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登山中の水分補給とか暑熱順化の話

 

私は自宅のウォーターサーバーの水を職場に携行して常温の水を飲んでいます。先日職場の先輩から尋ねられ、「冷たい水が苦手なんです」と返答した際、「水は温度によって胃で吸収されるか腸で吸収されるか決まる」と言われました。それには医学的な根拠があるのかどうか、そもそも吸収される場所が異なるとどうなるのか知りたくなり、少し調べてみることにしました。

 

まず結果を先に述べると、吸収される部位が異なるという事実も根拠も見つかりませんでした。しかし、水温や水に含まれる成分(水と一緒に摂取する成分)により吸収速度が異なるということはどうやら本当みたいです。

 

私たちは水分補給と言うと、水+塩分という大雑把なイメージしか持っていない傾向がありますが、ちょっと掘り下げて考えてみる必要がありそうです。

 

昨日登った岩内岳で経験した水分補給の失敗を今後の教訓として活かすため、登山中の水分補給や夏へ向けた暑熱順化について少し書いてみたいと思います。

 

脱水症状に近くなってから水分補給をしても、本来のパフォーマンスを取り戻すまでは時間がかかります。それではその後の計画が大幅に後退してしまいます。セオリー的にはどうするのが良いか、ちょっと調べてみました。

 

熱中症対策のための水分補給、適切な水の温度は?

 

水分補給の際、吸収速度がもっとも早いのは5℃~15℃の冷水なのだそう。私が気にしている胃腸への刺激や負担はやはり大きいようですが、水温の視点だけで考えるのであれば、冷たい水を飲んだ方がいいようです。

 

また冷たい水は体温を下げる効果もあるようなので、行動中に雪渓や沢の水を飲むのは理にかなっていると言えそうです。

 

ちなみに雪山ではお湯を飲むことが多いですが、水分補給の観点で言えばもう少し水で割って常温くらいにするのがちょうど良さそうです。

 

●今回、私が目を通した参考記事(外部リンク)

摂取する水の温度と量がヒト胃運動に及ぼす影響

熱中症対策の水分補給のポイント – お水の温度にも気を付けよう

常温の水は身体に優しい

 

水分に含まれるナトリウムと糖質

 

大塚製薬のホームページには、こんな記事も。

 

水分補給にはナトリウムだけではなく、糖質も必要ということが書かれていて、ブドウ糖果糖を含むことでカラダへの水分が早く吸収されるという内容。

 

冒頭で触れた、水+塩分だけでは不十分という話です。

 

水分摂取量とタイミング、含有ナトリウムと糖質の数値がまとめられているので、その中のいずれかを参考にしてみると良さそう。ちなみに最近の栄養成分表示は食塩相当量で記載されているので、ナトリウムだと分かりずらいかもしれません。

 

食塩相当量(g)=ナトリウム(mg)×2.54÷1000

 

なので、1リットルの水に800mgのナトリウムを添加するとしたら、およそ2g(0.2%)の食塩を添加すればよいということになります。前述の記事内の表によれば、国際陸上競技連盟が推奨する上限値は0.45%となっていますから、これはかなりの塩分量になると思われます。

 

私が20代の頃は、山でスポーツドリンクを飲むと、砂糖が入っているのでかえって喉が渇くみたいなことが言われていたのですが、これも何かの刷り込みかもしれないので今一度考え直してみたいところです。

 

いずれにせよ運動中は私たちが思っているよりも、カラダは多くの水分を欲してしているということを知っておきたいものです。

大塚製薬のホームページでは、この他にも、

スポーツ活動中にどれくらいの水分を失うか?

不可欠な水分が失われると・・・

スポーツ栄養はタイミングが重要

といった登山に関連する読みやすい記事が無料で公開されています。

 

暑熱順化

 

もう一つ、熱中症対策で考慮しなければならないと感じたトピックに暑熱順化があります。

 

あまり聞きなれない言葉かもしれませんが、単純に暑さに慣れるということ。でもこれは気持ちの問題だけではありません。本当にカラダのメカニズムの問題だっていうことを抑えておきたいものです。

 

熱中症ゼロへというウェブサイトの中に分かり易く解説されています。暑熱順化まで、通常は数日から2週間くらいかかるそうで、

  • 5月の暑い日
  • 梅雨の晴れ間
  • 梅雨明け
  • お盆明け

のタイミングは特に注意が必要と書かれています。

 

雪が降る北海道から12月のホノルルマラソンやシンガポールマラソンに参加した際、旅先でちょっと具合が悪くなったのは、まさに暑熱順化がされていなかったからなのでしょう。

 

また、私も前職で意識していたWBGT指数ですが、これについては気温1:湿度7:輻射熱の効果2の割合で算出されるので、特に湿度に気を配るべきだということが分かります。

 

ですから登山中のシーンで考えると、晴れて気温がグングン上がっている中、風が吹かない林内を登っている時。しかも、朝は雲の中だったみたいな場合は注意が必要かもしれません。まさに昨日登った岩内岳のような状況でしょう。

 

山に登るときに早立ちをするのは、涼しい中で行動するという視点でもあるってことなんですね。

 

今回のブログで書いたこれくらいの情報だけでも知っていれば、登山の快適さや安全性が変わる可能性があります。夏山を最後まで元気に歩き通すためにも、行動に活用してみたいと思います。

 

今回取り上げたウェブサイトも参考になりますが、書籍から学ぶだほうがより中立的な視点に触れられると思います。登山の運動生理学とトレーニング学はかなり昔に借りて読んだ記憶がありますが、今読み返してみるとまた新しい発見がありそうなので、購入してみようと思います。