北海道せたな町に、知る人ぞ知る太田神社(太田山神社)があります。
海岸の旧道沿いに拝殿がありますが、山側にも本殿入口となる鳥居と石段があり、山頂直下にの岩場の空洞部分に本殿があります。
”日本一危険な場所にある神社”とか”命がけの参拝”などと言われていますが、真相はどうなのでしょうか?
10月下旬に差し掛かる頃の平日に訪れてみましたので、その様子をお伝えします。
急な石段を登りきったところから本殿への山道へ
太田神社はせたな町の道道740号線沿いに位置し、札幌からの移動は一般道で中山峠を越えて、約4時間くらいかかります。
トンネルの手前には旧道へ分岐があり、太田神社(拝殿)の付近で通行止めになっています。
手前にはトイレ併設の駐車場があるので、そこで用を済ませてから本殿へ向かうのがいいでしょう。
本殿入口にも縦列で駐車できるスペースがあり、余裕があればここに車を停めてスタート。
時刻は午前8時20分です。
このために、札幌市内を午前4時に出発してきた私たち。
鳥居をくぐるといきなり急な石段で高度を稼ぎ、石段の上部の鳥居で本殿へと続く山道へ接続します。
この石段がとにかく急で、安全のためにロープが2本設置されています。
上部から振り返ってみると分かり易いのですが、途中に傾斜変換点があってさらに急斜面になっているのが分かります。
雨や夜露で落ち葉が濡れている状態だったら、滑って危険。
とにかく、ここはウェットな状況のときには来ない方が良いと思います。
この石段、マレーシアにあるバトゥケイブの石段や、カンボジアにあるアンコール遺跡群の石段よりキツい、、、
マレーシアクアラルンプール近郊にあるバトゥケーブへの石段
アンコール遺跡群の石段はどこも急だった
本格的な登山道を登り、本殿直下の足場へ
石段が終わって登山道になったと思いきや、今度はハシゴが設置されている箇所が。
本殿まで終始ロープが設置されているので安心感はありますが、全般的に急登が続くので気を抜けません。
中腹にもお社があり、参拝して一息ついたらここから左方向へ。
ここまででおよそ20分くらい。
今回、本殿入口から本殿直下まで45分ほどかかったので、全行程の1/2くらいまで進んだことになります。
ここからの登りはさらに急になって、普段から山歩きに慣れ親しんでいる私でもちょっと辛いと感じました。
海抜ゼロメートル付近から一気に300m以上まで上げるのだから、確かにハードかも。
小石が多い場所もあり、ロープの支点間も長めなので、先行者と距離を取りながら進んだ方が安全。
息切れを起こしそうになる頃、本殿の手前にある最後の鳥居に到着。
ここをくぐると、いよいよこのコースの核心部となります。
本殿まで僅かに30mくらいの距離なのですが。
本殿付近のルンゼには足場が組まれています。
補修を重ねて維持しているようですが、信頼して良いものか不安になってしまう私。
でもここまで来たのだから、行けるところまで行こう。
振り返ると青い海を見渡せる絶景。
眼下に広がる緑も紅葉がかなり進んでいます。
本殿直下で垂直の壁が立ちはだかる
しかし足場の行き止まりには、本殿へと続く鎖環がぶら下がっているだけ。
岩壁は垂直に近い角度で立ちはばかり、ここを登らなければ本殿へはたどり着けません。
眼下はゆうに数十メートルはある落差、落ちたら命はないでしょう。
行くべきか止めるべきか。
両手を鎖環に、足は確実に岩に置くようにして三点支持で確保し、何とか壁をよじ登ります。
3点支持とは言え、足元を踏み外した場合、僕の腕の筋力では瞬時に体重を支え切れないと思うので、全神経を集中して一歩ずつ確実に登っていきます。
ここはヘルメット着用、ハーネスを付けて自分の身を確保しながら登るべきだったと後悔。
事前の情報収集不足を反省しました。
"日本一危険な場所にある神社"なんて言われている、北海道せたな町の太田山神社。それは本当だった。一般登山者の私も、やっぱり怖気付くほどスリリングな参拝でした。無事に帰って来られて良かったよ😌 pic.twitter.com/nFHQw8etgG
— コモ子@やまたび北海道 (@ComocoHk) October 19, 2020
登りって本殿へ到達。
この場所にお神酒を供えるのは、かえって関係者に迷惑をかけてしまうものか悩んだのですが、本殿手前の台座に供えることにしました。
お賽銭を入れ、下で待っているNさんの分も参拝。
待機しているNさんが心配そうに見上げているのですが、僕も高所恐怖症なので正直言って下りる方が怖いんです。
これまでたくさんの山歩きを続けてきたけれど、ここほど手に汗を握った記憶はないと思います。
登山慣れしているからこそ、この壁が一般登山道ではありえないレベルだと感じることが出来ます。
観光客の方が興味本位で気軽に行かないようにして欲しいのです。
そこがこの記事で一番伝えたい事でしょうか。
石段を登りきった辺りからでも海岸線の景色が眺められるので、本殿に参拝しないのであれば、無理に上部まで行く必要はないでしょう。
今日訪れてみて感じたことを、ありのままにお伝えしました。
これからも安全登山を心がけます。