浜益岳から眺める群別岳と暑寒別岳
標高1,180m付近から一気に視界が開けて群別岳がドーンと見えてきます。浜益御殿からでは見えないので、ここまできてやっと出会えたという感じ。ニペソツ山みたいでドラマチックです。この時間帯は逆光になるのでチンタラ平でテント泊をし、夕方にアタックすれば違った景色が見られるのでしょうね。
群別岳をズームで見ると、北と南西斜面が特に急峻なのが分かります。右側の空際線に見えているのが積雪期によく登られる南陵。手前のポコが地形図の・1166でしょうか。
浜益岳への最後の登り。前回4年前の4月中旬に来たときは踝程度のラッセルだったので、直前に降雪があったのだと思います。真っ白なオープンバーンはBCスキーヤーでなくてもワクワクするもの。
7時30分、3度目の浜益岳山頂へ到着。ログのデータによると出発から4時間53分、浜益御殿から1時間5分を要しました。平坦で標識もなく(ヤブの中に埋まっているらしい)、一部にハイマツがあるだけのシンプルな山頂。
浜益御殿に登る途中でずっと見えていた南西尾根。こちらのルートは新版北海道の山と谷3でも紹介されていて、僕も一度は歩いてみたいと思います。もしやるとしたら、幌の集落から周回ルートにしたほうが面白そうですね。
浜益岳から群別岳へと続く稜線。南斜面の雪解けが顕著ですが、それでもまだまだ雪のシーズンは楽しめそうです。増毛山地は群別岳のように一部に急峻な箇所がありますが、等高線の間隔が広い所をうまく繋ぎ、雪崩のリスクさえしっかり見積もれれば楽しそうなルートを作れそう。
この山域で最も有名なのはやはり暑寒別岳。浜益岳から一度は繋いでみたいけれど、距離的にここから6~7時間くらいはかかりそうな感じがします。しかも高いところが苦手なので、できれば群別岳を通過しないで行きたいところ。これは北海道の山と谷(上)(1998年初版)では、山ノ神・暑寒別沢林道ルートの中でも言及されているし、同様に雄冬山から浜益岳へも留知暑寒沢の源流に向かって下りるほうが近いと北海道の山と谷(昭和52年初版)にも書かれています。
浜益岳から雄冬山を目指して
浜益岳の山頂を楽しんだら、次いで雄冬山へ。南西側の谷(小川)から吹き上げる風がそこそこあって、ちょっと寒く感じられた浜益岳。コルまで下る頃には再び無風となり、暑くなってきました。
チンタラ平から標高点・999には登り返さず北側をトラバースして、ややショートカット気味に雄冬山へ。見えているのは浜益御殿です。時刻も午前8時を回り、気温がグングン上がって雪質も変わってきています。ズブズブ埋まり始める前に雄冬山に登ってしまおうと思いますが、ここにきて一気にペースダウン。
ここまでの行程で口にしたのが、おにぎり2個、チョコバー1本。外気温が低くても柔らかく、高カロリーな行動食の定番を食べることに。ところがこの後もパワーダウンが顕著で、睡魔が加わってグダグダに、、、僕のような一般ハイカーは、最後までバテずに長い時間歩き通せるかどうかがポイント。気象条件や技術的な要素を考慮しないような山であれば、平地のマラソンと一緒。単純に、長距離を歩ききれる脚力×負荷に耐えられる心肺機能=パフォーマンスだと考えれば良いはず。失速するということは、そもそも基礎体力が不足しているか、オーバーペースか、補給が足りていないか、あるいは補給のタイミングが間違っているか。同じペースで最後まで歩き通せないというのは、やはり何かが間違っているのだと思います。
標高850m付近のコルから見上げる雄冬山。見た目では標高差200mくらいに見えるのですが、実際には350mくらいあるので終盤戦にしては厄介な存在です。
振り返ると増毛山地の核心部が全部見渡せるので心を癒されます。群別岳を中心に暑寒別岳と浜益岳、浜益御殿を一望できる絶景スポット。雄冬山への登りはかなりスローペースでしたが、ここは自分の器を広げるためのトレーニングと割り切って我慢しなくっちゃ。日帰り15km、6時間以内程度の山歩きは年中やりますが、25km以上、10時間を超える行程は夏場に数回程度しかやらないので、こういう機会は大切にしなければ。平地で10時間もウォーキングするなんて、テーマが無ければバカバカしくてやってられないですからね。
「いやー、アイツがなかなか遠いんだよ」と言いたい気分。呼吸を整えている時間がもったい無いので、そういう時間に自撮りをして時間の有効活用に努めます。今日は水1.8リットル、お湯500㏄に加え、全く使用しなかったスノーシュー、保温材入りの冬用ジャケット×2、ウィンドブラスト、冬用の手袋×2、コンロなど、使用しなかった装備がずっしりと肩にのしかかって苦戦。装備≒保険という名の安心料みたいなもので、快適さの追求とトレードオフの関係にあるところが悩ましい。
見えてきた雄冬山の山頂。直下は意外と急斜面なので、東側に大きく迂回して登るのもアリかも。浜益岳からちょうど2時間、行動開始から7時間で到着です。やっぱりスキーなら2時間くらい縮めることができるのでしょうか。
雄冬山山頂から日本海の眺め
雄冬山の山頂はかなり広く、端っこまで行かないと東側の斜面を見ることができません。スキーのトレースが残されており、それもおそらく今朝の痕跡だと思われます。新版北海道山と谷3でも紹介されているケマフレルートやマルヒラ川左岸尾根から登って来られたのでしょうか。ちなみに直下には動物が寝そべったような場所と足跡もありました。
こちらはさらに北側にある天狗岳。とても立派な風格で一度は登ってみたいと思うのですが、この山について言及されている記事を読んだことはないので、ますます興味深くなってきました。
そして暑寒別岳。この山域から一つだけ選ぶとしたらこの山が外せないのは頷けるものの、大雪山とか十勝連峰と一緒。増毛山地は全体として魅力を作り上げていると見るのが腑に落ちる。先日登ってきた霧島連山もそうでした。
一瞬目を疑ったのですが、洋上にかすかに見えているのは利尻山。直線距離でおよそ160kmもあり、手前の左側に薄っすらと見えている島影は、75km先にある天売島でしょう。
ハイマツの陰には山頂標識があります。色が抜けてちょっと識字が困難ですけど。さて、満足したので帰るとしましょう。計画では12時に下山完了予定。浜益御殿への登り返しもあるので、すでに10時になり、足元もズブズブと埋まるようになりましたので、あと3時間~4時間くらいはかかりそうな感じです。それでもスノーシューは付けないで最後までツボ足アイゼンで行こうと思います。
浜益御殿からしばらく下った頃になって、今日初めてのスキーヤーとスライド。睡魔でボーっとして独り言をブツブツ言いながらテレンコテレンコ歩いていると、突然遠くから「ウーイ」って挨拶されて思わず「ウーイ」って返してしまいました、、、50mくらいトレースを離れていて横並びになるまで気付かず、これはいかんなと。その後も3~4名くらい。
大阪山の付近でスノーモービル2台の姿を捉え、スキーの滑走トレースとスノーモビルのトレースが縦横無尽に錯綜していました。スノーモービルについては条例で入林規制されていたり、登山者からは否定的な目で見られたりしていますが、僕自身は特にイヤな思いをしたこともないので中立的な立場。第7師団に在籍していたときにも装備されていましたし、スキー場ではけが人の救助に役立ちますからね。ドローンと一緒で、ポイントはマナーの問題かと。
13時40分、スタート地点へ到着。出発からおよそ11時間、34kmのロングハイクでした。明日も6時出社なのに好天のチャンスを活かすために攻勢。若い時にしかできないことは、機を失せずにすぐにやる。今が大切。で、この時点で頭の中で考えていたこと、それは、帰り道に厚田のセイコーマートでホットシェフのカツ丼を食べるか豚丼を食べるかどっちにしようか、ということ。しかし、、、
厚田のセイコーマートはホットシェフ併設でなく、チップスターで妥協することに。帰り道、オールフリーをグビグビやりながら16時に帰宅、レンタカーを返してお風呂へ直行。ヤマレコとインスタにアップして21時就寝でした。
今回もヤマレコアプリでログを取りましたが、一度も途切れることはありませんでした。OPPO RENO Aの消費電力をカスタマイズした結果でしょうか。機内モードにしていたわりにはバッテリー残量が40%くらいまで低下したので、これ以上のロングハイクとなると厳しいかもしれませんね。さあ、日曜は曇天予報なので休養日。明日月曜から木曜は名古屋出張で、帰宅翌日の金曜からは関東へ遊びに行ってきます。