Kindle Unlimitedで期間限定読み放題が終了した地球の歩き方シリーズだけど、「インドネパール’82~’83版」も電子書籍で復刻されており、これがなかなかヤバい。
この本を手に取って興奮するのは、僕らの世代より上のバックパッカーだった人か、それより若くてもインドに行ったことがある旅人くらいかもしれない。
実に限られた世界でマニアックだ。
電子書籍でなくて古本屋さんで見つけるのもいいかもしれないが、きっとすぐには手に入らないだろう。
表紙には”インドとネパールを1日1,500円以内で ホテルなどの予約なしで鉄道とバスを使って旅する人のための入門書”とある。
そんな「入門書」がいったいどんな中身なのか、恐るおそる確認してみた。
旧表記の都市名に時代を感じる
発売された昭和56年と言えば、僕がまだ8歳の頃。
今から40年近く昔の話だ。
編集に携わった方は、僕の両親と同じ団塊の世代で、当時30代半ばだったらしい。
世界を駆けたライダーの加曾利隆さんと同世代だから、きっと中身の濃い旅をしてこられたのだと思う。
で、まずは主要な都市の名称が旧称(英語名)だ。
インド第2の都市ムンバイはボンベイ、第3の都市コルカタはカルカッタ、第4の都市チェンナイはマドラスと呼ばれているところに、歴史を感じる。
余談だけど、チェンナイはインド、チェンマイとチェンラーイはタイだ。
カタカナにすると似ているので紛らわしい。
一般の人なら、3都市のうちどれ一つ知らないかもしれない。
エアアジアで到着地を検索する時に間違えそうになるのは、僕だけではないだろう。
当時は航空券も高かったし、旅券や査証も異なっていた
インドに遊びに行くと言っても、当時は航空券の値段も高かったようだ。
貧乏学生のバックパッカーが、おいそれと捻出できるようなものではない。
年単位でアルバイトをして資金を貯め、決死の覚悟でチケットを手に入れたに違いない。
昭和56年と言えば、プラザ合意より遡ること4年近い話なので、1ドル=269.4円という水準だったらしい。
当時、日本ーバンコクの運賃は”非常に安く、往復設定ものだと10万円くらい、1年オープンものでも11万円~13万円”というから今どきの感覚で言えば驚きだ。
僕が4か月前の2月に新千歳からバンコクへ行った時は、その5分の1、往復2万円を切っていたのだから。
いかに、コロナ以前のここ数年が、旅行者にとって恵まれていた環境だったかが分かる。
で、東京からパキスタン航空やエジプト航空でバンコクへ飛ぶのがスタンダードで、バンコクで他社便に乗換えてインド入りすると、往復15万円台が最も安かったらしい。
パスポートやビザについても状況が異なる。
当時は一回往復旅券(一次旅券)と数次往復旅券(5年間有効)の2種類だったようだ。
ビザに関しては最近(コロナ以前)より緩い。
”30日以内の観光旅行なら査証は不要”だったらしい。
僕が昨年1月のムンバイマラソン参加で訪れたときは、ビザの取得にかなり苦労した。
当時のブログはこちら ⇨ 【海外マラソン|インド|ムンバイマラソン2019】
ビザはウェブサイトから申請できるが、フォームに入力してトランザクションが完了するまでに約4時間を要してもダメで、一度挫折した。
その後、日にちをおいてからリトライして何とか入手できたのであった。
今ならちょっと問題になりそうなコラムも。
もう一つ、今どきなら問題になりそうなページがある。
”あまりサエては困るから、法律が禁じる?〇〇〇〇”という1ページにわたるコラムだ。
○○〇〇は想像して欲しい。
ブログにこのワードを書くと、Googleのポリシー違反になる可能性があるので、直接書かない。
で、まず書き手のスタンスが「絶対ダメ」ではない印象。
この種類は「あり」、これ以外は「絶対避けよ」という感じだ。
”こういった〇〇〇〇をやるのは、酒を飲むのとは違って、キミの「存在への旅」の手がかりになり得るもの。…(以下略)”
昔を懐かしむようになると、それは老いた証拠だと思うが、そんな昔の1ページを開きたいと思う方は電子書籍の復刻版を手に入れて欲しい。
冒頭に触れた通り、僕は期間限定読み放題で読んだので無料だったが、今なら普通に1,848円なのを付け加えておくけれど。
地球の歩き方 3 インド・ネパール 1982-1983(初版復刻版) インド・ネパール初版復刻版 Kindle版