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深圳航空で中国を経由して第3国へ行こうとしたら、144時間トランジットビザ免除措置が使えなかった話

 

深圳航空で中国深圳市を経由し、カンボジアのプノンペンを往復する旅程を立て、旅行当日に空港へ行った。

 

しかし出発直前、深圳宝安空港への到着時刻が遅いために現地で144時間トランジットビザ免除措置の手続きができない旨を伝えられ、搭乗を断念するという結果に至った。

 

実際には現地へ飛んでいないので、本当に144時間トランジットビザ免除措置が使えなかったどうかは分からない。

 

ただこういう話があったことが参考になればと思い、その失敗談を共有しておきたい。

 

前提のはなし

 

パンデミック後の中国本土への入国はビザが必要になる。

 

しかし特例として、第三国への乗り継ぎを条件に査証免除措置が設けられており、この制度を利用することで、事前にビザの取得をすることなく一時的に中国に滞在できる。

 

私たち利用者にはやや分かりずらいが、24時間以内に乗り継ぐ場合と、144時間以内に乗り継ぐ場合とでは、趣旨や内容が異なる。

 

私には24年3月に上海で24時間以内の乗り継ぎでバンコクを往復した経験がある。

 

その経験から、今回の深圳でも何の問題がないものと考えていた。

 

一点異なるのは、往路では乗り継ぎ待ち時間が36時間25分あることだ。つまり24時間ではなく、144時間トランジットビザ免除措置の利用をする予定だったことだ。

 

当日の状況

 

2024年6月13日。

 

私が搭乗する予定だったフライトは、札幌16時10分発、深圳21時15分着のZH728便。

 

14時30分過ぎにチェックイン、出国して制限エリア内で待っていた。

 

搭乗開始時刻の15時40分に館内放送で私の名前が呼び出されたので搭乗ゲートへ行ってみると、ゲートがクローズしている。

 

一瞬、乗り遅れたのか?と思ったが、地上係員さんに訊くと状況が異なった。

 

内容は次の通り。

  • 深圳到着時刻にはすでにカウンターがクローズしていて、アライバルビザの発給ができない。
  • このまま搭乗したとしても、最悪の場合強制送還も否定できない。
  • 予定を変更するなどして対応を決めて欲しい。

すでに出発30分前である。今さらそんなことを言われてもどうしようもない。

 

そこで現地到着後、朝まで制限エリア内で待機して、カウンターが開く時間帯に手続きするのはどうか?と訊いてみた。

 

これに関する回答も「それはできない」とのことだった。

 

深圳航空はANAと中国国際航空のコードシェア便だったため、対応してくれた地上係員は両社の社員さんだった。電話で現地の深圳航空職員と連絡を取ってくれているようだ。

 

いろいろと考えてみる。

 

「明日のフライトでしたら、24時間以内の乗り継ぎなので問題なかったのですが」と何度か言われたのがどうも引っかかる。

 

その理由として、上海の浦東空港では、24時間トランジットビザ免除も144時間トランジットビザ免除も、同じ入国審査カウンターで行われていたからだ。だから深圳でも同じだと思っていたのだ。

 

それに私と同じ境遇の人はたくさんいるはずだ。到着時刻が21時を過ぎた程度でそんな対応だったら、みんなだって困るだろう。

 

ましてや第三国へ出国するチケットを持っているのだから、最悪、空港で36時間待つことになったとしても、さすがに強制送還はないだろう。

 

頭の中でいろいろと思考が巡る。

 

この手の制度はわりと頻繁に変わるし、地上係員さんだって常に最新の状況を把握しているわけではないはずだ。

 

ただ、搭乗手続きの際にANAの係員さんが(トランジットビザ免除措置について)入念に調べた上で搭乗券を発行してくれたのに、出国して搭乗直前の段階になってそういう話になった点が気にかかる。誰かが指摘しなければ、きっと気付かないような内容だからだ。

 

最終的には自分自身で判断しなければならない。

  • 今から別のフライトを手配する ➡ 費用の関係で即却下。
  • とりあえず自分を信じて行ってみる ➡ さすがに強制送還はないだろうが、当地で何事もなく進むようにも思えない。

結局、私は出国を取りやめることにしたのだった。

 

 

出国を取りやめる貴重な体験

 

過去に国内線で一度だけ、機材の不具合で制限エリアから戻された経験がある。でも今回は国際線、初めての経験だ。

 

さて全員が搭乗するまで搭乗口付近で待機させられ、係員さんによる出国取消しの書類作成、出国審査場での手続き、職員専用ルートを経て入国動線から入国審査、税関を通過して退出など、合計30分くらいかかった。

 

今回一番損をしたのは私自身であるが、関わったすべての人に無駄な業務負荷をかけてしまったことには申し訳ないと思う。最後まで丁寧に対応してくださったANAの地上係員さんには感謝している。

 

結局のところ、今回のケースでは現地へは飛ばなかったので真実は分からない。

 

もしかして何事もなく入国できたのかもしれない。だとしたら、私はバカをみたことになる。

 

ただ、何者かが悪意を持ってそんな嘘を吹き込むこともないだろう。

 

では、こういうことが起こり得ると想定すると、事前にどこへ問い合わせをしておけば良かったのだろうか?

 

これの答えは現地の空港だと思われる。

 

しかし最良なのは、最初から中国のビザを取っておくことだったかもしれない。

 

日本のパスポートは最強と言われていて、多くの国々へビザなしで行けるものだから、ついついそれが当たり前だと思ってしまう。

 

やはり私も次からは中国のビザを取得しようと思う。

 

結局、宿泊先の予約はすべて無料キャンセルができたが、往復航空券、カンボジアのビザ取得費用、現地イベント参加費、空港往復交通費、カンボジアで使うための米ドルへの両替など、高い勉強料になってしまった。