昨日投稿したブログで富士山に登った話を書きましたが、実はその2週間前にも登っていましてね。今日はその模様をお伝えします。2021年8月5日の話。
今回の山行目的は下見。いままで何度か登ったことがありますが、かなり以前の話で記憶がほとんど残っていないんですよね。
登山の未経験者を案内するために、いくつか確かめておきたいことがあったので、実際に行ってみないとって。
今日のブログでは、そんな話をします。
早朝の御殿場口からスタート
2021年8月第1週は夏休みを取って関東甲信越地域へ遠征中。
前日は越後駒ヶ岳に登った後、一般道を繋いで道の駅南きよさとで車中泊をしました。
1時に起床して、およそ110kmの道のりを深夜のドライブで移動。富士山の登山口の一つ、御殿場口を目指します。
前前々職時代、駿東郡小山町や御殿場市に住んでいたことがあるので、とても懐かしく感じながら滝ケ原駐屯地脇を通過します。
富士山に4つある登山ルートのうち、現在3つのルートはマイカー規制が行われています。
当時は比較的マイナーな須走口からよく登ったものの、あの須走口ですら今やマイカー規制があるんだって。時代は変わったものです。
今回は駐車料金が無料で、登山口までマイカーで行ける御殿場口からスタート。
デメリットは距離が長いことかな。まぁ長いとは言え、普段山歩きをしている人ならどうってことはない程度だと思うけれど、個人差があるのであまりアテにしないでね。
→マイカー規制について、詳しくはこちら(富士山オフィシャルサイト)。
登山口にはテントブースがあり、感染拡大防止のために検温と体調チェックがされます。特に問題がなければ「2021検温・体調確認済み」と記されたストラップが渡されます。このストラップ、一度取り付けると簡単には外れないので、手首などには取り付けない方がいいでしょう。
併せて富士山保全協力金の要請があるので、1,000円を支払って領収書と缶バッチを貰います。
ちなみに、水ヶ塚公園からタクシーに乗って富士宮口5合目へ移動したときは、富士山スカイラインの旧料金所ゲートでタクシーに乗車したまま検温を受けました。
時刻は5時。朝陽を浴びる新5合目大石茶やの脇を通って、いよいよ富士登山の開始です。
ここの小屋の利用は登山をしない観光メインの方や、下山時なのかな。
営業しているかどうかは別として、富士山の登山シーズンを過ぎた頃とか残雪期に訪れるのもいいかもって思いました。
正直言って、雪がまったくない山ってあまり魅力を感じないのですが、これって岳人だったらおよそ同じ意見だと思うんですよね。
しかも富士山の上部は緑がほとんどないから、つまり秋は紅葉もないってことでしょ。池塘もなければ沢もないし。山岳として見た場合、ただの坊主山でおもしろくもなんともないよね。
もちろん登山口よりもっと下の裾野には富士五湖なんかが広がっているわけですが、少なくとも登山口より上部はなーんにもないって感じ。
まだ日の出直後なので、振り返ると御殿場市街は雲の下。
愛鷹山から箱根、山中湖方面までを取り巻く山々が雲の上に連なっています。
本当に変わり映えのない単純な道のり。道標と途中にいくつかある小屋以外は目立った目標物もないんですよ。なんとなく砂漠を旅行している気分かな。
ひたすらジグを切りながら、標高を稼いでいきます。
救いは天気が良かったこと。連日の猛暑で3,000mを超えても暑かったけれど、眺めだけは大変素晴らしい。
山中湖の奥に見えているのは御正体山でしょうか?
愛鷹山と奥には伊豆半島。
ちょうどブル道を登っていく物資運搬車の姿も見えました。奥には大砂走りも。
前出の検温・体調確認済みストラップ。登山者が多い富士山ならでは。
もちろん感染していないことを立証するものではないけれど、たったこれだけのツールであっても、登山者相互の接触時に安心感が得られやすいというメリットも。
中央に見えるのが陸上自衛隊富士駐屯地と須走の街並み、というか集落だよね。
結婚してすぐの頃、2年弱の期間をあそこで暮らした思い出に浸りながら、高度を上げていきます。
7合4勺(標高3,090m)にあるわらじ館付近からの眺め。すぐ上の7合5勺には砂走館もあります。
御殿場ルートで国旗が揚げられているのは、ここと山頂だけかな。
砂走館のメニュー表。宿泊2食で8,000円で、さらにお昼にラーメン、夕食にビール2杯を注文してもちょうど1万円。トイレ代は別途なのかな。
睡眠まで含めた高度順化と、高所でのトレーニングをする目的で利用するというのもアリなのかもしれない。
で、この付近から次第にザレ場やガレ場が増え、山頂まで少しずつ険しくなっていきます。
富士市の眺め。駿河湾の先に見える半島部分は松原で有名な三保だと思います。
その対岸にある清水のちびまる子ちゃんランドに行ってみたいと密かに思ってましてね。
上を見上げると、相変わらずの殺風景。
最近の私は休憩せずに歩き通せるペースを守るようにしているので、富士山だと1時間に500mくらいを上げていく感じ。なので、御殿場ルートだとおよそ5時間で山頂へ至ります。
山頂直下はガレ場が続く核心部。危険個所はないけれど、登山者と下山者が交錯するため、下山者は早めに立ち止まって落石させない配慮をしたほうがいいと思います。
もっとも、このルートを歩く人は少なめなのですが。
まもなく御殿場ルート頂上という場面。
富士山は無理にご来光登山をせず、こうして日中に来る方が楽しめるような気がしています。
御殿場口山頂から剣ヶ峯とお鉢廻り
富士宮口の頂上には浅間大社奥宮があります。
そもそも浅間大社は徳川家康の時代までさかのぼり、富士山は富士山本宮浅間大社のご神体なのだとか。
→詳しくは富士山本宮浅間大社のウェブサイトにて。
余談ですが、富士宮口がなぜ表口と呼ばれるのか少し調べてみました。しかしながらどうもはっきりとした根拠が見つからず、個人的に調査されている方のブログに行き当たりました。つまり、そう簡単な話ではなさそうだということです。
続いて剣ヶ峯へ。
傾斜がちょっとキツいザレ場になっていて、最後まで楽しませてもらえます。
気象観測所脇を登り切れば、山頂の石柱に到着。
この辺り、ちょっと渋滞します。
山頂へ到着。いつもは100円ショップで購入したミニ三脚で自撮りしますが、登山者がたくさんいるので撮っていただきました。
今年登った2回とも、撮影待ちで並ぶことはありませんでした。これでもコロナ禍で入山者が少ないってことなんですね。
それでも外国人のハイカーの姿を多く見かけますので、コロナ以前は本当に多くの外国人の方が登っていたのでしょう。
以前誰かに聞いた話では、こっちが本当の山頂なんだとか。
まあ、ここまで来たらどちらでもいいような話ですが。
せっかくなので、じっくりと見学した方がいいと思います。
富士山頂の火口。天気が悪くて景色が見れないのは残念だけど、この火口が見られないほうが惜しいと思うんです。
めったにこういう機会ってないですからね。
眼下には本栖湖。空際線には南アルプスの白峰三山でしょうか。
富士宮ルートや御殿場ルートから登った場合、山梨県側の景色はお鉢廻りをしないと見られないんですよね。
最北にある白山岳というピーク。2万5千図には剣ヶ峯と白山岳の2山の名前と三角点マーク、それと標高が書かれていて、こちらは3,756.2mなんだとか。
今回は分岐点に規制線が張ってあったので行きません。
山中湖をズームで。
篭坂峠の西側一帯には陸上自衛隊の北富士演習場が広がっていて、御殿場側の東富士演習場もそうですが、周囲の深緑に黄緑色の彩を添えています。
富士山はとにかく裾野が広大だということが分かると思います。
こちらは河口湖。
河口湖大橋やうの島なんかもよく見えています。
個人的には夏に長期滞在してみたいと思っている地域の一つ。
なんと山頂にも自販機が。価格は400円~500円。
思い切って1,000円とか3,000円の値付けをしたほうが、話のネタになって売れるような気もしますが。いかがでしょう?
御殿場ルートは距離が長いけれど、下山ルートは全コースの中で最も楽しめる大砂走りがあるんですよ。
7合目から分岐して、直線的に一気に下れるのが醍醐味。走れる人は駆ければいいし、歩いてもフカフカなので膝に優しく楽チン。まるで新雪の中をスノーシューで下っているかのよう。
山頂から2時間もかからず御殿場口に到着。その頃には全身が砂で真っ黒になっているでしょうけれど。
さて、富士山ネタはこれでおしまい。翌日は山行4日目、中房温泉から燕岳と大天井岳に登ります。