水際対策が始まって以来、日本入国(帰国)時における検疫の手続きが煩雑になった。
それでも徐々に簡素化されているのは確かである。
私個人の履歴としては、22年7月にタイへ、9月にマレーシア・シンガポール・オーストラリア・ベトナムへ、10月にもベトナム、11月と12月にタイ、そして最近では12月と23年1月に台湾への渡航を経験してきた。入国した空港は、羽田、成田、福岡、新千歳の4空港だ。
22年7月にタイへ行った際には、まだ帰国時にPCR検査の陰性証明が必要だったこともあり、日本出国時に空港カウンターでワクチン接種証明の確認を受けるなど、手続きがかなり面倒であった。現地の空港でもMY SOSの画面確認などがあった。
しかし、22年9月になって水際対策が緩和されてからは、現地での搭乗手続き時にワクチン接種証明の確認を受けるだけで、帰国時はMY SOSへの登録・確認くらいであって、あとは空港での長い導線を歩くだけだった。
23年の春には感染症5類へ引き下げされる見込みなので、あと半年もすれば水際対策は過去のものになると思われる。
Visit Japan Webは画期的だが、税関手続きがかえって複雑に?
ここからが本題。
11月からスマホアプリのVisit Japan Webに移行して、検疫手続き(ファストトラック)と税関申告の両方を一連で管理できるようになった。
税関申告については以前の黄色い用紙に記入していた内容をスマホ内で申告できるようになった。実に画期的だと思う。
しかし、これはどうなんだ?と思うことが一つだけある。顔認証ゲートだ。
スマホ内で申告した後にQRコードを表示させ、税関にある専用端末でパスポートと一緒に読み取らせる。そしてカメラで顔を撮影される。ここまではいい。これで終わればいいじゃないか。
ところが続きがまだある。
再びゲートで顔認証があるのだ。
専用端末の台数に対してゲートの数が少ないものだから、ここで渋滞するのが解せない。黄色い用紙に記入し、以前のように係員と対面でやりとりしたほうが早いこともしばしばある。
そもそもこの専用端末の操作とゲートが諸外国では見られないものだし、当の日本人帰国者にとっても目新しいものだから、みんなここで右往左右する。税関の職員も本来業務にかかれず、端末操作や誘導に忙殺されている印象を受ける。彼らがもし臨時の職員だとしても、デジタル化されたのだから本来は必要のないポストのはずだ。
入国時審査についてはすでに対面で行うことはなく、すべて自動化された。つい数年前は事前登録しなければ自動化ゲートを利用できなかったけれど、今は自動化ゲートを利用するまでもなく誰でも無人のゲートが利用できる。
前述の通り、検疫も今後簡素化されていくのは間違いないだろう。
とすると、これからは税関の面倒くささが際立ってくると思われ、私にとってはちょっと憂鬱な気分である。
ちなみに私が渡航したことがある国々のなかで、日本ほど税関のチェックが厳しい国は他にはない。
だいたいフリーパス、せいぜいX線検査機に荷物を流して終わりだ。ベトナムやタイ、マレーシアではアライバルカードの記入もないし、台湾やシンガポールはオンラインで完結できるから、渡航先での入国手順は、対面での入国審査、あるいは自動化されたゲートでのパスポート・顔・指紋認証のただ1点だけだ。
そうなると、海外からやってくる観光客にとって、日本の税関審査はきっと違和感を覚えるポイントになるのではないだろうか。
私だったら、「日本へ行きたいけど入国審査が面倒だから嫌だな」って思うことだろう。