2部構成でお伝えしてきた今回の山行記録。
前回の記事で山岳編は終了しましたが、番外編の徒歩移動についても記録に残します。
⇨第1部「祝 クチャンベツ登山口への林道解放|沼の原を経て縦走路から石狩連峰へ」
クチャンベツ登山口を早朝4時に出発し、縦走路を経て石狩連峰を踏破する旅は、17時30分にユニ石狩岳の登山口で一先ず幕を閉じました。
しかしながら、クチャンベツ登山口まで車を回収しに行かなければなりません。
直線距離だけで見積もって、国道までの林道が5km、国道区間が15km、最後の林道が10km、合わせて30km程度がありそうです。
でも実際には45kmオーバーも距離があり、到着は空が白み始める午前3時30分頃でした、、、
音更川林道から国道までの道のりが意外と長い
ユニ石狩岳登山口(シュナイダーコース登山口も含む)から国道へ通じる林道は2016年の大雨で大きく被災し、ルートが変更になっています。
これは、2017年8月に岩間温泉へ偵察に行った時に確認していて、その時も林道の途中にスクーターを停めて徒歩で歩いています。
なので道迷いの心配はありませんが、ヒグマとの遭遇は避けたいところ。
できれば日没前には国道まで出たいところです。
それにしても林道の長い直線は、オフロードバイクなら面白いものの、徒歩には辛い、、、
国道まで約2時間半、19時50分に到着。
看板が新しく建てられており、正規のアクセスルートとして登録されたようです。
前夜は満月で月がとっても明るい夜でしたが、今日は雲に隠れてそれほど明るくないですね。
それにしても、ここまで12kmもあったなんて、、、
深夜の三国峠の交通量は僅か、と言うかほぼいない
国道沿いであれば車も通行するので、ヒグマに遭遇することはまずないだろうと思いますが、実際には5分に1回通るかどうかの頻度。
23時を過ぎると、1時間に3台くらいしか通らないし、ほとんどトラックばかり。
ユニ石狩岳から、現在通行止めになっているユニ石狩林道へ降りればかなりショートカットになったと思いますが、この選択はあまりにもハイリスクなので、こうして国道を歩いています。
三国峠へ向けて少しずつ高度を上げていくのですが、なかなか近づきません。
国道273号線は自転車や歩行者に優しく、路側帯が広めですが、橋に差し掛かると狭くなるので慎重に。
自転車用のLEDライトを持っていたので、車の音が聞こえると点滅して自分の存在を知らせます。
三国峠までの区間はずっと単純な登り基調。
すでに足が痛く、走る筋肉と歩く筋肉では異なることを痛感。
林道出口から1時間半後の21時30分頃、やっと三国峠へ到着。
ここの駐車場に自販機があればコーラでも飲みたいところですが、どうやら無いようです。
この段階で残りの水は約1リットル、行動食はそこそこ残っています。
ヒッチハイクも検討したのですが、さすがに深夜では相手も驚くでしょうから、何とか自力で。
また、防水のシュラフカバーとダウンジャケットを持っていたので、夜が明けるまで三国峠でビバーグすることも考えました。
でも、吐く息が白くて意外と気温が低そうだったので、それも却下して先を急ぎます。
何よりちゃんと寝たいし、早くセイコーマートの豚丼を食べたい、そんな気分。
トンネルの中で対向車のトラックが通過後に急停止して、「熊出るぞー、乗っていけ」と声をかけてくれました。
彼は帯広方向に向かっていたので、「大丈夫!ありがとう!」と言って別れます。
僕の認識では、ヒグマは夜行性ではないので、日没前後と早朝を避ければ大丈夫だと思っていたのですが、正確には「ヒグマは夜行性ではないが、夜間も活発に行動する」のが正解みたい。
まあ、念のため熊鈴を鳴らしながら歩いていましたが。
ちなみに過去にヒグマを目撃したのは、2015年の夕張岳(早朝の林道)、2014年のカムイエクウチカウシ山(日中の雪渓)、2017年の知床(岩尾別温泉への林道)、この3回しか経験がありません。
三国トンネルに入ってからは、ずっと下り基調。
僅か1kmちょっとのトンネルでも、徒歩だととても長く感じます。
トンネルを抜けたところから上川町。
三国峠と言うだけあって、市町村の境目になっています。
三国峠からの下りでは少しだけランを入れますが、スマートバンドの心拍数表示がアラートを発して170くらいまで上がるので、徒歩に戻すことに。
心臓はバクバクしていない平常通りなので、誤作動の可能性がありますが、一応念のため。
三国峠を越えてからクルマがほとんど通行せず、2時間後にやっと撮った写真が上の1枚。
幻覚ではないのですが、たまに見えないものが見えてハッとすることも。
昔、陸上自衛官だった頃に体験したOCSの100km行軍を思い出しました。
日付が変わって7月6日の0時20分。
やっと高原温泉への町道入口の看板が現れました。
スマートバンドの万歩計機能は日付が変わるとリセットされるのですが、ここまで7万5千歩くらい。
国道を離れて、最後は層雲峡本流林道へ
再び未舗装区間へ。
山岳地帯特有の小雨が降ってきたので、モンベルさんのバーサライトを着て(雨具はもう1組持っていたけど、小雨程度ならバーサライトで十分)、砂利道を行きます。
ヘッドライトも電池切れ間近で光量が頼りなく、自転車のLEDを併用しながら。
たまに動物の気配がすると、だいたいシカですね。
お互い驚いて「鹿!コノヤロー!」って叫んだり。
国道273号から層雲峡本流林道のゲートまで約1時間。
「早く車に着いて、車中泊したい」という一心でテクテク歩くものの、クチャンベツ登山口に到着したのは午前3時過ぎ。
空はもはやヘッドライトが不要なくらい白み始めていて、全工程およそ23時間に幕を閉じたのでした。
正直言って、前半の山岳地帯の約13時間半よりも、後半のロード約10時間のほうがキツかったですね~。
泥のように眠りにつくものの、7時に激しい砂利の音がして目が覚め、隣りにはこれから沼の原に登ろうとしている女性が。
さらにもう1名の男性も到着し、お二人と少しお話をしてから札幌へと帰るのでした。
感性を研ぎ澄ませる、なかなかいい経験ができました。