先週末は蔵王の刈田岳に登ってきました。
冬季、3年連続で訪れている理由は単純にこの山が好きだから。
ゲレンデトップまでリフトを使えば山頂までの距離は短いし、スキー場の下からでもそれほどの距離はありません。
ところで私たち登山者は経験を積むにつれ、EASYよりもHARDな山行を求めるようになりますよね。
これ、純粋に成長である反面、特に男性は「俺ってスゲー」と周囲に誇示するみたいな一面もあるんですよね。これ、切磋琢磨ではなくて競争。
ところがある程度人間が成熟してくると(つまりオジサンになると)、体力の低下を切実に感じるようになり、潔く万歳していかに楽をして楽しむかを求めるようになってきませんか?んっ、私だけ?
で、蔵王の話。
こんなにお手軽に森林限界を超えた冬山を楽しめるなんて札幌近郊にはちょっとないし、増毛や積丹、ニセコは日本海側なので真冬は基本荒れ放題じゃないですか。
確かに蔵王も晴れる日は少ないみたいだけど、仙台空港から近いからアクセスが楽。だからいっそのこと東北へ飛んだ方が手軽に楽しめるんですよね。
3年連続で行ってみるとやはり蔵王ってなかなか厳しくて、昨年は吹雪で早々に敗退したし、今年も風が強くて一時はホワイトアウト。指先も凍傷気味でなかなか厳しい山行だったんですよ。
そもそも私は3月以降になれば森林限界を超える山にも登るけれど、12月~2月はそれ以下の山で遊んでいる程度のショボい奴。
だからいくら蔵王が初心者向けとは言っても、森林限界を超えれば厳冬期は厳しいって話。
例えばGPS。
私はGPSの専用機を持たずにスマートフォンのGPS機能を利用しているのですが、その代わりバックアップにさらに2台のスマホ、合計3台のスマホを持って入山するんですよね。
でも、吹雪になれば気温よりも風によってバッテリー残量が著しく低下するので、露出させると次々に使えなくなる。
これはカメラなんかもそう。
今回は動画撮影用のDji Action2と一眼レフのEOS Kiss x7、コンデジのGR2を持っていたけれど、EOS Kiss以外は全く使い物にならなくて。
ウェアの中に入れるなど養生していた割にはダメ。
1週間前に登ったユートピアは蔵王よりはるかに気温が低かったけれど、こんな症状はほとんどなくて。つまり森林限界を超えて風をまともに受けると、環境耐性のない電子機器は次々に使えなくなるってこと。そこにホワイトアウトが加わると、、、もう想像できますよね、死と隣り合わせの世界。
そんなの当たり前の話なんだけど、ふだん良い環境下でしか行動していないとついつい忘れちゃうんですよね。そしてリスクを軽視しがちになる。
だから想像力って大切で、ホワイトアウトしたらどうなるか、雪崩が発生したらどうなるか、そんなことをたまには深く考えようって話。
今日の装備はこれでいいのか、そもそも今日は山に入ってもいいのか、天候は良いけど自身の体調は良好か、惰性になって気持ちが後ろ向きになっていないか、などなどこれからも1回1回の山行ごとに考えていきたいものです。
降雪がなくても、風が強ければ雪煙が舞って視界が悪くなるのは自明。そんなことは当たり前のことなんだけど、ついつい忘れてしまうのが人間の性とでもいうのだろうか。利用者が多い「てんくら」も、晴れていても風が強くて「C」の時があって夏山ならそれでも問題なくても、冬山はやはりダメなんですよね。たまにしか山に行かない私みたいな人間こそ要注意だと思う。