2日間ブログ更新を休んで、今年最後の(?)ロングハイクに行っていました。
行き先はニセコ連山。
大雪山系が紅葉最盛期ということもあって、高根ヶ原の縦走を計画していたのですが、レンタカーを借りられず今回は断念することに。
世間はシルバーウィークなので仕方ないですね。
そこで、当日の朝になって思いついたニセコ連山のワンデイ縦走をやることにしました。
ニセコであれば、JRと高速バスを駆使してアクセスが可能です。
土曜の勤務終了後に札幌駅からスタート
起点となるニセコアンヌプリの登山口はたくさんありますが、JRでアクセスするとなると快速ニセコライナーの終着駅である倶知安駅がベター。
運賃は札幌から2,100円です。
倶知安駅では交通ICカードが使用できないので、きっぷを券売機で購入する必要があります。
札幌駅17時50分発の快速ニセコライナーは6両編成で、小樽駅で後方の3両が切り離され、前方の3両のみが倶知安行きとなります。
札幌ー小樽間は快速運行ですが、小樽から先の区間は各駅停車。
さっそくビールを空けたいところですが、ここはちょっと我慢して車内で仮眠を取り、およそ2時間で倶知安駅に到着です。
自宅から持って行ったのは水4リットルと上の写真の行動食。
倶知安駅の隣にはコープさっぽろ倶知安店があるので、そこでミニ大福(5個入り)を2袋、スニッカーズミニを3つ、ポテトチップスも買い増し。
夜間から早朝にかけて暗闇の中を8時間以上歩き、それと秋で曇り空という特性も考慮し、いつもよりたくさんの食べ物を持ちました。
倶知安駅からニセコ連山へ
駅とコープさっぽろ倶知安店の間には小さな広場があり、そこで身支度をして出発。
駅を出て右側に進むと道道58号線の高架橋があり、そこから東急ゴルフ場(HANAZONO GOLF)の入口までは一本道で約⒎1kmです。
途中にコンビニはないので、準備は駅周辺にて。
東急ゴルフ場へと続く敷地内の道路は、営業時間外なのにもかかわらず街灯が点いており、夜間なのに違和感を感じます。
この道路は単純にゴルフ場へと続くだけではなく、HANAZONOリゾートへも通じています。
ゴルフ場の反対側には外資系の隠れ家的な高級宿泊施設や、パークハイアットニセコHANAZONOなどといったインバウンド向けのホテルが目立ちます。
ゴルフ場のゲート過ぎると、ひっそりと鏡沼ハイキングコースへの標識が。
こういうマイナーコースの情報は、やっぱり北海道夏山ガイドシリーズが役に立ちますよね。
鏡沼まではほとんど歩きやすい道のりで、鏡沼以降は歩きにくい、ざっくりそんな感じの登山道。
せっかく初めて訪れた鏡沼なのに、真っ暗で何も見えないのが残念。
管理道路を過ぎると一気の高度を稼ぐようになり、振り返ると倶知安町の明かりや羊蹄山も見えています。
この時点ではまだ空には星が見えていて、風も無風状態。
鏡沼からの標高差700mくらいがかなり足に効いて、予定より遅い0時30分にニセコアンヌプリ頂上へ。
行動開始から4時間かかった計算です。
山頂付近はニセコ町方向の谷から吹き上がるガスの通り道となっていました。
風が強くてかなり寒いので、避難小屋の中で上着を着たり行動食を食べたりして20分くらい過ごし、五色温泉へ向けて下山開始。
ニセコ五色温泉野営場からイワオヌプリへ
1時間10分くらいで五色温泉へ。
ニセコ連山の縦走はこうしてエスケープが容易な反面、人の気配がするので味気ない感じもします。
五色温泉のキャンプ場はすでに寝静まっていましたが、僕の熊鈴の音が場内に虚しく響き渡ります。
近所迷惑、登山をしない人からすれば不気味ですよね。
道道58号を横断して、次はイワオヌプリへ。
登山道から見える五色温泉の露天風呂。
冷え切った体を温めたいという誘惑にかられます。
イワオヌプリへは5年ぶり3度目、アンヌプリは1年半ぶり4度目になります。
⇨【イワオヌプリ】荒々しい山肌とは裏腹の初心者向けの易しい登山
⇨【ニセコアンヌプリ】5月上旬残雪期の雪山ハイクとニセコ駅前温泉「綺羅乃湯」
イワオヌプリへは山頂への途中で道をロストしかけたものの、1時間10分で頂上へ。
まだ午前3時20分なので辺りは真っ暗。
しかも山頂部でガスがかかり始めたので、ショートカットせずに来た道を引き返し、次のニトヌプリへの分岐へ戻ります。
道迷いしそうなときは、来た道を引き返すのが原則。
ニトヌプリ、チセヌプリ、シャクナゲ岳
この感じだとニトヌプリの山頂で日の出、チセヌプリ山頂が7時、シャクナゲ岳が9時、、、と進捗を計画と照らし合わせながら進みます。
理由は、岩内発19時台のバスが札幌行きの最終だから。
このバスに乗り遅れてしまうと、道の駅いわない周辺でビバーグせざるを得ないので、それだけは絶対に避けたいじゃないですか。
予想通り4時40分頃、日の出直前にニトヌプリへ到着。
実は初登頂のニトヌプリ。
今回の山行を終了し、ニセコで登ったことがない山はワイスホルンだけになりました。
さて、イワオヌプリからの登りもチセヌプリ方面への下りも泥と水たまり、刈ったばかりの笹の残骸、それと滑りやすい岩のミックスにかなり苦しめられました。
できればもう二度と歩きたくないコース。
やっぱりニセコは積雪期が良く似合いますよね。
ニトヌプリからの下山に1時間以上かかり、6時頃パノラマラインへ。
次いで北口コースからチセヌプリへの登りが始まります。
チセは20年以上前の冬に登った記憶がありますが、夏は初めて。
チセヌプリへの登りは大きな岩が多くて結構厳しいですね。
45分くらいかかってやっと山頂へ。
振り返ると、ニトヌプリ、その左にイワオヌプリ、そしてアンヌプリ、さらに奥には羊蹄山も見えます。
次いでシャクナゲ岳を目指しますが、この辺りから再びガスがかかり始めます。
ニトヌプリの山頂でも雨に当たり、今日はこの後も3回くらい小雨が降る時間帯がありました。
秋の雨は冷たいので嫌い。
でも、チセの山頂から縦走路への下りは、先ほどの北口コースとは対照的に岩がほとんど無くて歩きやすいです。
そろそろ他の登山者さんと会ってもいい時間帯。
しかし、未だに誰とも会わないのには理由がある?
どうやら、チセヌプリスキー場方面への登山道が閉鎖されていることに理由がありそうでした。
シャクナゲ岳の頂上へは分岐から200mの道のり。
200mなんて余裕?
いやいや、ここはチセヌプリより急こう配。
大きな岩々が続き、ガツガツ登っても15分くらいかかりました。
シャクナゲ山頂もガスの中。
雲海の上に浮かぶ小舟に乗った気分とでも表現したらいいのでしょうか。
海原の波が低くなったとき、かすかに周囲の山々が視界に入ってきます。
シャクナゲ沼、白樺山、目国内岳へ
シャクナゲ岳から縦走路に戻り、次いでシャクナゲ沼へ。
シャクナゲ岳の大きな岩は沼側の斜面に展開しているため、歩きにくい登山道が続きます。
沼の手前で登山道が直角に右折するのですが、水没している箇所も多いので見失うかも。
水没しているところで、今日初めての登山者さんとすれ違いました。
シャクナゲ沼の北側にあるポコに登ってからは、多くの箇所で登山道は歩きやすくなります。
次の白樺山へは谷を挟んで大きく迂回するように登山道が続いていて、正面には目国内岳も視界に入ってきました。
だんだんとゴールのイメージが湧いてきます。
シャクナゲ岳から白樺山までの区間距離は3.1kmとそこそこあるものの、道が歩きやすくスピードが乗って気持ちがいいですね。
岩内町の街並みも見えてきて、長い孤独時間を癒してくれます。
僕はソロが好きですが、夜の時間帯が長いと人恋しくなるもの。
今回の夜間歩行中に頭の中に流れていた曲は、シンディローパーのオール・スルー・ザ・ナイト。
歌詞の内容とは全く別物ですが。
数名のハイカーさんとすれ違い、白樺山の山頂へ到着。
シャクナゲ沼からの区間タイムは1時間15分くらいかかりました。
正直言って白樺山は、今まで全く眼中になかったようなマイナーピークですが、実際のところは素晴らしいんですよ。
目国内岳の眺めもバッチリで爽快、とってもいい山。
岩内岳、前目国、そしてこの白樺山の3つがニセコのお気に入り。
およそ35分で新見峠へ下山し、次いで目国内岳へ。
新見峠にはたくさんのクルマが停まっていて、今回の行程中最も多くの登山者と会ったのがここでした。
気温が上昇して眠気も増してきたことも重なって、ここから前目国までの登りが堪えます。
前目国内から見上げる目国内岳の姿って、いつ来てもいいですよね。
この山も5回くらい登っているかな。
笹狩りもしっかりされていて歩きやすく、新見峠を起点にして白樺山と目国内岳を走って往復すれば、快適なトレーニングができそう。
振り返ると遠くにシャクナゲ岳、チセヌプリ、その奥に薄っすらとアンヌプリの姿も。
アンヌプリからここまで10時間10分かかりました。
自分の中では、目国内岳山頂のタイムリミットを14時に設定していたので、2時間以上余裕ができた計算。
目国内岳の山頂部は、見た目通り大きな岩がゴロンゴロン。
前回来たのは2012年10月、すでに雪が舞って寒かったのを覚えています。
⇨新見峠からニセコの目国内岳を登山|10月晩秋の初雪と岩内岳への紅葉の山肌を楽しもう
新見峠から山頂までおよそ1時間35分、前目国から55分。
山頂はちょっと密になりかけていたので、山頂標識だけタッチしてすぐに離れ、次の岩内岳への縦走路へ。
パンメクンナイ湿原、岩内岳、そして岩内港でゴール
ここで一気に天候が悪化。
今回4回目の雨具の出番です。
次のパンメクンナイ湿原への下降は250mくらいあり、歩きにくくてかなり消耗モード。
誰にも会わないと思いきや、数組のパーティーがいたのには正直言ってかなり驚き。
パンメクンナイ湿原には木道が整備されていないので、登山道が水没している箇所があります。
もっとも深いところは、踝(くるぶし)まで埋まるくらい。
最後の岩内岳までの登りは、山腹をトラバースしながら少しずつ高度を上げていきます。
かなり長く感じられ、気持ちが疲弊しました。
パンメクンナイ湿原から雷電山西側の・1175ピークまで道がダイレクトについていれば、雷電山にも寄ったかも。
でも、岩内岳の手前から雷電山のピストンをするだけの気力は残されていませんでした。
そして13時25分、最後の岩内岳でゴールを迎えます。
目国内岳から1時間40分、アンヌプリから12時間25分かかりました(汗)
このまま快調に下山すれば、予定より早いバスで札幌へ帰れそう。
この時点で頭の中で考えていたことは3つだけ。
- 岩内市内のセイコーマートでホットシェフのカツ丼を食べること
- バスの中で泥のように眠ること
- 帰ってから近所の南郷の湯へ直行してお風呂に入ること
岩内岳には今まで4回くらい登っているのにあまり気付かなかったこと。
それは、この山も山頂部はかなり急斜面だということ。
そう言えば、今回は海抜ゼロ付近にある岩内港至近の中央バスターミナルまで歩くので、Sea to SummitならぬSummit to Seaだと気付いて胸がちょっと熱くなる。
TJARのゴールもさぞかし感激するのでしょうね。
1時間30分をかけて丁寧に岩内岳の登山口(キャンプ場側)に下山し、そこからロード区間が6.1km。
4リットル担いでいた水は2リットルを消費し、下山後にすべて処分。
摂取量が少ないのは分っていたけれど、胃が大量の水を受け付けない感じなので廃棄。
その分、岩内岳の山頂から一切食べるのを止めて胃を落ち着かせ、バスに乗る前にしっかり補給しようという考えです。
市街地まで下り基調なのでジョグが楽、ただしいつもよりザックが大きめなので走りにくいのが難点。
しかも最近、ロードをサボっていたし。
16時20分に岩内市街のセイコーマートに到着。
ここからバスターミナルまで5分程度の距離、バスの出発時刻が16時45分なのでカツ丼タイムも確保!
昔陸上自衛官だった頃、先輩から「カツ丼は飲み物だから早く喰え」と教わったことがあったけれど、20年以上経過してこの知識が初めて役に立った瞬間。
ここのセコマにはイートインスペースがなかったので、道の駅の脇のベンチに座って至福のカツ丼!
高速バスの運賃は、岩内から札幌まで片道2020円。
登山=自家用車という固定概念を持たず、公共交通機関を組み合わせればこういう楽しい山旅ができることを再確認。
そう言えば、2019年の夏にも大雪山までバスで行ったっけ。
⇨表大雪の縦走は旭川駅・旭川空港からバス利用が楽チン!道北バスで層雲峡・66番旭岳線「いで湯号」で旭岳温泉へ
札幌市内の地下鉄代を含めても、5,000円未満でニセコ連山のワンウェイ縦走が可能。
札幌ー岩内間は1日14便も運航しているので、岩内岳のみのSea to Summitも楽しめるでしょう。
今回の行程をYAMAPログのキャプチャから。
今年は10時間以上のロングハイクをトータル7回していて、その中で3番目にキツかったというのが実感です。
辛かったランキングを勝手に発表すると以下の通り。
- 白金温泉⇨オプタテシケ山⇨トムラウシ山⇨天人峡温泉⇨白金温泉(MTB)
- クチャンベツ登山口⇨沼の原⇨石狩連峰⇨三国峠⇨クチャンベツ登山口
- 今回のニセコ連山縦走
- 十勝岳温泉⇨富良野岳⇨オプタテシケ山⇨上富良野岳⇨十勝岳温泉
- 旭岳温泉⇨旭岳⇨北鎮岳⇨当麻乗越⇨旭岳温泉
- 蓮華温泉⇨白馬岳⇨雪倉岳⇨三国境⇨蓮華温泉
- 爺ヶ岳登山口⇨種池山荘⇨鹿島槍ヶ岳⇨爺ヶ岳登山口
雷電山を残してしまったことは次回の宿題とするものの、残念ながらもう一度やってみようというモチベーションは生まれないような気がしています。
次にやってみたいのは1泊の反対のルート。
DAY1.岩内港⇨岩内岳⇨雷電山ピストン⇨目国内、白樺、シャクナゲ、チセ、ニト、イワオ⇨五色温泉泊
DAY2.五色温泉⇨アンヌプリ⇨比羅夫⇨羊蹄山⇨倶知安駅
これ、結構面白そうだと思いません?