急きょ、ゼブラを見に白雲岳へ行くことにした。
その経緯としては、海外旅行ドタキャンの憂き目に遭い、5日間フリーになってしまったからだ。
➡詳しくは先日のブログにて。
覆水盆に返らず。
お金は取り戻せないが、時間は別のことをすることで取り戻せる。
今晩からレンタカーを借りる手配をした。金曜夜から土曜にかけて十勝か大雪へ行こう。午前中に動画編集をして昼寝をし、夕方に出発、夜から登山開始で比較的大きめな山行をやりたい。候補は
- 天人峡ートムラウシ
- 十勝連峰
- 旭岳ー白雲岳
出発2時間前まで悩んだ挙句、結局白雲岳となった。まあ優柔不断である。
22時に旭岳温泉を出発する。
金曜の夕方に札幌から一般道で来たので、ここまで5時間を要した。
金曜夜だというのに、公共駐車場には2台しか停まっていない。確かにシーズンにはまだ早そうだ。
深夜1時に旭岳山頂に到着。姿見まで1時間30分、旭岳までさらに1時間30分だった。
姿見までの間に雪が残っていたり、天女ヶ原の木道が浸水していたりしないか懸念していたが、杞憂に終わった。雪は四合目付近の幅広い階段にしか残っていない。
八合目付近から急に風が強くなり、自分の高さに雲も流れるようになった。
北海岳を過ぎ、白雲岳を見上げるくらいまで進んだ辺りでやっと空が明るくなった。
まず裏旭の雪渓は、深夜の時間帯でもカチカチになることもなく安全に下りられた。
上空のかなり近い付近をまだら状の雲がどんどん駆け抜けて行き、かなり強い風が吹いていることが分った。夜明け前の2時40分、北海岳で進退について熟考してみる。
予想外の天気の崩れに動揺したものの、風が西から吹いているので低気圧は東に進んでいるのだろう。想定外の雨はないと判断。
手袋を2枚重ね、モンベルのウィンドブラストと雨具を重ね着して防寒対策をする。
トムラウシ山遭難事故も発生は7月中旬である。まだまだ油断ならない季節だ。
私は臆病なので装備は厚めに持つ。体力や経験も大切だが、それが油断につながることもまた事実だ。
白雲岳に取り付く辺りには広大な雪原が広がっている。
地形図に万年雪のマークが付されているのはこの辺りだ。
この沢地形の源流部まで雪が繋がっていたので、夏道を外れて直登で白雲岳のクレーター部分に出られた。
白雲岳山頂に着いたのが3時50分。
雲の中であった。
日が昇れば晴れることが容易に想定できたので、タイムラプス動画の設定をして気長に持つことにした。
山頂には50分滞在。
時おりゼブラをチラ見させてくれる瞬間が訪れる。
雑誌やブログ、SNSを通じ、昔は画像でしかその魅力を共有できなかったが、その時代はすでに終わっている。
テレビも映画もアニメだって結局は動画コンテンツだ。
消費者はそれを求めている。
西からどんどん雲が流れて来る。
後旭岳を見る限り、まるで雲が表面を撫でるかのようだ。
おかげで高根ヶ原方面もまったく見えない。
名残惜しいが、今晩18時からの飲み会に参加する都合上、時間切れで下山開始することにした。
いや、帰りにロープウェイを使うとか、高速道路で帰るとか、時間を捻出する手段は他にもあっただろう。私の中の貧乏な思考がすべて悪い。
もう少し明るくなるまで待つべきだったと後悔しても、後の祭りである。
とにかく一面がキバナシャクナゲ。
チングルマが咲く前の時期に表大雪へ来たのは初めてかもしれない。
毎週来たい。来週も来よう。
北海岳に戻ってきた。
御鉢平も雲の通り道になっていておとぎ話の世界である。
条件によっては、御鉢平が雲の下で、雲海に浮かぶ凌雲岳と北鎮岳が見られる、そんなこともあるかもしれない。
北鎮岳も流れる雲に隠れて全容が見えない。
残雪の御鉢平も魅力的。
裏旭に戻ると、テントが1張あった。
時刻は7時を過ぎているが、明け方の強風と雲できっと行動開始できなかったのだろう。夜間は満点の星空だったのに。
そして今日はまだ誰とも会っていない。自宅でひとりで暮らすのと、大自然の中でひとりで過ごすのとでは、感じることが全く異なるから不思議だ。
雪渓を見上げて、また登り返すと思うと辟易するが、実際は比高200m程度。40分もかからなかった。
また、この時期は後旭岳にも容易に登れるから次回は行ってみよう。
比布岳がひときわ高く見える。まあ、実際に一番高いのだけど。
この山塊へはこれまで紅葉の時期にしか行かなかった。
でも来シーズンは雪の残る春に訪れてみたい。
やっとトムラウシ山が見えた。
まだ休みが続くので、次は天人峡ートムラウシをやるか、天人峡ー忠別岳をやるか思案する。問題は天気だろう。
十勝連峰や東大雪、表大雪の縦走路を繋げると、登山道総延長は150km以上あるので、毎週末通ってもワンシーズンびっしり遊べるスケールだ。
旭岳山頂に戻ったのが7時40分。
この時期はまだロープウェイの始発が8時からなので、貸し切り状態で楽しませてもらった。
姿見の池の雪は半分くらい解けている。
例年より雪解けが早いそうなので、お花の見ごろも早まるのかもしれない。
ロープウェイ代をケチって登山道を下る。
すれ違ったのは外国人ばかり全部で8人。
最近、ここを下るときは毎回外国人の方が多く、しかもみんなかなりの軽装だ。
実際、姿見まで2時間もかからないし、姿見を山頂と考えたなら休憩所があって食料も手に入るから危険な要素はほとんどない。しかも帰りにロープウェイも使えるわけだ。
日本人登山者は何としても山頂に到達しようとストイックになりがちだが、晴れた日にゆるくトレッキングを楽しむのであれば、こういう遊び方が成立するわけだ。
私ももっと柔軟な考えで山に接していこうと思った次第。
今日の相棒はN-WGN。
今月に入ってから札幌から富良野や旭川へ行くのは4回目。
だいたいどの車種でも、平均燃費はざっくり20km/hだ。
下山後はホットシェフのかつ丼とプレミアムアルコールフリーが定番になりつつある。
半月の間に、富良野岳、十勝岳、芦別岳、白雲岳と4回の山歩きをしてきたが、減量までは遠い道のりになりそうだ。