ずいぶんと久しぶりに暑寒別岳に登ってみた。
増毛山地の最高峰(△1491.6)で日本二百名山なのだが、豪雪地帯なので夏のシーズンは短いし、札幌から近いわりには再訪する人が少ない気がする。むしろ、夏よりも春の残雪期のほうが人気があるのではないか。
増毛山地には数年に一度のペースで、初夏の雨竜沼~南暑寒岳、残雪期の浜益岳や群別岳辺りに登っているけれど、暑寒別岳に限って言えば2014年に登ったのが最後のようだ。それも箸別コースだ。
朝1時過ぎに札幌を出発し、4時40分頃から登り始める。最近は自宅を深夜に出発するのが常態化している。
暑寒荘の手前の駐車場にはすでに2台が駐車していたが、人の気配はない。あとで分かったことだが、登山道から藪をかき分けてタケノコを取りに行っている人たちのようだった。
小屋の前で入林届に記入したら登山開始。雨が降った直後なので湿気があり、風もないので蒸し暑い。
容赦なく蚊が襲ってくるから、立ち止まらず前進し続ける。
以前箸別コースから登った時、蚊の猛襲にあった記憶があるので、今回はおにやんま君とあかねちゃんのダブル装備で挑んでみた。
結果は5ヵ所くらい刺されたものの、4日前に登った余市岳に比べればまだマシか。
山行が終わると、彼らを自宅の網戸に取り付ける。1日中窓を開けっぱなしにしていても、ほとんど虫が入って来ない。効果を最大に発揮するには、いかに視認性を高めるのかが重要なのかもしれない。
五合目までは単調な道が続く。花も少なめ。
それ以降からやっと登山道の雰囲気になり、お花も見られ始める。しかし本格的なお花畑を見るのは九合目を過ぎてからで、箸別コースと合流する標高1,450mの台上に上がってから。
長いアプローチにひたすら耐えた人だけが最後にハッピーになれるという典型的なパターン。
「おっ、このお花は見たことがない」と思ったら、固有種のマシケゲンゲであった。
知らなかっただけにとても嬉しい。
次はシレトコスミレを見に知床連山へ行こうか。
上から見るとこんな感じ。
花も特徴的だが、葉も珍しい形状をしている。
エゾノハクサンイチゲもお祭り状態だった。
チングルマと並んで好きな人が多いだろう。私もその一人。
アズマギクの数も多い。
この花も大好き。5月~6月にかけて咲く花のなかではナンバーワンかもしれない。
山頂に着くとやっとトップツーが見える。右が群別岳、左が奥徳富岳。それらへ続く稜線。
群別岳の奥に見えているのはおそらく幌天狗だろう。
こちらから見ると左の奥徳富岳のほうがカッコいい。
もはや、本当の山好きの人でなければ通じないような山名ばかり。でも北海道の岳人にとっては憧れの山々だ。
次の冬シーズンはこの辺りを再訪したい。浜益で暮らしていた父は、毎日この付近の山々を見ていたことだろう。
半年前、彼の火葬に立ち会った時、浜益岳に登って一部を散骨してやろうと思い立ったことがある。でも散骨のルールについて調べてみると、2mm以下まで粉砕しないとならないらしい。それに本人が望んだわけでもない。だからきっぱり止めた。
山頂までは誰とも会わなかったのに、下山中は全部で20名くらいとすれ違った。やはりそれなりに人気なんだよね。
11時に下山完了。安定のホットシェフランチとノンアルコールで幸せな休日を締めくくる。
片道約120kmは、富良野地区から札幌へ帰るのと同じくらいだが、海岸線を走るのは心地良いものだ。ここ数年は十勝連峰と表大雪の比率が高くてマンネリ化しつつあるけれど、ちょくちょくこっちへも遊びに来ようと思う。