大雪山系は6月に残雪期の終盤、7月と8月が夏山、9月が紅葉シーズン、一般登山者や観光客にとってこの4か月がメインシーズンになります。その中でも9月の紅葉シーズンはわずか1か月に満たないにもかかわらず、見どころがたくさんあるため、1シーズンですべての登山口から紅葉を見るために訪れることは難しいでしょう。
選択肢はたくさんあり、
- 銀泉台から赤岳や大雪高原温泉の沼巡り
- 姿見から旭岳と裾合平
- 黒岳と御鉢平
- 愛山渓温泉から比布岳
- 天人峡から第1公園、第2公園
- トムラウシ温泉からトムラウシ山
などなど、表大雪だけでも行きたい場所がたくさんあります。
この記事では、層雲峡から黒岳ロープウェイとリフトを利用して黒岳に登り、御鉢平を反時計回りに北鎮岳まで往復することを想定します。計画の参考にご活用ください。
ロープウェイとリフト使用でお手軽紅葉ハイキング
黒岳ロープウェイとペアリフトを使えば、山頂まで1時間から2時間未満で到着することができるため、人気のハイキングコースです。
リフトを下りたら登山届に記入して出発します。9月の早朝は気温が10℃未満まで下がるので、風が強い日は防寒対策を十分にする必要があります。
振り返ると、雲海と北大雪の山並みを見渡せるのがこのコースのいいところ。優しいカタチをした表大雪の山々と違い、鋭利な山容の北大雪や東大雪の方が、雲海に浮かぶ姿が画になります。
現地では、著名で特徴的な山を同定することは容易ですが、それ以外の山々を特定するのは非常に難しいです。2万5千図に直線を引きながらマイナーピークにも知見を深めていくと、北海道の山々の奥深さに感心させられます。
黒岳の斜面は黄色が目立ちます。銀泉台や姿見とはちょっと異なるところが魅力。
黒岳の山頂から見渡す、南から東にかけての山並み。
こちらは、凌雲岳と北鎮岳。斜面が赤や黄色に色づいており美しいですね。 凌雲岳は夏道が無いのですが、ピークに立ちたい衝動に駆られます。でも標高は、御鉢平の間宮岳や北海岳より低いというから不思議。
黒岳石室を通り過ぎ、北鎮分岐へ向けて雲ノ平を行くシーン。爽やかな高原ハイキング。
雲ノ平から見下ろす有毒温泉。北海沢と交わって赤石川となり、層雲峡で石狩川に合流します。石狩川の水源の一つなんですね。
北鎮岳から愛別岳を往復してみよう
残雪期の北鎮岳の登りは、ステップを切りながら時間をかけて登りますが、秋は体力勝負でザレの斜面を登ります。
本来は愛山渓温泉から登る山々を見下ろすようになると、せっかくだから寄り道をしようという衝動に駆られることでしょう。
目を転じると、北海道の最高峰「旭岳」と周辺の山々。こちらの山々の裾野は、チングルマやウラシマツツジの赤いじゅうたんが魅力的なんですよ。
でもこちらも負けておりません。鋸岳と比布岳とのコル付近は、緩やかな地形なのでお花畑が人がっています。
比布岳を越えて、安足間岳へと続く稜線。ガスがかかっていますが、途中に愛別岳へと続く吊り尾根の入り口があります。
愛別岳への吊り尾根への下り口は、誰もが最初の一歩を踏み出せないところ。ガレ場を勢いよく滑り落ちそうで腰が引けます。振り返って見上げると大したことがなさそうですよね。
吊り尾根の最低点から見上げた愛別岳。上川岳と並んで、表大雪の異端児的な存在です。「神々の遊ぶ庭」と言われる大雪山系。周囲を形成する層雲峡や、忠別岳から天人峡へと切れ落ちる箇所など、麓から見上げると岸壁の上にあるので、そのように呼ばれるのかもしれません。
ガレ場は続きますが、最後の詰めは岩場を登り切ってピークに到達します。やはりこのルートの最も難所となるところは、吊り尾根への下り口でしょう。
愛別岳をあとにして再び北鎮岳へ戻ると、優しい風景に安堵感を感じることでしょう。
浮き石に足を取られないように気を付けながら黒岳へ戻り、7合目まで下山したらリフトとロープウェイで層雲峡へ下山します。
このルートは紅葉シーズンの方が空いている傾向にあることを、最後に付け加えます。
※この記事は2012年9月27日の山行をもとに作成しました。