ここ数年ナイトハイクをする機会が増えて、それに伴いヘッドライトの出番が増えた。
今でも登山で使用する光源=ヘッドライトという常識にとらわれがちだが、先日のクチャンベツ登山口⇨沼の原⇨石狩岳⇨ユニ石狩岳⇨三国峠⇨クチャンベツの山行で、自転車用のLEDライト最も役に立ったことから、装備について考えなおす機会を得た。
20年以上前に山歩きを始めたとき、僕は単3電池4本使用で豆電球タイプのナショナルのヘッドライトを使用していた。
バイクで日本一周の旅をした時に、テントの中で毎晩使用していたものだ。
20年も経つと科学技術は進歩して、今ではLEDが常識だし、電源も充電池が使用できたり、USB充電ができるものもある。
ブランドにこだわらなければ、安価な商品もたくさんある。
顔の向きに合わせる必要や、両手を空ける必要があるか?
ヘッドライトの長所は、上記の見出し通り、
- 自分が見ている方向を照らす
- ライトを手で待たないので両手を開放できる
この2点だと思う。
3点支持が必要な岩場では両手を開放しておく必要もあるし、ストックを持っている場合や厚い手袋を着用している積雪期などでは手がふさがっているので、頭部にライトを付けるのは理にかなっていると思う。
しかし、山歩きのスタイルや山域によっては、必ずしもそうとは限らない場合も多い。
駐車場から登山口まで戻るような車道では、街灯の無い狭い道を車が通行することもあり、そういう場面では光源が大きい方が相手からの視認性が上がる。
林道でシカやヒグマと思われる存在に気付いたとき、いち早くその方向を照らすこともできる。
これが、一般的なヘッドライトの光量だと遠くまで確認できないものだ。
登山開始直後の平坦地で道に迷いかけたときも、遠くまで見通せることで、回避できることだってある。
その他にもなぜ、僕が自転車用のライトを使用するかと言うと、いくつかのメリットを感じたからだ。
- バンドによって、頭部を締め付けられる圧迫感から解放される
- ツバつきの帽子をかぶっていても、足元を照らすことができる
- 顔の周りに虫が集まらない
- 光量が大きいわりには、価格が安い
- ON・OFFがしやすい
- 充電池の容量が大きいので、1回の充電で1夜を歩き通せる
こんなところ。
誤解を与えないように補足すると、ヘッドライトを使用しないほうが良いと言っているわけではない。
基本的にはヘッドライトを装着しておくのがベースで、補助的に自転車用のライトを手に持つスタイルがいいと思っている。
昼間から夜間にかけて歩くことなど通常の計画の中ではまずあり得ないわけで、ふつうは深夜スタートで明け方にかけてライトを使うのが一般的だと思う。
つまり、登山開始から山頂へ向かう「登り」行程で使用するため、「下り」に比べてペースもゆっくりだし、転倒リスクも比較的少ない。
常識を疑って発想の転換ができると、いざという時に役に立つ
他にもこんな例がある。
梅雨時期などの山歩きで、雨具を着用せずに傘をさす人。
稜線のように風がなく、しとしとと雨が降るような場合、わざわざ濡れる必要などない。
平地で傘もささずに雨具を着て濡れているのは、業務上で作業をしないとならない人か、子どもたちくらいだと思う。
だから、山で傘をさすのは間違いではないと思う。
実際、キナバル山に登った時、現地ガイドさんたちはみんな傘を持っていた。
他にも登山靴。
剛性の高くて防水透湿性の高いゴアテックスの登山靴がベストと思われがちだが、全く防水性のないローカットのシューズや、透湿性などみじんもない長靴を愛用する人だって多い。
このように、教科書的な一つ一つのことを見つめなおして自分に合ったカタチに修正できると、いざという時に発想の転換がしやすい。
ヘッドライトの電池切れで行動不能に陥ったとき、スマホがあればスマホのライトを起動して照らすことだってできる。
雨が降っていなくても、寒ければ雨具を着るということも一緒。
たまには一歩立ち止まって、今を見つめなおすことも必要なのだ。
明るく照らす目的は何か?2人以上で行動する場合、後続者の光量が大きいと先行者が助かることもあるし、迷惑なことだってあるかもしれない。光の動きに酔う、眩しいなどだ。ただ、多くの場合において、明るければ明るいほど安全だと思う。