には申請が受理されて、入園許可証のダウンロードが出来るようになります。

追記）2023年再訪時は、5日前にならないとダウンロードができませんでした。

なお、週末の三六九山荘を予約する場合は、キャンセル待ちになる可能性も十分ありますので、あらかじめ予約状況を確認しておくほうが無難です。これについては後述します。

申請が受理されると、上記のような入園許可証のPDFをダウンロードできるようになりますので、当日までに2通をプリントしておきます。これは登山口での手続きに必要になります。

それともう一つ、警察への入山届が必要になります。

入園許可証のメールには、警察署への入山届申請のためのリンクが貼られています。それをクリックして申請をすると、入山許可証のPDFと名簿のPDFが添付されたメールが届きます。

追記）こちらも2023年4月現在では免除となっており、入園許可が下りた時点で終了のようです。現地で確認されることはありませんでした。

こちらも当日までに2部プリントして、入園許可証と一緒に提出します。

「入山人員名冊」という名簿も添付されてきますので、こちらもプリントして持参します。

したがって、現地での入山手続きに必要な書類は、

1. 雪覇国家公園の生態保護区へ立ち入るための「入園許可証」
2. 山岳地帯へ入山するための「入山許可証」
3. それに添付する「入山人員名冊」

ここ3種類の書類をそれぞれ2部ずつ持参する必要があります。

申請後に届くメールに【宿営地不足後補】と書かれていた場合、申請者のキャンセルが出ない限り、自分の申請が受理されない可能性が高くなります。

現在の予約状況がどのようになっているかは、上のキャプチャ画像の場所をクリックして調べることができます。

参考までに、私が三六九山荘を予約申請したときには、申請数がキャパシティを越えている状況で、予約しているパーティのほとんどが5名以上の団体ばかりで、1～2名の登山者はほとんどいませんでした。

つまり、今後キャンセルが出る可能性はあまりないだろう推測できるわけで、私の計画変更を余儀なくされたわけです。

そこで行程が厳しくなりますが、収容人数に余裕がある七卡山荘の予約に変更することにします。

その場合いったん申請をキャンセルし、変更した計画で再申請をします。再びあの入力作業をするのは面倒ですが、仕方がありません。

宿営地の予約状況はカレンダーで確認することができます。上の例では、2019年12月の週末土曜日はすでに106人のキャパシティが満杯になっている状況です。

12月21日は23人の方がキャンセル待ち、12月28日は74名もの方がキャンセル待ちをしている状況です。

いっぽうで平日には余裕があることがわかります。雪山は地元台湾のハイカーにも人気の山。ここは混雑を避けて、あらかじめ土日に差し掛からないようなスケジュールを組むのが賢明かもしれません。

以上で雪山の入山申請までの説明は終わりになります。

オンライン手続きのフォームは2019年12月現在のものです。今後、変更されることがあるかもしれませんが、ご容赦ください。

さて次の記事では、台湾到着から登山口への行き方について説明します。

台湾「雪山」登山口への行き方｜ひとりでもOK！事前予約不要で格安。全て公共交通機関だから、計画変更もカンタン

なお、ヤマレコと旅行記を公開していますので、そちらもご参考ください。 

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