先日のブログで父の葬儀の話をした。
記憶がはっきりしているうちに、葬儀の流れについて備忘録を残しておこうと思う。私にはまだ母がいるし、万一再婚することになれば、さらに見送る人が増えるかもしれない。
そのため葬儀屋さんや僧侶など、その業界の方とは違う当事者としての目線で記録を残しておきたいと思う。
葬儀の話まで扱うようになると、本当にこのサイトの存在意義が分からなくなってきた。やりたい放題で申し訳ありません。
なお、相続についてはこのブログでは触れません。
【~前日】事前準備
亡くなる前に不謹慎かもしれないが、まずは本人の意思確認をしておくべきだと思う。
つまり、どんな葬儀にしたいのかということだ。結婚式とは違い、葬儀は当人の意に反して送り出す人たちの意向が強く反映されがちではないか。
しかし葬儀には多額の費用がかかる。だから、生前に関係者間で費用負担まで十分詰めておくのが望ましいと思う。入院中の看病などと並行して行うことになるだろう。忙しくなるし意気消沈する。しかし備えあれば憂いなし。避けては通れない。
具体的には、
- 参列者の範囲、つまり亡くなったことを誰に知らせるか
- 僧侶や戒名、院号について
- 葬儀をやるとしたら、こだわりがあるか
ここがしっかりしていれば、あとは作業的なものになると思う。
- 葬儀を行う場所の下見や費用の見積もり
- 参列者名簿の作成
葬儀にかかる費用は、大きく分けて2つだ。
- 葬儀屋さんに支払う費用
- 僧侶に支払うお布施や院号料
葬儀屋さんに支払うものは、事前に見積もりをとっておけば概算が分かる。
僧侶に支払うお布施は宗派によって相場が異なるし、戒名に院号を付けるとさらにその費用もかかってくる。ここも葬儀屋さんに訊けば教えてくれるし、ネットでもすぐに相場は調べられる。
世の中がキャッシュレスになってきたとは言え、僧侶に支払うお布施の類はやはり現金が必要になる。さすがにPayPayのQRコードを差し出す僧侶はいないだろう。
葬儀屋さんもクレジットカード払いができないことがあるので、ここも事前に確認しておきたい。
次に参列者名簿だが、その名の通り誰が参列するかだ。その内訳として、
- 通夜への参列の人数
- 宿泊者の人数と葬儀当日の朝食の人数
- 通夜振る舞い(お通夜後の食事)の有無
- 葬儀・出棺時の参列の人数
- 火葬場への同行する人数
- 火葬場で用意する食事の数
概ねこんなところだろうか。
【当日】臨終直後
速やかに葬儀屋さんへ連絡すると、遺体を病院内で安置せず葬儀場へ運んでもらえるのでスムーズだ。その際に大まかな葬儀日程の打ち合わせを行う。
亡くなった時間帯や六曜、葬儀場の先客の有無によって、どういう日程で葬儀を進めるかが変わってくるだろう。
基本的に友引の日に葬儀を行うことはあまりないので、多くの自治体で火葬場も休業になるのではないか。少なくとも私が暮らす札幌市はクローズしている。また、基本的に死亡後24時間以内の火葬はできない。
通常であれば、翌日に通夜、翌々日に葬儀と火葬という流れだろうか。
私の家は檀家だったこともあり、その日のうちにお寺に電話し、翌朝に枕経をお願いした。
それと、病室は速やかに撤収して病院へ明け渡す。
【翌日】打合せ、納棺、通夜
今回のケースでは臨終の時間が19時だったため、翌日に打ち合わせを行った。
この日は友引であったが、通夜を行うには問題ないとされる。通常ならこの日に通夜を行うだろうし、私たちもそのつもりでいた。
しかし葬儀場には数組の先客がおり、出棺時のバスの手配がつかないということで1日先延ばしすることにした。つまり、翌日は打ち合わせのみ、翌々日に納棺・通夜、3日後に葬儀・火葬という長丁場の日程となった。
ちなみに臨終した夜は葬儀場に誰も泊まっていない。私も帰宅した。
午前10時に枕経、その後僧侶と打ち合わせをした。ここで故人のエピソードを話して、その場で戒名をいただく。通夜の開始時刻、葬儀開始時刻もここで決める。火葬場が混むので、出棺の時間が10時となるように葬儀開始は午前9時とした。これには葬儀屋さんからの強い勧めがあった。
なお、僧侶へのお布施は、葬儀が全て終了してからまとめて渡す。
その後は葬儀屋さんとの打ち合わせ。葬儀に必要なものの詳細を一つ一つ確認していく。基本料金の場合は最低限、グレードアップするとこのお値段、そんなやり取りを続けて行く。祭壇が貧相だと確かに寂しいものがあるし、故人の棺や装束も立派にして送りたいという気持ちになりがちだ。でもすべて万単位で金がかかる。ここは冷静に判断したい。
すべてチェックを終えたら仮の見積もりをしてもらう。さらにおくやみ広告掲載の有無を決め、全般のスケジュールもここで決まる。
火葬するには役所に死亡届を提出しなければならない。病院から貰った死亡診断書を持って最寄りの区役所へ行く。私の父は石狩市民だったが、最寄りの白石区役所に提出すれば問題ない。全て無料だ。この際、故人の本籍、住所、生年月日といったパーソナル情報を記載する必要がある。あとは認印を持っていったが、私の場合必要なかった。
混んでいなければ、待ち時間30分くらいで火葬許可証を貰う。
なお、死亡診断書はその後のいろいろな手続きに必要になってくるから、コピーを10枚くらい取っておくとよい。これも葬儀屋さんにお願いすればやってくれる。
出かけたついでに支払い分の現金も準備しておきたい。香典がいくら集まるかなんて始まってみなければ分からないし、通夜が終わって夜中にごちゃごちゃ集計するのも煩雑だ。それならば最初から全額準備しておいたほうがいいだろう。
それと、ATMで1日に引き出せる上限額が決まっていることもあるので注意が必要だ。
この段階から遺族が多いと、昼食や夕食の手配が必要になってくる。間柄が近いのでスーパーやコンビニなどで適当に買ってくる程度でもいいだろうが、年寄りや子供がいればそうもいかないかもしれない。
いずれにせよ、喪主がこういった費用の負担をしたり、喪主の子供たちが実際に動いたりするので、わりと大変かもしれない。
そういった意味もあって、必要最低限の人員だけを残し、近場に住んでいる人は納棺まで自宅待機をお願いしたほうがいいと思う。
【翌々日】納棺、通夜
通夜の開始時刻は通常夕方以降なので、それまでの時間に納棺を行う。私の場合、15時頃だった。
逆にそれまでの時間帯は何もない。遠方に住む親戚がポツポツ現れるくらいだろう。
ちなみに私の父は身体が大きかったので、棺のサイズも大きかった。そのため、マイクロバスに乗せることができず、大きなバスに乗せなければ火葬場へ行くことができなかった。これだけでも余計な費用がかかるのだ。
だんだんと各方面から供花が送られてきて、祭壇もにぎやかになってくる。
喪主や施主が供花を出すことはないと思うが、その場にいる親族は葬儀屋さんのパンフレットかネットから注文するだろう。もちろん葬儀屋さんで頼むと割高になるが、手続きは早いし柔軟性がある。
僧侶が通夜の1時間~30分くらい前に到着するので控室に通す。あとは特に相手をしなくとも問題ないだろう。
それよりも、参列者がかなり早い時間から集まってくることに留意しなければならない。多くの場合、儀式開始時刻まで放置するわけにはいかないのではないか。喪主や施主、故人の兄弟等が総出で相手をすべきだろう。
通夜の進行は葬儀屋さんと僧侶に任せておけばいい。焼香するくらいだ。
問題は通夜が終わってからだ。
ここで遺族以外が全員帰ってしまえば問題ないが、中には一緒に食事をとる方もいる。したがって、通常、オードブル等を用意しておくのが一般的なようだ。私たちは宿泊する遺族の分のしかお弁当を準備しておらず、非常に気まずい思いをした。お酒など飲み物も十分とは言えなかった。
これはよくある話で、私も生前の両親からよく聞かされていた。しかし、同じ過ちを犯すことになる。つまり、そのくらい想定外の出来事が起きるのだ。例えば親戚一人に知らせたらその奥さんやお子さんも一緒に参列されるといったケースだ。事前に出席を取る結婚式では絶対にありえない話だが、葬儀ではこういうことが起こる。
そのため、儀式終了後に速やかにお引き取り願うように司会進行に案内してもらうか、そうでなければ遺族分にプラスアルファの準備をしておくべきだ。
もちろん、家族葬ならこういったことは起きなかっただろう。だから、亡くなったことを知らせる範囲とおくやみ広告に関しては、熟慮したほうがいいと思う。
【最終日】葬儀、出棺、繰り上げ法要
葬儀の当日。儀式そのものは葬儀屋さんと僧侶にお任せで大丈夫だ。自分たちは参列するだけでいい。
始まってしまえば火葬場まで一連の流れで進むので、葬儀開始前に現地へ持って行く身の回り品の準備は済ませておきたい。喪主や施主は念のためそこそこの現金を持って出かけたほうがよいだろう。
火葬が終了するまで1時間半から2時間くらいかかるだろう。遺族だけで行くのであればその辺で適当に待っていればいい。しかし高齢者がいる場合や、ちょっと離れた関係の方も来る場合は、控室の準備と人数分の食事を準備しておいたほうがいい。ここでも数万円の支出になるが、ここでケチると必ず恥をかく。私たちも通夜後の流れで控室とお弁当の手配をした。
それと札幌市の場合、市民であれば無料で火葬できるが、市民でなければ4万9千円徴収される。故人となる前に住民票を移しておけば良かったと後悔しても、あとの祭りである。5万円は大きな負担額だ。なお、2024年3月8日から火葬場の利用は予約制に移行するようだ。したがって葬儀屋さんを頼らないですべて個人で完結するのはハードルが高くなりそうだ。
骨を拾って火葬場から葬儀場へ戻ったら、そのまま繰り上げ法要を行った。これも葬儀屋さんと僧侶にお任せだ。
式のクローズに遺族から参列者に挨拶を行う。私たちはこの1回だけにしたが、葬儀の規模やどのような参列者が来るかによっては、通夜の後や火葬場での待ち時間などでも適宜挨拶を入れるようだ。
参列者が帰る前に喪主が僧侶の控室へ赴き、お布施等を渡す。お布施の袋は葬儀屋さんが準備してくれるので、中身だけ準備すればよい。今回のケースでは、
- お布施
- 院号料
- 御膳料
この3つを渡した。もちろん数十万円となる。
また、四十九日法要のスケジュールについても、この場で打ち合わせしておいた。
あとは参列者をお見送りしたら終わりである。遺族の控室を撤収し、会計を済ませたら本当にすべて終了だ。
以上、父が亡くなってから葬儀が終わるまでを、時間軸に沿って実務ベースで書いてみた。あくまでも私の備忘録ではあるが、読まれている方にとっても参考になれば幸いです。