昨日から3月に入り、北海道にも間もなく春がやってきます。
2月に何度かスノーハイクをしたので「3月もこの調子で楽しめたらいいなぁ」と思っているところ。ただ、今月は第2週末は九州、第3週末は関東へ行こうと計画しているので、3月7日に近場の山で遊んだあとは、次に北海道の山に登るのは早くても最終週になりそう。
なので、本格的に始動するのは4月に入ってからになりそうです。
さて今日の本題。
最近、残雪期に最適化された装備について考えていて、テーマは”ツボ足で長い距離をスピーディに、かつ安全に歩くにはどうしたらいいか?”
これから昼の時間がだんたんと長くなって朝晩は雪に沈まなくなってくるので、ツボ足でもロングコースにチャレンジするチャンス。だから最適な装備をチョイスしたい。
冬用の装備を持っていれば”大は小を兼ねる”わけで、スペック的にはもちろん十分。だけど重いし歩きずらい。長距離を歩くにはちょっと厳しいですよね。
月に1~2回程度の山行ならそれでもいいでしょうが、それ以上登りに行く人であればむしろ厳冬期より多くなるかもしれないので、真剣に考えてみるのもいいかも。
4月の増毛山地から6月後半の大雪山系まで含めると、残雪期って意外と長いんですよね。
残雪期には残雪期に最適な装備があると思うし、そのスタイルのほうが快適だと思うんですよ。
僕のようにスキー登山をしない人にとって、冬にツボ足で歩ける距離なんてせいぜい15kmから20kmくらい。それは日照時間の関係もあるし、ラッセルの有無にも関係します。
まだ雪が繋がっている春の季節は、夏には行けない遠い山へ登るチャンス。
「同じようなことを考えている方って、きっといるんじゃないかなぁ」と思ったので、今日のブログで取り上げてみました。
”軽く・早く・より遠くへ”の考え方を残雪期にも
一言で残雪期とは言っても、期間も長くて天候によって雪質は大きく変わります。
僕がイメージしているのは、
- すでに降雪がなくなり、朝晩は雪が締まって沈むことがない
- 日中は気温と日差しの影響で雪がザクザクになる
そんなシーズン。
この条件下で、長い距離をスピーディーに歩くためには、
- 雪が締まっている朝晩は雪面を滑らずしっかり捉え、斜面ではキックステップで安全に登れること
- 日中のザクザク雪に足を取られるときは、シューズの軽さによって足取りも軽いこと
こんなイメージ。これからのシーズンは、雪解けや道道の冬季通行止め解除も進み、厳冬期には行けなかったような山へも行けるチャンス。
深夜に林道の固く締まった雪面を長距離歩きして、朝は山頂への登りと山岳地帯のアップダウン、正午から午後に下山と最後の林道歩き。
こんな場面を想定しています。
シューやワカンは持たない、3シーズンシューズと軽アイゼンのみ
スノーシューやワカンを持つとどうしても装備が重くなり、快適さを欠くことに。なので、これらを携行するような4月中旬くらいまでは基本的に冬山装備にて。
4月の低山や、5月以降の高山帯を対象に考えると、3シーズンのミドルカット防水シューズ、それと軽アイゼンが最適なのかと。
夏山を始めたばかりの初心者向け装備ですが、だからこそこれが最適解ではないかと考えています。
アプローチは泥んこになる可能性も十分あるし、大半は雪面を歩くのでゴアテックスのミドルカットシューズとロングスパッツ。
スタートは深夜早朝なので、最初から8本爪とか10本爪の軽アイゼンを装着しっぱなし。アンダーはタイツだけでもいいのですが、スパッツがずり落ちてきそうなので、透湿素材の雨具がいいかも。
靴の剛性があるとキックステップが容易になる反面、トレードオフの関係で靴が重くなるのが悩み。なので、そういう必要があるような山、例えば羊蹄山とか芦別岳上部のようなところを歩くときは、今回の装備の対象外として考えます。
つま先の剛性がそれほどなくても雪を蹴りこめるけれど、かかと側が弱いと下りが怖いですからね。
6月の羊蹄山からの下り。喜茂別とか京極側は他のコースより雪が遅くまで残っていて、滑落したら止まれないと思います。晴れていると遠くの景色に見とれてしまいがち。そんなときは足を止めてから。あと、バリズボ覚悟でボサの縁を歩く方が安心します。このように山によっては6月になっても決して油断はできないので、こういうシーンは今回の装備では対象外として考えます。
下ホロカメットク山から下りて、帰りの林道歩きの場面。アプローチや離脱時にはこういう時間が多いことを想定。お昼になって暖かくなると、帰り道は雪面がザクザクで歩きにくいんです。ただ、帰りの林道は基本的にほとんど下りなので考慮しません。それよりも登り。硬く締まった雪面をテンポよく歩くことに焦点を当てて装備選びをします。
5月に入ってからの無意根山。中山峠から往復25kmくらいありますが、緩斜面のアップダウンのみなので危険箇所もなく、こういうシーンが今回の残雪期向け装備の対象。もちろん細板のウロコスキーの方が圧倒的に早いでしょうが、ところによって雪が繋がっていないこともあったり、ブーツも重かったりするのでスキーの方も悩ましいと思うのです。
5月下旬の夕張岳。シュウパロ湖からの市道と林道はすでに融雪して路面が出ていました。雪が多く残るのは前岳周辺。林道を走って時短するならトレランシューズがいいけれど、雪面では危なっかしい。僕も昨年まで雪山シーズンの装備から一気に夏山シーズンの装備に衣替えしていたのですが、今さらながら春夏秋冬4シーズンで考えようとしてます。そのためには装備への投資もかかるのですが、最大公約数的に快適さと安全性を両立できるアイテムをチョイスできると思います。春シーズンは意外と長いし、だんだんと高山帯へ移動して行くので、結果として7月くらいまで雪と付き合いますからね。
4月下旬の群別岳からの下り。スキーなら斜滑降で下ってこられる場面も、ツボ足だとかなり緊張します。今回話題にしている装備には時期的にはまだ早く、これも対象外。日が長くなって晴れていれば、”より軽く・より早く・より遠くへ”を追求したくなりますが、まだまだ完全に雪山装備で安全を追求すべきだと思うのです。安全度外視の攻めは無謀だけど、安全最優先のチャレンジはこれからも続けていきたいです。
なぜスキーではなくツボ足なのか?自分の場合。
僕が山を始めたきっかけは、職場の先輩から夏山とテレマークスキーを誘ってもらったから。夏山と雪山をほとんど同じ時期からスタートしたと思います。
さらに沢登りやボルダリングなどの道具も揃えてあれもこれも始めたわけですが、かなり消化不良気味。結局は無雪期の山だけにどっぷり漬かりました。日高山脈のような一直線の尾根を、ストイックに登ることが一番楽しいと思えたから。
スキーも3シーズンくらいはやってみましたが、滑走が上達せずに断念。細板のヒールフリーのスキーは僕とってはハードルが高かったんですね、克服できなかった。
20代の頃に中山峠スキー場のゲレンデで転倒して靭帯を損傷し、救急車で札幌市内まで搬送された苦い経験がずっとトラウマになっているのかも。
そんなこんなでクロカンスキー以外にはほとんど乗っておらず、片付いていない宿題のようにずっと心残りになっていました。
だけど、人生で2度挫折して完全にやめてしまったゴルフと一緒、山スキーも縁が無かったものとして、いったん諦めることにしました。本気でやろうと思わないのは、心からワクワクしないからなのだと思います。
山歩きの世界って楽しくなるとどんどんレベルの高いことを目指しがちだけど、好きなジャンルだけに絞って遊んだっていい。背伸びをしてまで活動の幅を広げる必要はないと思っています。
僕みたいにスキーの滑走技術が低ければケガに繋がりかねないわけで、自分自身で安全を担保できないから無理してやらない。昨年BCクロカンをやりたいと言ったのですが、興味があるのは平地の機動力として。
去年はコロナ禍で山に行けなかった5月頃。今年はどんな山歩きを楽しもうかな?