今日は韓国釜山にある金井山の話題。
釜山近郊には多くの山々があり、最も有名な金井山は歴史の舞台でもあります。稜線上には石垣が残り、東西南北の門にはそれぞれ多くの観光客が訪れます。最高峰の姑堂峰手前に北門があり、そこから中腹まで下りると梵魚寺と呼ばれる有名な寺院もあり、ここも見どころです。
多くの観光客は、梵魚寺と金井山城の東門へバスで、また南門へはケーブルカーを利用して訪れるのが一般的なようです。
いっぽう地元のハイカーは、
- バスで東門まで進み、稜線を歩いて姑堂峰を訪れる
- 梵魚寺から姑堂峰へ訪れる
この2パターンが多いようです。
今回はメトロ1号線「温泉場駅」から徒歩で稜線まで登り、稜線上を伝って「姑堂峰」へ。北門から梵魚寺まで下りて参拝をしたのち、メトロ1号線「梵魚寺駅」まで徒歩での山旅を完遂してみました。これから行かれる計画のある方、参考になれば幸いです。どうぞ最後までお付き合いください。
温泉場駅から稜線までの道のり
釜山メトロ1号線は、釜山駅やチャガルチ、南浦、西面といった多くの観光客に人気のエリアを通る路線ですが、北側の梵魚寺や老圃は、観光客よりも多くの地元ハイカーで賑わっている地域になります。金井山の主峰「姑堂峰」だけを目的とすると、メトロで梵魚寺まで行きたいところですが、今回は、金井山の主稜線を歩くことがメインなので、手前の温泉場駅で下車します。
この駅から歩いて15分くらいの金剛公園からケーブルカーで南門へ訪れる方にはちょっと参考にならないかもしれませんが、今回は「完全徒歩」を目指しているので、温泉場駅の3番出口から外に出て、まずは右方向へ歩き始めます。
駅構内にはセブンイレブンがあるので、水と行動食を購入。10月下旬で気温がそんなに高くないので、水は1リットル、サンドイッチ1つ、チョコバー1本だけのお買い物です。レジのお姉さんに何か話しかけられましたが、理解不能なので日本語で「ゴメ~ン、わかんない」と答えると、可愛い顔をクシャっとして残念そうでした。
余談ですが、韓国の女性はきれいな人が多いですね。男の子も背が高くて美形が多くサバサバしてちょっと強引なところもあるので、日本の女性が好むのもうなずけます。
コンビニでは、T-moneyやCash beeなどの交通系ICカードが使えますので、基本的には現金は不要です。
ちょっと歩くと、まるで滑走路のように広い道路が交わる交差点があるので、山側に向かって進路を変えます。傾斜がきつくなるので、ここからすでに登山開始と言ってもいいでしょう。「金井山城」と書かれた案内看板に従って歩き、突き当たったT字路に植物園がありますのでそこを右折、さらに突き当たったT字路を左折して山道へ入っていきます。
そして、グーグルマップで「Muwiam寺院」と書かれた場所まで登っていきます。北東にセブンイレブンのマークがありますが、これは謎です…
途中のSanSeong-roは道幅が狭いうえに車が多いので、脇の林内を歩くようにします。多くのトレースがあり、案内看板もたくさん設置されています。まったく読めませんが、、、
例えばこのような標識。しっかりと作りこまれていて、しかも分かりやすいですよね。日本のハイキングコースを上回っているクオリティですが、ハングルだけというところが惜しいですね。
私は何度か訪韓を繰り返しているうちに、識字が全くできないもどかしさを感じ、ついにフライト中にハングルの勉強をしました。
記号みたいであんなに謎だったハングルが、本当に読めるようになるから不思議。まあ、「1時間で読める」っていうのはちょっと誇大かもしれないけれど、そのくらい読めるようになるのは事実。これから韓国へ行く人はぜひ!勉強しないことは明らかな機会損失です。
さらに道を進みます。この標識を目印にして、先ほどグーグルマップで確認した寺院まで登っていきます。
ここから稜線に出るまでにスライドした人は3人くらい。かなりマイナーなルートだということが分かります。
やがてMuwiam(무위암)寺院らしき建物が見えてきました。道路は結構な急登です。
舗装された坂道って、登山道より疲れると思うのは自分だけ?
寺院の手前に小屋があり、その裏側から登山道に入ることが出来ます。踏み跡が発達したのかどうかはわかりませんが、市民が頻繁に訪れるようなハイキングコースにはこうした道がたくさんあるもの。ここから稜線へと続く尾根を登っていきます。
コース中には、岩がミックスされた箇所が随所に現れますが、基本的にはよく整備されています。と言うより、やはり多くの人の踏み後が発達したような感じです。もともと植生が濃くないんでしょうね。
何やらたくさんぶら下がっています。韓国の山々では至るところにこのようなリボンがが吊るされています。例えば上の画像の例では、「산행리본제작소」と書かれていて、グーグルで翻訳すると「山行リボン製作所」となります。
尾根をどんどん詰めていくと、石垣が見えてきます。ここまで来たら主稜線は間近です。こんな所に石がこれだけ積まれていたら、かなり効果が高い障害物だったでしょう。
稜線上に上がると、先ほどの起点となった寺院への案内標識がありました。目立たず簡素な標識なので、このルートの利用者は少ないのでしょう。それにもかかわらず、事前にほとんど情報収集もせずにここまでやって来これた私。
ここまでのんびり歩いてきたので、温泉場駅から約2時間くらいかかった計算です。
稜線を歩いて東門、北門へ
温泉場駅からこのルートで稜線に上がってきたら、ちょうど南門と東門の中間付近に合流します。
ところどころにお花が咲いているのも、ハイキングを楽しくする要素ですよね。
しばらくすると、稜線上の1つのピークが現れます。ここからの眺めが素晴らしい!
ちょうど手前に見えている、スタジアムの辺りから登ってきました。温泉場駅はそこからさらに右手に見える、高層ビルが乱立している付近だと思います。
東門へは一気に下る箇所があり、立派な階段も設置されていました。なのに、わざわざ階段の脇を歩く20人くらいのツアーがいました。歩きずらい上に環境にも負荷がかかる。理由は謎、、、
東門の手前に、先ほどの道路(SanSeong-ro)が走っていて、メトロ1号線「温泉場駅」からここまで203系統のバスで来ることができます。ここから多くの登山客や観光客で賑わい、子連れのハイカーもたくさん見かけました。トイレも併設されています。
東門までは再び登り基調ですが、道がよく整備されているので、とても歩きやすいです。そして一気に人が増えます。
ここが金井山城の東門です。一般の観光客の人にとっては、ここを見物するために訪れるのでしょうが、実際に来ているほとんど人は金井山の姑堂峰を目指すハイカーさん達です。
典型的な韓国人ハイカーさんのスタイル。多くの女性がピンクやパープル系のジャケットを着ています。男性は青かブラウン系。K2ブランドやミレーのザックも多く見かけますね。
ちなみに、空港でこういうスタイルをしている団体は、韓国人であることが多いようで、「海外旅行先でドレスコードを無視した恥ずべき行動」などと、ネット上で論争があるようです。私もこういうスタイルで飛行機に乗りますし、ジャージで空港ラウンジを利用したりしますが、日本人です、、、
本当かどうかはわかりませんが、「登山者同士の不倫」というのも韓国では話題になっているのだとか、、、奥さんからのケータイに出なくても「登山中で電波が届かなかった」でOK、「汗をかいたからサウナを浴びてから帰ってきた」でOK、などなど、イヤね~。
チョロチョロっとした水量しかありませんが、水場がありました。ここで飲んでいる人が結構いましたよ。
北門のちょっと手前には見晴らしの良いところが随所にあり、休憩するにはちょうど良い感じです。北門付近はピクニック広場のようになって混雑しているため、静かに休みたいならこの付近がベター。
ミネラルウォーターは事前に必ず買いましょうね。今回の行程は6時間くらい歩きますので、夏なら2リットルくらいは持ちたいところ。個人的にはCUで販売している1リットルサイズのボトルが便利だと思います。
コンビニのサンドイッチは2,000ウォンくらいが相場。パンがあまり美味しくないことが多いのですが、比較的コスパが良いと思います。韓国では日本のコンビニで売られているような個包装の中食は少ないので、テイクアウトのお店や売店の店頭で販売している海苔巻きやお餅、果物といった食べ物を山で食べている人を多く見かけます。
日本の食品表示でいうところの一括表示(原材料や賞味期限など)でしょうか。アレルギーを持っている方にとって、海外旅行で一番困るのは食事だと聞いたことがあります。
北門の手前にはもう一つピークがあります。ここからの眺めも素晴らしい。
こうして歩いてみると、金井山は「梵魚寺」から北門を経て最高点の「姑堂峰」だけをピストンするより、東門から稜線を歩くことを強くおすすめしたいですね。
北門から最高点「姑堂峰」へ
さて城壁沿いに歩いて北門へ到着です。いよいよ最高点の「姑堂峰」への登りとなります。私が訪れたこの日は、日本列島を縦断しようとしている超大型の台風の影響で、釜山にも強風が吹いていました。そんな中でも、これほど多くのハイカーが訪れているということは、やっぱりこの山が人気あるということなんですね。
すでに時刻は正午を過ぎていますが、この賑わいです。韓国でのハイキングでいつも感じることなのですが、60歳以上の年配の方よりも40代前後の中年が多く、それと10代~20代の若者も結構多いということ。
北門から30分くらいかけて登り詰めると、姑堂峰のピークに到着します。北門からだと僅かの距離ですが、今回のように温泉場駅から歩くと、5時間ほどかかりました。結構歩いたという実感があります。
山頂は真冬のように耐風姿勢を取っていないと、立っていられないくらいの風の強さでした。
階段で記念撮影している方々、日本人のようでした。海外の山で日本語を聞くと嬉しいですね。逆に日本の山で外国の方を見ると、もっと嬉しくなります。私が住む北海道でも、ここ数年でたくさんの外国人ハイカーさんを見かけるようになりました。
姑堂峰のピークから北西側の景色。今度はナイトハイクで夜景を見に来たいと思いました。
北門から梵魚寺、梵魚寺からメトロの駅へ
北門から梵魚寺まで2kmほどの山道を下ります。北門には水洗のトイレが併設されていますので、ここで用を足して出発することをおすすめします。
北門から梵魚寺までの道のりは、道幅も広くて歩きやすい道ですが、一部には岩がゴロゴロする箇所もありますので、ちょっとだけ気を付けたいですね。
梵魚寺には多くの参拝者と観光客が訪れています。前回訪れた世界遺産の海印寺もそうでしたが、ここにも欧米人がたくさん訪れています。神社仏閣に興味がある方でしたら、ここだけも訪れる価値がありますよ。
【海印寺】へバスで行く方法と伽倻山を日帰り登山する方法|釜山からKTX、大邱からバスで世界遺産へ行こう
梵魚寺からは、車道に沿った歩道を約2.6km歩いて下山します。
車道は市街地から一方通行なので、下り側の車道を下りていきます。するとちょうど大通りに突き当たった辺りが、メトロ1号線「梵魚寺」の駅です。
歩道とは別に、林の中を歩く遊歩道も並走しているので、多くのハイカーは遊歩道を歩いているようです。
メトロ1号線「梵魚寺」駅に到着。この7番出口から山側に少し登ったところにバスターミナルがあり、梵魚寺行きのバス停があります。
山頂からかかった時間は、梵魚寺での休憩込みで2時間くらい。
今回はあくまでもバスやタクシーを使わず完全徒歩にこだわったため、全行程で約6時間を費やしましたが、温泉場駅からバスで東門まで登り、梵魚寺からバスで下りれば、推奨ルートを午前中だけで楽しむことができます。
地元の人達に混じってアクティブに楽しんだ後ならば、遅めのランチでちょっとくらい食べすぎても平気ですよね。そしてその前にサウナ。日本人なら湯船に浸かりたいですよね。
最後までお読みいただきありがとうございました。韓国のハイキングに興味がある方、大邱の八公山にも稜線上を縦走できるハイキングコースがあり、こちらも市街地から路線バスで行くことができます。2019年7月の様子を共有しています。ご興味があればこちらもお読みください。
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