チトカニウシ山は、北見山地のなかでもよく知られた山で、標高は1,446m、国道333号線(旧道)の北見峠から登られます。
残念ながら夏道がありませんが、国道を挟んで南にある天狗岳の裾野には、上質な雪質で知られる「北大雪スキー場」があるように(2018年現在休業中)、チトカニウシ山も昔からスキーヤーに親しまれてきました。
この山も「北海道の百名山」(北海道新聞社)に選ばれてされており、「北海道雪山ガイド」(北海道新聞社)でも詳しく紹介されていることもあって、シーズン中はスキー登山や、残雪期にはスノーシューでのガイドツアーでも登られています。
今回は、雪がまだ少ない11月の終盤に、スノーシューで訪れてみたのでご紹介します。
かなり藪漕ぎがありますので、おススメはできませんが…
国道333号線の北見峠から入山する
旭川紋別道が延伸して、多くの人は、国道333号線の旧道を走ることがなくなりました。
登山口となる北見峠へ行くには、旧道を走るわけですが、旭川方面からのアクセスの場合、旭川紋別道の浮島ICで下りて、旧道を約7km走ると北見峠に到着します。
ちなみに、奥白滝ICで下りた場合は約10kmあります。
私のように、有料道路を使わないで札幌から訪れる場合、国道275号線で滝川市、国道12号線で旭川市、道道140号線で愛別町、旭川紋別道で浮島ICまで行き、国道333号へ入るのが一般的。
この場合、深夜・早朝発でも5時間くらいかかります。
北見峠には駐車前がありますが、入山開始地点は、浮島IC側に300mくらい戻った場所からです。ここにも縦列に数台、駐車することができます。
画像の奥に古いゲート跡がありますが、入山するのはこちらの林道からではなく、浮島IC側にある白いゲートの林道からになります。
地図では、上川郡と紋別郡の境界線を示す一点鎖線(稜線)が引いてあり、その西側に実線道が描かれています。この道路を進むわけですね。
2014年11月に訪れた時には、道路にほとんど雪がありませんでした。
しばらく歩いて振り返ると、白い山々が見えます。
この辺から見えるのはニセイカウシュッペ山付近だと思われます。
2014年のシーズン初めは例年より雪が少ないので、山頂まで行けるかどうか不安になってきます。
大雪山系の山々は、森林限界を超えた領域が大きいため、積雪期の表情が圧巻です。
陽の光を浴びている雪面と、陰になっている雪面のコントラストが大変美しく、ここが冬山の魅力のひとつです。
同行者と次はあそこに行こうと、盛り上がるのもこんなとき。
現在という瞬間を楽しみながら、過去に訪れた山々での素晴らしい記憶を振り返り、将来に登りたい山々の夢までも描いくことができるのは、登山の魅力の一つだと思います。
標高点・950の台上に電波塔があり、道はここで終了しています。
道路を使用するのは、標高930mの屈曲部付近までで、ここから林道を離れてトラバース気味に歩き、東側にある緩やかな尾根に向かいます。
地図上の上川郡と紋別郡との境界線にある稜線で、チトカニウシ山の山頂までは、ほぼ忠実にこの尾根をトレースしていくことになります。
道路を離れて間もなくすると、目指すチトカニウシ山が目の前に現れるのですが、画像のように雪が少ないと、標高1,000m付近からの笹地で、猛烈な藪漕ぎを強いられることに。
バックカントリーに入る際、国土地理院地図の主曲線や計曲線の間隔を見て、傾斜が急だとか、尾根とか沢とかの判断をしますよね。これは誰もが行っていることだと思います。
さらに個人的な見解として、11月から1月くらいの雪が少ない時期に山に入る場合は特に、地図記号の植生についても、同じくらい念入りに見ておくべきだと思います。
針葉樹林、広葉樹林はもちろんですが、重要なのは、笹地、竹林、ハイマツ地とその間隔です。
チトカニウシ山を例にとった場合、標高1,000m付近から尾根の西側一帯が笹地となっており、東側一帯は針葉樹林となっています。標高点・1,258m付近までは、おおむね同じ。
裏付けとしてグーグルマップの航空写真で 確認してみるとよくわかります。
これに雪の量や天候を加味して、ルートを選定する、もしくは滑降すると前進速度と疲労度が全く異なります。雪山ではこういう事前学習が勝敗を分けることもしばしば。
予想通り、標高点・1,258までは笹藪で苦戦。
何度も敗退しようとくじけましたが、無風、暖かい、晴れ、という好条件に背中を押されて最後まで行くことにします。
心は折れても、条件が揃えば行く、これが哲学であり、美学。
「人生は前進であり引き返しはない」というナンセンの言葉が大好き。
もちろん引き返すこともしばしばですが、前進した場合に得られる満足感や自信は、必ず自己の成長につながります。
山頂直下は思い切りハイマツ帯。
地図にもそのように記されています。これだけ雪が少ないと、踏み抜きも半端ではありません。
「北海道雪山ガイド」(北海道新聞社)では、参考タイムが3時間と書かれていますが、藪漕ぎに苦戦して、4時間以上かかりました。それでも誤差の範囲と解釈。
雪山のコースタイムは、2倍くらいかかることも十分想定できます。だから、柔軟な計画変更が求められるのです。
毎年同じことを繰り返していても、季節が変わると忘れがち。
シーズン初めの山行を通じてこういうことを思い出し、厳冬期に決定的なミスを犯さないようにしたいもの。
山頂からはほぼ全周にパノラマが広がっており、天塩岳がきれいに見えました。
とてもマニアックなお話ですが、今度は残雪期の終盤に、雄柏山までの稜線をスピードハイク往復してみたいと思います。おそらく1,000人中1人くらいしか共感できないような山旅でしょう。
※この記事は2014年11月30日の山行をもとに作成しました。