天気が良くない日に山に登って、事故に見舞われることがあります。
自宅から一人で出かけるのであれば気軽に中止の決断ができますが、同行者がいたり、ツアー参加だったり、あるいは遠征登山であったりすると、中止の判断がなかなか下せません。
でも相手は自然なので、毎回好条件なはずはありません。
そもそも気象条件は厳しいですし、好天に恵まれる可能性は平地より低いはずなんです。仮に平地での晴天率が50%、曇りの日が30%、雨の日が20%だとしたら、それよりも晴れる確率は下がると考えるのが真っ当なはず。とても当たり前のことなんだけど、私達にはそういう想像力というか客観的な見積もりが欠如しています。
私もコロナ禍で日本各地の登山遠征をしてきて、晴天に恵まれないことが幾度となくありました。でもほとんどの場合は決行しましたよね。なぜなら、飛行機の往復とレンタカーでの金銭的な損失と、会社員として少ない休日を無駄にするから。
しかしながら天気が悪い日に登って楽しかった経験は皆無。もちろん花のシーズンや、紅葉シーズンであればそちらを楽しめますし、積雪期であれば森林を歩く楽しみだってあります。ピークを踏む目的以外の楽しみ方を知っていれば気持ちの収まりがつくけれど、それにしたってきっと晴れの日のほうが楽しいはず。
私にとって荒天で登った山で比較的記憶に新しいのは、
- 1月の月山、蔵王、西吾妻山
- 8月の富士山
- 10月の燧ヶ岳
- 11月の栗駒山、早池峰山、阿蘇山
でしょうか。経験を重ねていくと、自己の実績データが「敗退確率が高い時期や山域」を教えてくれることも分かります。
勝算30%での計画、初めからオプションも用意しておく
実はこれを書いている23年1月22日は仙台市内のホテルにいて、今日は蔵王か船形山に登る予定だったんです。
冬の蔵王には2020年と21年に登っていて、1回目は最高の天気、2回目は嵐で敗退。船形山も1年前に良い体験をさせて貰ったので、もう一度行きたかったんですよね。
ところが気分が乗らない。むしろ嫌な予感すらする。
確かに今日は強い寒気が入ってきているので決して良い条件ではないけれど、無理ではないと思うんです。
昨シーズンは40回近く雪山に登っていた私ですが、今シーズンはまだ1度しか山に登っていないので、何よりも体力的に自信がない。
そこで思い切って山に登る計画を破棄し、出発当日の朝にホテルの予約を取った次第。
札幌ー仙台航空券往復1万2千円、レンタカー5千円にホテル代が上乗せされた(もともとネカフェで仮眠を取る予定だった)わけですが、暖かい場所でのんびりできたし、美味しいビールも飲めた。気分転換になって明日からまた精一杯働けるじゃないか。
伝えたいことは、天気が悪くても楽しめる方法を準備しておくこと。
心の底から山を愛している人であればどんな状況でも楽しめるかもしれないけれど、少なくとも私はそうではないので、別プランを用意しておく。
この別プランの選択肢をどれだけたくさん用意できるか、充実した内容にできるかが肝。
株式投資の世界には損切りっていう言葉があるけれど、登山遠征の中止は損ばかりではありません。のんびりドライブしたっていいし、温泉行ってまったり過ごしたっていい。旅先ので映画を見たり、ネカフェで1日中漫画読んだっていいと思う。私なんか、旅先で郵便局行って手続きしたり、ドラッグストアで買い物したり、通院したりなんかもしますよ。
仕事と遊び、アウトドアとインドア、旅と日常、、、そうしたボーダーを設定するから不自由になるのかと。
登山だって所詮は余暇の過ごし方の一つに過ぎないわけで、別のやることに切り替えればいいだけの話。要は損切ではなくて、損して得取れであればいいのではないでしょうか。