「天気が悪い日は山に登らない」を行動指針にしているものの、行動中に予期せず雨に当たることはあるし、宿泊を伴う山行であれば1日くらい雨の日だってあると思います。
雨のなかでの登山経験もなく、いきなり北海道の標高1,500m級の山々で風雨にやられれば、いろいろな痛い目をみることは明らか。
そこであえて雨の日の低山に登り、経験値を増やしておくことが必要ではないかと思い立ち、大雨の藻岩山に登ってみました。
悪条件下で自分の装備を実際にテストし、装備の最適化を目指します。
動機はトレーニングの一環から
これをやろうと思ったきっかけは、”せっかくの週末に、天気が悪くて山歩きができないなんてつまんない”というところから。
雨が降る中ではロードバイクにも乗れないし、ジョギングだって苦痛。
だからと言って連休に自宅に引きこもっていては、体力が衰えるばかり。
それと、以前から雨の日も楽しめるアクティビティを見つけたいという気持ちがありました。
そこで思いついたのが雨の日登山の経験。
藻岩山は平日も週末も混雑する人気の山ですが、雨の日であれば登山者も一気に減るはず。
しかも自宅から自転車で10km程度で行けるので、お金もかからず安上がり。
普段、藻岩山に登ることに関してワクワク感は感じませんが、目的を変えればそうでもありません。
トレーニングを兼ねれば一石二鳥です。
今回試してみたいこと
今回試してみたいことは次の2点。
- 約20年間使い倒した雨具の有効性確認と、次に購入する雨具のスペックを精査すること
- 装備の防水効果を測定すること
雨具は基本的にほとんど使うことがないのですが、さすがに20年も経過すると買い替えたくなってきます。
山ではほとんど着用していませんが、雨の日のバイク移動でかなり使い込みました。
撥水スプレーの効果もむなしく、すでに撥水性はまったくありません。
サイズや耐久性など、自分に合うものを探ってみたいところ。
私見では、
- 朝露や霧・小雨対策の用途と、暖かい真夏に雨が降った場合の用途
- 初夏や秋の用途と、縦走用の用途
この2つの用途は別々の雨具で対応すべきと考えていて、すでに20年ものとなっている雨具は後者の用途に狙いを定めています。
だから、ちょっと重たくてザックの中で容積も取るし、出番もほとんどないただのお荷物みたいなもの。
いっぽう、前者の用途に購入したモンベルのバーサライト(上衣のみ)を5年以上使用していますが、すでにフードの根元部分が破れているので防水機能が満たせていません。
しかもアウトレットで購入したので、メーカーの要求仕様を満たせていないシール不良があります。
私見では、バーサライトのような軽量でコンパクトな雨具を2セット所有し、季節や天候によって1セットだけ携行するか、2セットとも携行するかを判断するのがいいかと思っています。
必要に応じて重ね着対応することで、積雪期を除くすべてのシーズンに対応できないかと思うのです。
ただ、今までかなりの山歩きをしてきましたが、雨に当たったことはほとんどなく、僕の考えていることがもしかすると机上の空論なのかもしれません。
今回は、経年劣化したバーサライトとウィンドシェルを重ね着して行動し、どのくらいの効果があるかを判定してみます。
もうひとつは、装備の防水についての効果測定。
僕はザックカバーを使用せず、装備の一つ一つをジップロックで包むのですが、カメラやスマホなでの電子機器を含め、本当にこれで対応できるかどうかを試してみたいと思います。
当日の予想天気図と天気図
Yahoo!天気より引用
まず、天気図を見てみると、西から低気圧が近づいてきます。
これを書いている前日夜の段階で、すでに札幌市内は雨が降っています。
Yahoo!天気より引用
札幌市南区・中央区ともに明け方から雨の予報で、午前9時頃は強雨の見込み。
降水量14mmは、かなりまとまった雨が降るものと見て取れます。
週中から連日真夏日を記録していた札幌市内も一気に気温が下がる予報で、正午でも14℃までしか上がらないみたい。
真夏の大雪山系であれば十分に考えられる状況なので、かなり実戦的な状況下でのテストができそうです。
持って行く装備
装備は上の画像の通り。
ここ最近いつも使っているサロモンのトレイル20を背負い、着衣は長袖Tシャツの上にウィンドシェルとバーサライトを重ね着、下半身はタイツの上に雨具、足元はトレランシューズのスピードクロス4。
いつもは100円ショップの手袋を着用しますが、今回は濡れるので未着用で素手のまま。
気温が低めで雨に濡れた場合、指先が思い通りに動かせるかどうかも確認してみます。
ザックの中身は着替え一式、小物類をまとめたもの、シュラフカバー、携帯トイレ、トイレットペーパー。
これらをそれぞれジップロックに入れて収納します。
いざ藻岩山へイコー!
自宅から藻岩山の登山口まではおよそ10km。
朝5時の段階ではまだ雨がほとんど降っておらず、自転車で南郷通⇨環状通⇨藻岩山麓通を経て、慈啓会病院へ向かいます。
途中でおやつを買って、約40分の道のり。
豊平川を越える頃から雨が降り出しますが、石山通との交差点付近に差し掛かった時点では、まだ山頂は見えていました。
自宅を出た瞬間に雨が降っておらず、「何だよ、雨降ってないのかよ」とガッカリ。
藻岩山が近付くにつれて雨が強くなり、「よしよし、もっと降れ降れ~!」とワクワクしはじめます。
これって、普段ならまともな考えじゃないですよね。
要するに、いま起こっている一見ネガティブと思われる事象なんて、立場や見方を変えれば肯定的に捉えることができるってこと。
しばらくして登山口へ到着。
藻岩まで行くのは面倒と思っていたけれど、意外と近く感じたのでこれからも頻繁に通うことに決定。
で、さすがにこの雨の中では誰も登っていないだろうと思いきや、かなりの台数のクルマが停まっていました。
僕と同じおバカさん(失礼)がいっぱいいるんですね。
慈啓会病院前から山頂へ
馬の背までの間に数人の人とスライドし、ほとんどの人が下山間近の様子。
みなさん傘をさしていて、足元は長靴仕様。
ウチの母と同様に日課のようになっていると思われる方ばかり。
どんな天気でも対応しちゃう強者たち。
雨脚が強くなるなか、これから登っていく人も2~3人いて、どちらかと言えばやはり年配の方々。
馬の背付近の平坦地は水没しかけていましたが、みなさんヘッチャラのようです。
約40分で山頂へ到着。
これだけ雨が強いと、雨具を着用していても全身ずぶ濡れです。
僕の後にもう1名の登山者が登ってきましたが、すぐに下山された様子。
おやつを食べたりコーヒーを飲んだりして15分くらいチョロチョロしていると、やっぱり体が冷えてきて寒さを感じます。
手指も冷たいですね。
Yahoo!天気より引用
ちなみに帰宅後にYahoo!天気で確認してみると、3時間降水量は38mmとなっていました。
ナイスタイミングでの山行です。
屋上にも自販機があるのを知らず、下のフロアで冷たい缶コーヒーを購入したのですが、屋上には温かい飲み物もありました。
電子マネーも使えるので便利。
下のフロアには休憩室もあり、営業時間外でも利用できます。
山頂はいつの間にやら「恋人の聖地」に認定されたらしく、「幸せの鐘」の周囲には「愛の南京錠」が。
この南京鍵をかけるのって、藻岩山の山頂にもあるんですね。
どこかで見た記憶があるな~と考えていたら、、、
1年前に行った、韓国大邱のアプサン展望台でした。
⇨韓国大邱旅行記|新千歳からエアプサンで行く八公山とアプサン展望台、ついでに雨竜沼湿原
ちなみにアプサンもカップルが多いですが、その傍らで地元のじっちゃんばっちゃんがハイキングをしていました。
”1,000円で固い絆が得られるなら安い”と感じるか、”えっ!1,000円もすんの?”と感じるか。
いずれにせよ、無人店舗で売り上げが立つなら、いい商売ですよね。
僕なら、プレミアム南京錠みたいなものをラインナップに入れ、3,000円とか5,000円で販売するかな~。
雨が強くなる中、いよいよ下山
さて、下山開始。
雨足がますます強くなり、水たまりもご覧の深さ。
スピードクロス4は濡れてもあまり気になりませんが、ここまで濡れると中の靴下がよれてくる感じ。
馬の背の合流地点はご覧の通り。
山頂方面からの登山道と小林峠方面からの登山道からそれぞれ水が流れて合流し、慈啓会病院方面の登山道(写真右側)へ流れていきます。
残雪が解けてこのようになることはありますが、雨によって木段が川になるような経験はなかなかできないかも。
濡れた木段は滑りやすいので注意が必要です。
ゆっくりと慎重に下山完了。
登り40分、下り60分ってなぜ?
下山時はもう一人の方が撤収中でしたが、その方が出発された後はご覧の通り。
8月下旬の日曜日、午前8時に駐車場に1台も停まっていないなんて信じられます?
すっかり雲で見えなくなってしまった藻岩山の山頂部。
ここまでずぶ濡れになってしまうと、自転車移動も楽しくなってきます。
9時には帰宅完了。
気になるザックの中身ですが、ザックの中には水が溜まっていたものの、ジップロックの中に入れていた荷物は無傷。
3時間以上強い雨にあたっても、中身をしっかり防水すれば問題ないことが分かりました。
また、ウィンドシェルのポケットに入れていたマスクも、ほとんど濡れていません。
ただし何度も出し入れしたスマホやカメラは、やはりそれなりに濡れていたかな。
雨具に関してはたとえスペックが低くて濡れてしまっても、行動し続けることができれば何とかなると思います。
しかし、停滞する可能性があるシーンでは濡れることは命取り。
今日の藻岩山のように気温が20℃を下回るくらいだと、体温がどんどん奪われます。
これに風が加わればちょっと怖いですね。
やはり相応のスペックがあり、重要なのは撥水効果がしっかりと残っているものを身につけなければ危険だということを身をもって感じました。
これからも何度か同じことを繰り返し、軽くてスピーディな山歩きを追求しつつも、しっかりと安全を確保できるような装備の最適化を目指したいです。