これまで多くの年月を北海道で暮らしてきましたが、樹氷(アイスモンスター)を見ることが出来ないため、蔵王まで行ってきました。
樹氷は蔵王以外にも、八甲田山、八幡平、森吉山などといった主に東北地方の山々で見られるのだそう。
今回はちょうど好天と合致したこともあり、早朝のライザワールドスキー場から刈田岳と熊野岳に登って、ついでに樹氷も見ようという計画です。
朝早くに上山市を出発して蔵王エコーラインへ
宮城県と山形県とを結ぶ蔵王エコーライン。冬は通行止めになるため一般観光客にはちょっと遠い世界になります。
しかし、登山者にとっては比較的登りやすい雪山ということで、主に山形県側から登られているようです。
今回は仙台空港から一般道で上山市へアクセスしましたが、高速道路を使えば仙台空港から山形蔵王ICまでおよそ1時間で移動できる距離。フライトスケジュールがうまく合えば、北海道からでも日帰りできる可能性があります。
さて今回は山形県上山市で車中泊をして早朝に出発し、冬季通行止めゲートのあるライザワールドへ向かいます。
Googleマップ上の蔵王ライザワールド。その右側にある県道12号(蔵王エコーライン)のヘアピンカーブの先にゲートがあり、そこまでしか進めません。
ヘアピンカーブの除雪最終地点にも駐車スペースが数台ありますが、ここに駐車するのは除雪車のUターンの妨げになるので推奨されていないみたい。
朝4時台のライザワールドスキー場。上部までリフトで移動するのが一般的ですが、今回は早朝出発なので歩いて山頂まで登ることに。
⇨ライザワールドのリフト料金については公式ホームページにて。
スキーの滑走コースを登ればラッセル不要で楽チン。だけど雪上車がちょうど圧雪作業中なので迷惑がかかります。そもそもコース上を登って良いのか不明。
そこでカーブの多いエコーラインを串刺しにするようにして、スキーコースと並行に登っていくことにします。
歩行のログは概ねこんな感じです。手入力なのでやや誤差はあります。
ライザワールドを朝4時20分出発。まずは蔵王刈田岳へ
2021年1月23日。この日は雪が硬く締まっていて、ラッセルはほとんど不要。スキーのトレースを利用させてもらい、まずは蔵王刈田岳を目指します。
トレースは道標としてはありがたいものの、信用できるかどうかはよく吟味すべき。登りのトレースであれば行き先が同じか、下りのトレースであれば最短距離なのかどうか。
今回のトレースは、事前に計画した通りのコースに付けられていました。
林内の一部には雪が深い箇所も。
ですが、スキー1本の軌跡があるだけでも沈み方は全然異なります。その上を歩けばほとんど沈まずに快適歩行。
スキーのトレースをスノーシューで壊すのって、ちょっと気分が引けるのですが、、、汗
最近の山歩きでは、ヘッドライトを使用しないことのほうが少ないですね。慣れればどうってこともないわけですが。
暗くなってから行動しない、単独で行動しない、積雪期は避けるなどの”山の常識”から外れていますが、早朝の方が天気が安定していて、見られる景色も素晴らしい。
リスクとどのように向き合うかは、個人の考え方やスタンスにもよりますが、経験を重ねないといつまでも選択肢が広がらないのも確か。
行動開始から1時間以上経過してスキー場の上部まで来ると、リフト終点より更に上の滑走コースに合流。この辺りまで雪上車によって圧雪されていますが、100mもしないうちにそれも終了。
でも入山者が多いためか、ツボ足でも歩けるくらいのルートが出来上がっていました。
まもなく6時になるという頃。先行者が2パーティ3名いました。さらに下山してくる方もいましたが、どうやら関係者のようす。
いずれにせよ冬のこんな時間帯に行動している人がこれだけいるなんて、よっぽど刈田岳って人気の山なんだなぁ、と感心しちゃいます。
冬期間は運行していない蔵王刈田リフトが見えてきた頃、夜が明け始めました。
上部に雲が全くないため、景色にはかなり期待できそうな予感。これだから山はやめられない。
ツボ足でも歩けるくらいに雪がしっかりと踏み固められていて、道標のポールも設置されているので安心。
だけどガスがかかったり吹雪いたりすれば、視界不良で相当厳しい状況になるでしょう。
だから冬の山行は憶病なくらい慎重になります。体力だけではカバーしきれない側面がありますからね。
刈田岳はもう目と鼻の先。
直線的に進みたいところですが、風雪の影響を受けて雪面に起伏が多く、かえって歩きずらいかも。なので、夏道と同じ経路でアプローチしたほうが結果的には楽。
まずは火口縁まで一直線に進みます。
夏道の分岐点までまもなく。ナイスタイミングで夜明けがやってきます。
”マジカルアワー”なんて言われる時間帯。
エビの尻尾の向きから察するに、いつも東から風が吹くようですね。
この日は風の影響をほとんど受けないような天気。やっぱり晴れた日の山歩きは気分が最高。
11月に十勝岳と阿蘇山に登って以来、しばらく冬鬱のような気分が続いていましたが、1月に沖縄県へ旅行に行ってそれが一気に晴れた感じ。寒くて屋内にいるとどうもダメ、フィールドで太陽の光を浴びるべきってことですね。
この時期は山頂レストハウスも雪に閉ざされています。例年、概ね11月から4月は休業中とのこと。
刈田岳への最後の登りで背後を振り返ると、真っ白な御釜と熊野岳が。
こういう景色を比較的容易に見に来られるのって、羨ましいなぁ。仙台は雪もあまり積もらなくて暮らしやすそうなので、僕にとっては冬と春の中期滞在候補先の一つ。その他は海外旅行へ行きやすくて都心に近い千葉県、中韓へ近くて西日本旅行の拠点になりそうな春の福岡市、アルプスや上信越に近い夏の松本市、それと冬の那覇市。
僕の生活はいたってシンプルでミニマムなので、仕事と収入さえ目途が付けば(ここが最も難しいのだけど)、定住しない生き方はいつでも実行可能。
さて6時30分、蔵王刈田岳に到着。ライザワールドからおよそ2時間で到着。
日の出前の”最もおいしい時間帯”を完全に独り占め。幸せ感たっぷりです。