こんにちは!コモ子@やまたび北海道(@ComocoHk)です。
今日の話題は愛山渓温泉から登る山の永山岳と安足間岳。2011年9月の山行記録に加え、2019年9月にも登ってみましたので加筆しました。
北海道の屋根と言われる大雪山系は、表大雪、北大雪、東大雪、十勝連峰と大きく4つの地域に分かれており、北大雪を除く3つの地域は縦走路で繋がれています。
「日本百名山」では、表大雪全域を表す大雪山として主峰の「旭岳」「トムラウシ山」、十勝連峰の「十勝岳」が、「日本二百名山」では東大雪の「石狩岳」と「ニペソツ山」が選ばれており、さらに「日本三百名山」では十勝連峰の「オプタテシケ山」と北大雪の「ニセイカウシュッペ山」が選ばれています。
更に「北海道百名山」「北海道の百名山」に選ばれている山々を含めると、これら4地域から30以上にのぼる山々が名山として選ばれていることになります。
今回ご紹介する愛山渓温泉から登る山々は、愛別岳を除いて上記の名山として選ばれていないのですが、姿見の池や中岳分岐から見たこの山塊の山肌は美しく、北大雪から眺める山容は雄大です。
北側の麓から見上げる姿は表大雪の中では険しく屹立しており、どうして名山から外されてしまったのか不思議なくらいの粒ぞろいの山々。
そのくらい周囲の山々が目立っていると解することもでき、表大雪を引き立てる「縁の下の力持ち」的存在なのかもしれません。
登山口となる愛山渓温泉は秘湯の一軒宿として知られ、同じ大雪山系の旭岳温泉、層雲峡温泉、天人峡温泉といった温泉街に引けを取らない泉質のお風呂が楽しめます。
アクセスに使用する道道223号が長期にわたる冬季通行止め(10月中旬から5月中旬頃)の期間を設けているため、本当の意味で秘湯になってしまうところが惜しいところ。
表大雪北側の主稜線を目指して愛山渓温泉から登る
そもそもこのコースに登山者が少ない理由として、先に挙げた通り
- 表大雪の他の山々に比べてややマイナー
- 紅葉シーズンには、旭岳や銀泉台の方が圧倒的に賑わう
という点があります。
ところが中腹に点在する沼の平などの高層湿原と、色とりどりの紅葉が楽しめる山肌は大雪山系屈指の景観であり、かなり穴場的な存在です。
ちなみに、定番の北海道夏山ガイド<2>表大雪の山々というお馴染みの書籍があります。ところが全道的に2016年の台風による林道被害が大きく、アクセスがこんな山がたくさんあることもあり、今登ることが出来る山々を厳選した北海道夏山ガイド特選34コースと言うガイド本が新たに発行されています。
これは美味しいトコ取りなので、北海道外のハイカーの方にもぜひお勧めしたいガイドブックです。6巻すべて持っている方にもおすすめできる内容ですので、ぜひ書店で手に取ってみてください。
さて登山口となる愛山渓温泉からスタートすると、しばらくはしっとりとした森の中を歩きます。
北側に位置する沢沿いの道なので日当たりが良いとは言えず、やや薄暗いイメージも。
でも、傾斜が少なくウォーミングアップには最適。
このルート、しばらくすると2つのコースに分かれます。
- 昇天の滝・村雨の滝コース
- 三十三曲りコース
この2つのコースがあるのですが、2019年9月現在では三十三曲りコースのみしか利用できません。
三十三曲りコース
三十三曲坂分岐の手前には、ポンアンタロマ川を渡る箇所があります。
以前は鋼鉄製の橋が架かっていたのですが、大雨で激しく損傷してしまいました。これを山守隊の方々が新たに木製の橋を架けてくれたおかげで、とても歩きやすくなりました。
愛山渓倶楽部から沼ノ平へ向かう登山道、途中イズミノ沢を跨ぐ金梯子が架かっていましたが折れ曲がり渡るのが大変でした。
— 大雪山愛山渓温泉 愛山渓倶楽部 (@Aizankei_Club) September 9, 2019
先日山守隊の方々が倒木を利用し橋を作成してくれました❗とても渡りやすくなっています‼️ありがとうございました‼️ pic.twitter.com/lpPmd1LWCs
三十三曲坂は標高差にして僅か200mに満たない程度。それほど厳しくはなく、ここを登りきると登山道の傾斜が一気に緩みます。
地面も土から岩に変わり、ところどころに木段も設置されていて歩きやすくなります。
沼の平分岐まで来ると、秋のお花エゾオヤマリンドウの姿をあちらこちらに見ることができます。
ここから沼の平方向に歩くともっと多くの株を見つけることができるので、寄り道してみるのも楽しいでしょう。
沼の平分岐は愛山渓登山口と永山岳のちょうど中間地点。距離にして約2.5kmです。
この付近から見上げるパッチワークの紅葉がとっても魅力的なんですが、訪れた日は残念ながらガスのなか。
ここから一度イズミノ沢まで下り、渡渉したところで昇天の滝・村雨の滝コースと合流。いよいよこのコースの核心部に差し掛かります。
昇天の滝・村雨の滝コース
先ほどご紹介した通り、地形図上の標高点・1120で尾根に登る道(三十三曲りコース)もありますが、ここではポンアンタロマ川(2万5千図ではイズミノ沢)に沿って進んで渓谷美を楽しみたいところ。
でも残念ながら2019年9月現在、通行することが出来ません。ここでは以前訪れたときの様子をご紹介します。
高度を上げていくと、しだいに稜線も見えてくるので清々しく、暑い時期ならとても気持ちが良いでしょう。
何度かこうした滝が現れ、景観を楽しませてくれます。
沢登りする人にとっては特に珍しくないでしょうが、一般の登山者の方にとってはあまりお目にかかりませんよね。
滝ノ上分岐から上部を目指して
村雨の滝の上部で飛び石の渡渉をしたあとは、笹が覆い茂る斜面を登って行きます。背丈程度の植生なので、周囲が開けている雰囲気で窮屈に感じることはないでしょう。
2019年9月に訪れたときには、かなり上部まできれいに笹刈りがされていました。
振り返ると沢地形の奥には沼ノ平の湖沼群。
安足間岳まで登ったら、帰路は当麻乗越から沼の平へ下りる周回登山を楽しみたいところ。特に紅葉シーズンはお勧めです。
残念ながら八島分岐から松仙園方面へは通行ができませんが、2020年に復活する見通しもあるみたい。
【松仙園コース復活の記事が出ました!】
— 大雪山愛山渓温泉 愛山渓倶楽部 (@Aizankei_Club) September 13, 2019
本日9月13日の北海道新聞朝刊に、愛山渓温泉から沼ノ平を巡る松仙園コースが2020年7月に復活するという記事が出ました!
地域や関係者の皆様のご尽力に感謝するとともに、
希少な自然環境が守られつつ登山者を楽しませてくれることを期待しています! pic.twitter.com/yXAMow7wKS
この付近は大雪山系のなかでも西側に位置しているため、十勝連峰や夕張山地も眺めることができます。やや判然とはしませんが、この角度から見て尖って見えるのが富良野西岳です。
この日は全道的に快晴だったのですが、表大雪の高所だけが雲の中。
それでも一瞬だけ青空が出た瞬間に見た景色がとってもキレイでした。
やっぱり紅葉シーズンは晴れていたほうがいいですよね。
稜線が近くなってくると、ハイマツと岩場のミックスされた斜面が続き、開放感があって気持ち良く登ることができます。
個人的な意見では、清々しく登ることが出来るので好きなルートの一つ。
草紅葉が始まっているなかで、一輪だけ咲く季節外れのチングルマ。
2019年9月10日の出来事でした。
裾合平に咲く7月のチングルマがあまりにも凄すぎた件は下記の記事にて。
表大雪の縦走は旭川駅・旭川空港からバス利用が楽チン!道北バスで層雲峡・66番旭岳線「いで湯号」で旭岳温泉へ
真っ赤に染まるウラシマツツジが至るところに。
英語名ではarctous alpine(alpine bearberry)とも言うのだそう。
主稜線から見る愛別岳が美しい
永山岳まで登ると愛別岳の全容と、後方にニセイカウシュッペ山を見ることができます。愛別岳へは主稜線から吊り尾根を伝って山頂へ登ることができます。
【黒岳|北鎮岳|愛別岳】大雪山系の紅葉シーズンに層雲峡からロープウェイとリフトでお手軽登山
【ニセイカウシュッペ山|日本三百名山】10月中旬、初冠雪の山頂と大槍、小槍、アンギラス
さらに安足間岳まで足を延ばすと、この山塊の最高点の比布岳。
北海道で2番目に標高が高い北鎮岳と、北大雪で2番目に標高が高い武利岳。それぞれ1番目は旭岳とニセイカウシュッペ山。知名度だけで話をすると世の中と一緒で、1番と2番との間には大きな差があります。
で、ここからは全部見えるんですよね。
愛別岳や北鎮岳に登る気力と体力があれば寄るのもよし。
車の回送ができるのであれば層雲峡に下りるのも良いでしょう。
紅葉の時期であれば、天気が良ければ当麻乗越→沼の平を抜けて愛山渓温泉へ下りるか、裾合平を抜けて姿見駅へ下りるのもおススメです。
【大雪山旭岳|日本百名山】姿見から山頂と裾合平を周回して、紅葉の中岳温泉を楽しもう!
もちろん下山後は秘湯愛山渓温泉にゆっくり浸かり、疲れを癒したいところ。2019年は10月14日までの営業予定だそうです。