こんにちは!コモ子@やまたび北海道(@ComocoHk)です。
今日の話題は、増毛山地の幌天狗(△1222.1)。
群別岳の南西尾根上のピークで、群別岳はもちろん、浜益岳、奥徳富岳などを間近に見られる浜益の名峰です。
幌天狗の概要については過去記事で紹介していますので、今回は割愛するとして、今回は2020年4月12日に登った時の様子をお伝えします。
〇幌天狗の過去記事はこちら
早朝3時前に前進開始で倒木、藪漕ぎ、雪もない
私が住んでいる札幌市内から石狩市浜益区幌の集落までは、クルマを走らせておよそ2時間の距離。
今回は深夜3時くらいに出発することを想定し、24時頃に自宅を出発します。
登山口の手前には果樹園があり、ここに到着したのは午前2時過ぎ。
日曜なのにクルマは1台も停まっていません。
クルマの中で準備を済ませ、念のためにザックにスノーシューを固定します。
高い所と夜が怖いのに、山のナイトハイク。
ビビりの私は、ヒグマやエゾシカといった野生動物との遭遇より、暗闇そのものに怯えるのでした。
幌川沿いの林道ゲートに到着すると、手前に1台のクルマが停まっており、他の入山者がいることに一安心。
そこからやや進むと、林道脇に刈り分けされた古い作業道があり、そこから2万5千図の点線道が続いています。
そして、まもなく藪漕ぎが始まります。
明るい時間の画像だとこんな感じ。
閉じたゲート脇から林道を歩きだし、100mちょっとのところから右側に点線道が分かれています。
標高200m付近に沢を渡渉する箇所がありますが、その手前には数か所で倒木が道を塞いでおり、通過するのに意外と時間がかかりました。
北側の斜面一帯の木々が相当数倒れており、その一部がここまで流れきたものと思われます。
渡渉点にはすでに雪がほとんどありませんが、靴を濡らさず渡ることが可能。
明るい時間であれば、点線道をショートカットをしながら登っていけるのですが、この時間はまだ暗いために点線道を忠実に辿っていきます。
一部、完全に藪の中となってしまう箇所がありますが、そこを抜けるとこれまでの作業道と同じくらいの道路状況に戻ります。
標高330m付近から450m付近の大きく2回くの字になっている箇所では、点線道をシートカットを試みましたが、途中で雪が切れて猛烈な藪漕ぎとなり、心が折れそうになりました。
標高500mを越えると一面に雪原が広がる
心が折れそうになりながらも、何とか標高500mくらいまで詰めると、そこにはどこまでも続くかのような雪原が広がっています。
そして、薄っすらと夜が明けてきます。
今日の天気予報では快晴になっていますが、この時間帯はまだ雲が広がり、風も吹いていました。
朝3時の天気図はこんな感じ。
私の読図は小学生レベル。これから学ぶより、アプリを活用して精度の高い情報を手に入れるのがいいのかな。
稜線に出てから夜が明けると、オレンジに染まる峰々の眺めに感動するもの。
でも私は、今回のように森林限界を超える前に夜が明けてくる瞬間も好き。
なんと言うのか、自然と一体になれるというか、地球と同期している実感がわくのです。
そして暗闇の恐怖から解放されて一安心。
2018年4月に登った下ホロカメットク山や、6月のウペペサンケ山を思い出しました。
上の画像は帰りに撮影したものですが、樹林帯の中からでも幌天狗の山頂部は良く見えます。
ほとんど傾斜を感じないような長い平原を抜け、標高点・745くらいまで登ってくると、いよいよ近くに感じられます。
これも帰りに撮影した画像で、ちょうど・745の付近からですね。
この後はだんだんと傾斜がついてきて、1つ1つコブを越えて行くような感じで高度を上げていきます。
振り返ると、自分が登ってきた広い尾根が朝陽を浴びて白く輝き、その奥には石狩湾の眺めも。
こうした地道な一歩一歩が大きな成果を生み出すところに、登山の醍醐味が凝縮されていると思うのです。
Each step leads to victory.
2018年のクアラルンプールマラソンで出会った大好きな言葉。
人は、小さな成功体験を積み重ねることで、人間としてのキャパが広がると私は信じます。
△943.6付近からパウダースノーが広がっていましたが、スノーシューに換装するほど沈むほどではありませんでした。
標高点・1044の登りはかなり急に見えます。
雪が腐れば問題ないでしょうが、早朝はまだ雪が締まって固いので、△943.6からアイゼンを装着しました。
あとは山頂まで再び緩やかな登り。
山頂付近にはまだ雲が残りますが、じきに晴れる見込み。
左手には浜益岳へと続く南西尾根がほぼ平行に走っていて、登山の起点となる場所はこちらの幌天狗(群別岳南西尾根)と一緒。
概要は「新版 北海道の山と谷3」で紹介されているので、一読することを推奨。
そうそう、幌天狗については、北海道雪山ガイドにも紹介されているので、こちらもお見逃しなく。
山頂が近づいてくるころには、進行方向の右手に奥徳富岳も眺められ、あちらの南西尾根も魅力的。
個人的な意見では、暑寒別岳から眺める奥徳富岳が好き。
幌天狗の山頂直下で、いよいよ群別岳とご対面
山頂直下でいよいよ群別岳とご対面。
ずっと雲がかかっていたのですが、6時45分頃に一気に雲が晴れて風も収まりました。
直近30分くらいの間、指先が痛くなるくらい冷えきってしまったのですが、太陽が高くなってきて日差しが強くなったので、カイロを出さずに済みました。
山頂から眺める群別岳(右)と奥徳富岳(左)。
手前に見えるのは幌天狗から続く群別岳の南西尾根で、コブを幾つか越えて南陵へと続いているのだそう。
季節は4月中旬に差し掛かっていますが、それでもおいそれとは登れそうにない感じ。
なぜなら自分は高いところが苦手だから、、、
群別岳の南西斜面はとっても急峻ですが、ああいう壁のようなところを攀じ登りたいという心理は今のところ1ミリもない私。
そういった楽しみ方が理解できるようになれば、山岳界の奥深さをもっと知ることができるのでしょうね。
ちなみに、北斜面も非常に急峻。
2017年4月に浜益御殿と雄冬山の中間あたりから見た鋭く突きあげる群別岳の姿は、今でも強く印象に残っています。
【浜益御殿・浜益岳・雄冬山】4月残雪期のスノーシュー日帰り登山
2018年5月には念願の山頂へ登ってみまして、やっぱりここ幌天狗から眺めるのが一番幸せだと思っています。
こちらは浜益岳。
この時間帯は順光になるので、白さが際立ってとっても眩しい。
来週末も晴れれば、登りに行きたいという衝動に駆られます。
三脚の雲台の調子が悪くて、EOS KISSの重量にすら耐えられず、GRでセルフィー。
1時間くらい眺めを楽しんで、下山開始。
今回で2回目だけど、日本海側の天気さえ安定すれば、毎年のように来たい山でした。
幌天狗から長くて暑~い下り
スキーなら一瞬で楽しく下りられそうなゲレンデだけど、ツボ足でも十分楽しめます。
しかも歩いたほうがエネルギーを消費するので、ダイエットにも効果絶大!なはず。
でも、時刻が9時を過ぎてくると、雪が一気に腐り始めて足取りが重くなりはじめます。
またこの尾根が長いんだなぁ、これが、、、
標高500mから下り始めると、ほとんど雪が無い作業道。
幸運にもスキーのトレースを発見し、うまくショートカットして楽に下りられました。
途中で50m以上離れたところを登っている2名を見つけたので、おそらくこの方々のトレースでしょう。
作業道の脇にテントが張られていたので、ゲートに駐車していたクルマのグループだったのかな。
クルマに戻ると、道路わきにはタヌキが。
近づいても逃げる様子もなく、その後ものんびりと歩いて行ったので、かなり高齢なのでしょうか。
犬を飼ったことがある人なら分かるでしょうが、晩年は散歩に連れて行っても、途中で休んで動こうとしなくなる、まさにあんなイメージ。
優しく見守るしかありません。
帰路は新しくなった道の駅 石狩「あいろーど厚田」へ。
今日のように晴れていれば石狩湾を挟んで、積丹半島の白い峰々も見えるので、おススメのスポットです。