予定より1日公開が遅れましたが、先日の十勝連峰の縦走について、後編を書いていきます。
今回は美瑛岳と美瑛富士とのコルの場面から。
この時点で、時刻は午前10時頃。
十勝岳温泉から約6時間45分、富良野岳からすでに4時間30分が経過しています。
当初の計画では、オプタテシケ山到着が12時30分頃を予定していましたので、30分くらい早めに到着できそうです。
さて、美瑛富士の南東側に付けられた縦走路は両脇がハイマツなどで囲まれ、石垣山とのコルへと続いています。
途中にある雪渓は、富良野岳~オプタテシケ山の区間では最も遅くまで残ります。
雪渓の終わりが見えないくらい、かなり幅広いものでした。
石垣山を登ってベベツ岳へ
美瑛富士の裾野を巻いて広場に出ると、次に現れるのが石垣山。
その名の通り、岩雪崩のような斜面になっています。
向かって左手に美瑛富士避難小屋があり、登りに差し掛かる手前にはお花畑が広がります。
ここの小屋は1泊2日でオプタテシケ山に登る方と、縦走する方がバッティングして混雑すると言われています。
先ほどの美瑛岳とのコルにも小屋とキャンプ指定地があれば、棲み分けができて分散できると思うのですが、きっと簡単ではないのでしょうね。
石垣山の登りはそれほど大変ではないのですが、ガスがかかるとロストする可能性があります。
一部の岩には道標として黄色のペンキが塗られています。
この山はピークを通過せず、いつの間にか次のベベツ岳への縦走路を歩いている、そんな感じ。
今回、縦走路でチングルマが咲いているのを見たのは、唯一ここだけ。
途中で軽装のトレイルランナーっぽい方2名とすれ違いましたが、グループで行動すると装備を分散できるのがいいですよね。
ベベツ岳とオプタテシケ山の間には、長い下りと登りがあるので、一気にテンションが下がる場面。
下る直前には大きなケルンがあり、ここで一呼吸を置いてから意を決して下りていきます。
コルまで下りるとそこはお花畑。
登山道の両脇や、道の真ん中にもお花が咲いていて、間違いなく癒される場面です。
そして最後のオプタテシケ山への登り。
最初のピークまではジグを切りながら高度を上げ、続いて美瑛側の岩場をトラバースするようなイメージ。
ラスト一部だけが急登ですが、全体的にはそれほど大変ではなく、時間が解決してくれます。
山頂から眺める表大雪。縦走の衝動に駆られるシーン
山頂到着はちょうど正午。
僕が初めてこの山に1回目に来たのは、2012年の標高年。
14年、15年、そして今回で4度目だけど、こんなに晴れたのは初めてで、表大雪までよく見渡せます。
トムラウシ山まで歩いて行きたくなる、そんな衝動に駆られます。
先客が1名いましたが、僕の存在に気付いて下山してくれたようで、しばらく一人の空間を楽しめました。
ここまで4度来ているわりには、この先トムラウシ山までの区間は一度も歩いたことがなく、いつどのように歩いてやろうかと思案しながら帰路につきます。
この先は下ったら最後、戻るのは困難ですし、エスケープルートも皆無。
道も荒廃が進みつつあるとの話を聞きますので、決して簡単ではないものの、何とか今年中に歩きたいと思います。
概ね1時間に1回のペースでチョコレートやパンなどを少量ずつ口にし、水も2リットルくらい消費しました。
ここで塩分が欲しくなって、ポテトチップスを開けます。
ポットにミロを入れてきたのですが、甘いものではなくてコーンスープか味噌汁にしておけば良かったと後悔。
僕は胃腸が弱いので、何をどのように補給していくべきか、今回はいろいろ試してみました。
行程の最初は、おにぎりやパンなど重たいものを食べたものの、それ以降は炭水化物をほとんど摂っていません。
どうやらそれで正解だったみたい。
帰りはずっと雲の中
さて下山、と言うか折り返し。
十勝側から雲が上がってきて、帰路はずっと視界不良が予想されます。
2014年は美瑛富士付近で霧雨となってしまい、ポンピ沢を経て十勝岳の登山道へ合流しましたが、2015年は雲の中を我慢して上富良野岳まで戻りました。
出来る限り車道歩きはしたくないので、雨さえ降らなければ、上富良野岳まで稜線を歩きたいところ。
オプタテシケ山からの下山中に、先行の方を追い抜いたのですが、石垣山を下りた所まで背後をマークされたので、ややペースが上がって疲れました。
お陰で14時前に美瑛岳と美瑛富士とのコルまで戻れたので、美瑛富士にも立ち寄ることができました。
美瑛富士の山頂標識までは約20分、雲の中で何にも見えず。
美瑛富士を下りると、懸案の美瑛岳への登り返し。
コルからこの坂を見上げると、望岳台へ向けて下りようかという弱気モードに入りがち。
でも、実際に登ってみると40分程度なんですよね。
それよりも、十勝岳方面への分岐点から美瑛岳山頂までが遠く感じます。
ただ、ここの眺めは最高ですからね、やっぱり寄っておかないともったいない。
美瑛岳から鋸岳までの区間が最も多くのガスがかかり、またもや視界不良に悩まされます。
そんな中、エゾシカの姿を確認し、こっちを向いてピーピー鳴いていました。
彼らが標高1,900mくらいまで上がってくるなんて思ってもみなかっただけに、ちょっと驚き。
オプタテシケ山からの復路では、3名しか会っておらず、たとえ野生動物でもホッとします。
鋸岳のザレと雪渓に苦戦しながらも、ガスが晴れてきて十勝岳のピークが見えてきた頃、時刻はすでに17時。
十勝岳山頂付近は冷たい風が吹き、すでに稜線上の雲は少しずつ下がりつつありました。
朝、チェストストラップのバックルが壊れてしまい、それからカラビナで代用していたので、ザックを下ろすのが面倒だったのですが、寒さには勝てなくなりここで上着を1枚着込んで縦走路を進みます。
時刻は17時30分、18時30分には上富良野岳に着きたいところ。
予定通り、18時30分に上富良野岳に到着。
オプタテシケ山からおよそ6時間30分の道のり。
美瑛富士に寄らなければ6時間ということで、往路より1時間多くかかっていますね。
上富良野岳からの下りは、残雪が多かったこともあって、ほぼコースタイム通りの約1時間半で下山できました。
総歩行時間は16時間50分(休憩を含む)。
2015年に同じコースを歩いたときと比較すると、後半の美瑛岳から上富良野岳までの区間で時間がかかっています。
しかしながら、肉体も胃腸も疲労感が少なく、省エネで歩く技術が少しだけ身に付いたような感じもしています。
十勝連峰全山の日帰りを3度もやると、新鮮味を感じなくなり、自分自身に対して意義を問いたくなる瞬間もあります。
ただ、僕の中ではベンチマークテストみたいなものなので、体力的に出来ないと感じるまでは定期的にやり続けるように思います。