大雪山の旭岳は、北海道の最高峰ではありますが、表大雪のゲートウェイに過ぎず、核心部は、御鉢平や高根ヶ原です。
その中でも、白雲岳避難小屋とそのキャンプ指定地から眺めるトムラウシ山は、格別の景観であり、この眺めを見ずして表大雪を語れない、というくらいのものです。
銀泉台や層雲峡から日帰りできないことはありませんが、雲海に浮かぶトムラウシ山や、モルゲンロートの山並みを楽しむために、ここは山中で1泊したいところ。
健脚者であれば、サクサク歩けてしまう表大雪の山々ですが、今回はテントを担いでゆっくりとお花を楽しみながら、白雲岳避難小屋からの景色をご紹介します。
姿見をお昼に出発すると、いいことがあるかも?
北海道には梅雨がない、と言われ続けていて、夏は晴天が続くというイメージが強いかもしれません。
しかし、最近では蝦夷梅雨と呼ばれる長雨が多く、梅雨前線や太平洋高気圧と密接な関係があるようです。
6月に長雨が続いて7月と8月に晴れの日が多いシーズンもあれば、6月や9月は快晴続きで7月と8月が全くダメ、という年もあります。
2016年、2017年はどちらかと言えば後者のパターンで、真夏は曇り空が続きました。もちろん北海道は広いので、一括りに北海道の天気と言うのはナンセンスですが、大雪山や日高山脈といった中央高地の天気は、夏山シーズンに限って良くありませんでした。
ただ、曇り空でも上空が晴れていることはよくあります。こういう場合は、思い切って午後から登り始めると夕方に晴れたり、雲海を眺められることがあります。
ですから、今回の目的地である白雲岳避難小屋でキャンプをするのであれば、登山時間を勘案してお昼くらいから登り始めるのもいいでしょう。
お昼過ぎにロープウェイに乗り込み、姿見駅から旭岳の山頂へ登った場合、15時頃には山頂に到着します。
この場合、陽が傾き始める時間帯に裏旭へ下りることになるので、ご覧のようにガスが晴れてくることがあります。
こうなれば、夕方の時間帯は雲の上での山歩きを楽しめます。
まずは荒涼としたガレ場を歩き、御鉢平の間宮岳へ。
文字通り雲の上に浮かぶ峰々。登山は早立ちが必須と言われていますが、状況によっては午後からのほうが良い場合も。
白雲岳避難小屋へは、御鉢平を反時計回りで北海岳まで歩きます。
途中で振り返ると、北海道の第2峰「北鎮岳」がどっしりと据えており、あのピークを越えると鋸岳、比布岳、安足間山、愛別岳といった山々へ訪れることができます。
また、その手前の中岳分岐から下りると、中岳温泉や一面がチングルマの裾合平を経て、姿見へ戻るルート。
北海岳から白雲避難小屋方向へと下り、白雲岳の裾野を捲くようにして、お花畑に囲まれた縦走路を進みます。
雪が残る地形なので、お花に欠くことはありません。
縦走路の分岐点まで登り返しすと、避難小屋まで残り僅かの距離。
8月下旬は、17時頃でもこのくらいの明るさなので、これから到着してゆっくりテントの準備をしても大丈夫。ただ、小屋の管理人さんにご迷惑をかけないように、小屋で宿泊する場合は、もう少し早く到着したいところ。
目的地の白雲岳避難小屋とキャンプ指定地が見えてくると、高根ヶ原とトムラウシ山が見えてきます。
完全に晴れていれば圧巻。
キャンプ指定地に到着。まずは小屋へ出向いて受付を済ませます。
受付を済ませたら、協力金300円を支払います。
標高が高いので、真夏でもかなり冷えみます。まずはしっかり着こんで水分補給を済ませてから、素早くテント設営と寝床の準備、着替えもしっかり済ませましょう。
水場は白雲岳側に戻るとあります。ここでビールも冷やせますよ。
食事はRTE(Ready To Eat:調理せずに食べられる物の意)で簡単に済ませ、雲の流れを見ながら夕暮れのトムラウシ山や化雲岳、忠別岳の眺めを楽しんで。
モルゲンロートのトムラウシ山を楽しんだら白雲岳へ登ろう!
日が暮れた後もお楽しみは続きます。
深夜は、満天の星空を楽しむことができ、夜明けは4時過ぎから、トムラウシ山までの縦走路が朝陽を浴びて輝きます。
早朝は霜が降りるくらい冷え込みますが、5時台には撤収を完了して、元気に出発しましょう。
テント場にも日の光が差し始めて、大雪山の1日が始まります。
後ろ髪を引かれながら、白雲岳の山頂を目指しましょう。
チングルマのほとんどが綿毛になっていますが、この付近は万年雪が残るため、最も遅くに咲くチングルマが8月後半でも見られます。
大きな岩が集積された白雲岳は、山頂の下に野球場のような広場があります。
白雲岳の山頂は、360度のパノラマと言ってもいいくらいの展望台。
眼下には大雪山系の全てが広がっています。
谷筋に雪が残ることから、旭岳とゼブラ模様として有名な風景。7月が見どころ。
縦走路へ戻ると、東大雪の山々も一直線に眺めることができます。
午前8時を過ぎると、また一気にガスがかかってしまうことも。
気温が上がるとともに、雲も上昇してきた感じですね。
こうなってしまうと、もはや楽しむことができません。移動に専念するか、下山するといったところでしょう。
高度を下げると、やはり晴れ。
いかがでしたか?こうやって見ると、旭岳は素晴らしい山ですが、せっかくなら白雲岳まで足を延ばして、高根ヶ原やトムラウシ山、北大雪や東大雪の山々も眺めたいところですよね。
みなさんもテントを背負い、旭岳の向こう側の景色を見に行きませんか。
この記事は2016年8月27日~28日の山行をもとに作成しました。