大雪山系でお気に入り、ニペノ耳(JP)からの眺め
ニペノ耳は石狩連峰の南西端にあることから、ここからの眺めは格別です。
表大雪から十勝連峰へと続く山並みはもちろん、ニペソツ山やウペペサンケ山、クマネシリ山塊といった東大雪の山々、それと石狩岳へと続く稜線、360度のパノラマという表現がピッタリです。
個人的には、美瑛岳、化雲岳、白雲岳、平山に並んで好きな場所の一つ。
単独で来れば、まず人と会うことがないことも魅力です。
JPと言うだけあって、ニペソツ山側の稜線が見られるのも特徴。
ニペソツ山やウペペサンケ山は、石狩岳の山頂はもちろん、音更山からユニ石狩岳への稜線からでも見られるものの、JPから落ちていく稜線が見られるのはここだけ。
こちらは石狩岳へと続く稜線。
石狩岳って日高の幌尻岳のように存在感が大きく、まさに盟主と言う感じ。
ちなみに稜線の途中には、川上岳と呼ばれるマイナーなピークがありますが、稜線上ではわりと顕著なピークです。
さて、クチャンベツ登山口からここまで約6時間が経過、時刻はすでに10時を回っています。
折り返しをするには、11時をタイムリミットと決めていたので、このペースでは石狩岳までは行けず、ここで帰るのが妥当です。
「根曲がり廊下をもう一度歩くのは、まっぴらゴメン」モードに入っているので、このままユニ石狩岳を目指すことに。
ニペノ耳から石狩岳を越えて音更山へ
石狩岳へと続く稜線では、コマクサの姿をあちらこちらで確認できます。
ユニ石狩岳までの間で、特に群落が大きい場所を順に挙げると
- 十国峠からユニ石狩岳山頂の間
- シュナイダーコース分岐から音更山の間
- ブヨ沼から十国峠側に少し上がったところ
この3ヵ所。
いずれにせよ、この稜線上は他の山域に比べ、コマクサが多く咲いている印象を受けました。
小石狩岳付近では、正面に表大雪を、右前方には石狩岳の山頂が間近に見られるスッキリとした稜線。
シュナイダーコースから石狩岳を目指す場合、山頂標識がある手前の1966ピークに加え、最高地点1967でゴールとすることがほとんど。
天候が穏やかで、体力と時間に余裕があれば、小石狩岳まで足を延ばしてみる価値があります。
その一番の理由はこれですね。
石狩岳の姿がカッコいいから。
前天狗から見るニペソツ山に引けを取らないような、そんな風格があるんです。
石狩岳の最高点には、10名くらいの登山者が休憩している最中で、少しお話をしました。
時刻は11時過ぎ、沼の原で1名とスライドして以来、5時間以上すっと1人だったので、何だか不思議な感じ。
コロナの影響でしょうか、みんな同じ方向を向いて座っているのが印象的。
最高点はスルーして、標識のある方のピークで写真を撮って、シュナイダー分岐へと下りていきます。
音更山からユニ石狩岳登山口へ
シュナイダー分岐で2名の登山者と挨拶を交わしてから、三国峠まで約10時間誰ともスライドせず。
この山域は北海道の中でも、本当に人の気配がしませんね。
次いで音更山へ。
大きなガレの斜面では、チッチッとナキウサギの鳴き声も。
こういう感じの岩場は、トムラウシ山や白雲山、ニペソツ山で見られますよね。
音更山には、20代の頃に1度だけ来たことがありますが、その時は小雨模様で視界がありませんでした。
なので、機会があれば再訪したいと思っていたものの、石狩岳やユニ石狩岳のついでに登るということもなく、なかなか実現できませんでした。
当初の計画で、音更山を目的地にしていたのもそんな理由から。
時刻はちょうど13時、表大雪の眺望が見られるのも、ここで最後です。
音更山からの下りは、最初がなだらかに続くものの、ある地点から一気に下降してアップダウンを何度も繰り返します。
この稜線は良いトレーニングになるので、ユニ石狩岳登山口から石狩岳までの周回登山は、理にかなっていますね。
20年ほど前に酒盛りをやったブヨ沼キャンプ指定地を過ぎ、十国峠まであと僅か。
空も青空が見えなくなってしまい、写真の数も少なめ。
十国峠到着は15時頃、ユニ石狩岳がずっと高く見えて気分が萎えますが、最後の登りなので気合を入れてスタート。
山頂到着は15時30分頃、遥か彼方に見えるニペノ耳から約5時間30分をかけてやって来ました。
ここに来るのは数年前の4月の残雪期以来、3度目。
もう、来ることはないかなぁ、、、って感じ。
十国峠を16時に出発して下山開始。
この登山道はこれまでの区間でもっとも歩きやすく、1時間半後の17時30分に登山口へ到着。
クチャンベツ登山口から、約13時間にわたる行程に終止符を打つのでした。
水分は全部で5リットルを担ぎ、残り約1.5リットル。
ここで、案内標識を見て愕然。
林道を歩いて国道を出て三国峠を越え、大雪湖から再び林道に入ってクチャンベツ登山口までの行程がザックリ40kmはありそうだということ。
正直、25kmくらいだと思っていただけに、ショックが大きいです。
⇨番外編「ユニ石狩岳登山口から三国峠を越え、クチャンベツ登山口へ真夜中の徒歩紀行」に続く