今回は東大雪の石狩岳と秘湯岩間温泉の話題。日本二百名山に選定されている石狩岳ですが、2016年の台風による林道の被災で、従来の登山口が使用できなくなっていました。
ところが、十勝西部森林管理署東大雪支署から2017年8月1日付で発表された情報によると、従来の音更川本流林道からのアクセスではなく、シンノスケ迂回林道、シンノスケ迂回1の沢林道、音更川林道と繋いで、音更川本流林道に合流するルートより、車両の進入が可能になった、ということです。
しかしながら、石狩岳への日帰り登山の主体となる、シュナイダーコース登山口までは、引き続き通行止めとの情報ですので、どうやらユニ石狩岳の登山口(十国峠、音更山を経由して石狩岳へ至るルート)までしか、車で進入できないものと解釈できそうです。
そこで今回は、
- 国道から上記の林道の道路状況を車両で確認
- さらにその奥にある、石狩岳シュナイダーコース登山口までの状況を徒歩で確認
- 岩間温泉までの状況も徒歩で確認
この3点をテーマに遊んでみることにしました。
【追記】
→2018年6月12日付の北海道森林管理局の情報で、通行止めは一部解除されました。そのため、この記事の本文は過去情報となります。以前の状況はこうだったと読み物として見てください。
なお、岩間温泉への林道情報は更新されておりませんので、変化はないものと思います。
ユニ石狩岳登山口までの林道状況
まず、国道273号線のどこに林道の入り口があるか、というところから話を始めます。
上の画像は、糠平から大雪湖へ向かう途中の場所です。つまり北に向かって走行しているところになります。この上士幌から47㎞地点を過ぎたところがシンノスケ迂回林道の入り口になります。ちょうど上の画像では、ブレーキランプが点いている前方の車両が林道に入っていくところですね。
林道の入り口には新しく看板が設置されていました。もしかすると、以前からあったのかもしれませんが、記憶にないところです。
上の画像のように書かれています。
- 上川町側のユニ石狩岳登山口へは降りられません。
- 石狩岳から沼ノ原登山口へは降りられません。
- 石狩岳からシュナイダーコースへは降りられません。
この内容については、登山道そのものの状況より、林道が通行できないのが理由と解釈することができます。
- 上川町のユニ石狩岳登山口については、ユニ石狩林道が平成23年9月以降、林道決壊により、通行止め(上川中部森林管理署のページより引用)
- 沼ノ原登山口(クチャンベツ登山口)については、層雲峡本流林道が通行止め(上川中部森林管理署のページより引用)。またヌプントムラウシ登山口についても、ヌプントムラウシ林道が大規模災害により当面復旧の見通し無し(十勝西部森林管理署のページより引用)
- シュナイダーコースについては、引き続き通行止め(十勝西部森林管理署のページより引用)
となっており、五色岳まで縦走するのは車両の関係上、あまり現実的ではないので、ユニ石狩岳登山口からピストンするしか選択肢はない、と考えられます。
ちなみに、西クマネシリ岳へ通じるシンノスケ3の沢林道は、路面洗堀のため通行止めです。
地理院タイルを一部加工して引用
まずは、シンノスケ迂回林道へ。
途中シンノスケ4の沢林道との分岐がありますが、通行しないようにコーンが置かれており、道路状況も明らかに異なるので、迷うことはないでしょう。
また、ユニ石狩岳登山口までは、とてもフラットな砂利道で、直線も多いため、時速30㎞以上で走ることができます。それでも、動物との接触防止や安全走行のため、日中でもライト点灯、キープレフト、速度順守で走りたいですね。オフローダーの中では林道暴走族なんてワードがあるくらいですからね。
さらに進むとT字路があり、右折するとシンノスケ迂回1の沢林道になります。ここは間違って直進してしまいそうな場所ですが、前方にコーン置かれており、進入しないように促してくれています。
シンノスケ迂回2の沢林道も、コーンが設置されており、道なりから外れますので、間違って進入する心配はないでしょう。
途中、右側に北海道開発局の雨量観測所があり、広場になっております。
その周辺に玉砂利が敷かれて、道路を補修した形跡がありました。
その後の音更川林道の直前数百メートル区間にも、玉砂利が敷かれた部分があります。私のスクーターでは走行が困難だったので、デポしてここから歩きました。
最初、雨量観測所のところにデポしたのですが(画像は国道側を向いています)、もう少し進めて、音更川林道の手前数百メートルのところから歩きました。
音更川林道は、とても走りやすい路面で、登山口までバイクで行くべきだったとちょっと後悔したりして(泣)
やがて、またT字路があり、左折すると音更川林道に入ります。
正面にも北に延びる林道が続きますが、先ほどのシンノスケ2の沢林道の起点へ戻ると思われます。ピンクテープがぶら下がったトラロープが張られ、進入できないようになっています。
音更川林道は、音更川本流林道で合流します。4kmちょっとありますが、路面状況がとても良く、ほとんど下りなので、徒歩でも1時間程度でユニ石狩岳登山口へ到着できます。
音更川本流林道との合流地点には、通行止めの表示があります。十勝三股のゲートからここまでの区間と、ユニ石狩岳登山口から先の区間、要するにほとんどの区間が、通行止めということですね。
ユ二石狩岳の登山口へ到着。車が3台停まっており、うち1台はゲート付近で一緒だった車両、もう1台は歩いている時に、追い抜いていった方の車両です。
ゲート出発が4時20分だったので、残りの1台は、10時30分にはすでになかったため、それより早くから来ていたか、前日から入山、または車中泊されていたものと思われます。帰りは、ゲートを塞ぐ形で車両が1台増えただけなので、この日の入山者は、私を含めて5組ということでしょうか。
いずれにせよ、登山口にはせいぜい4~5台くらいしか、駐車スペースがないため、配慮が必要です。
なお、ユニ石狩岳への登山道は、笹が刈り払われていまいた。
登山口より先の音更川本流林道については、この文章を読む限り、徒歩での通行は問題ないと解釈して良さそうです。
石狩岳シュナイダーコース登山口までの状況
さて、ここからが本題です。
自転車で御殿大橋まで行けるだろうか?と考えている人もいるかと思いますが、状況は上の画像の通りです。前半は特に被害はないのですが、後半は道が無くなっています。約2kmしかしないので、素直に歩いた方がいいでしょう。
御殿大橋手前にあるシュナイダーコース登山口です。
もともとはここが駐車場でしたが、今はご覧の通りです。
右の大きな案内板の位置が低くなった気がします。足がほとんど埋まってしまったような、、、
2012年に訪れたときの植生は、こんな感じでしたので、かなり荒れたしまった印象です。
以前は、案内看板が木に設置されていましたが、地面に、、、
外れていたものを、誰かが立てかけてくれたのでしょうか。
上の画像は2012年のもの。
トイレもご覧の有り様です…
いずれにせよ、御殿大橋までは、徒歩で来ることができました。
さて、その先が核心部になります。ここから尾根に取り付くまでが、川に沿って左岸に道が付けられていました。
ところがご覧通り、スタートしてからしばらく左岸は土砂で覆われています。5年前の記憶を辿って、川に沿って歩きます。
ところが決定的な過ちを犯してしまい、2万5千図を自宅に忘れ、オフラインのGPSも林道部分の地図しかダウンロードしてきませんでした。頭の中にある記憶が頼りです。
途中で左岸に夏道を見つけ、標識もありました。でも笹に覆われて不明瞭で、崩れた場所に消失してしまいます。
藪が濃いので、3mくらい崩れた場所を下りて、川の中を歩きますが、この後は夏道を一度も発見することが、できませんでした。
もう、面倒くさいので、川を何度も渡渉しながら、上流を目指すことにします。
どちらかと言うと、右岸のほうが開豁している箇所が多いので歩きやすいです。
頭の中にあった概念は、尾根に取り付くまで約30分、直前に左岸から右岸に渡渉する、という内容でした。そのため、右岸を歩いて右側を見ていれば良い、という誤った認識です。
実際には、この二十一の沢の正面にあるのがシュナイダー尾根で、途中で右股に入って、左側に取り付くのが正解です。
上部がガスに覆われて、確認できなかった理由もありますが、おそらく途中で二十一ノ沢の左股に入ってしまったようです。
結果的にシュナイダー尾根の現状が、どうなっているか、というところまで確認できませんでしたが、非常に初歩的なミスなので、あっさり引き下がります。
いずれにせよ、夏道が消失している現状と、捲き道やマーキングがないという点を踏まえると、一般登山者向けではない、ということでしょうか。これから行こうとされている方、この手の山行に慣れている場合を除き、推奨しません。
その後の情報では、シュナイダー尾根の登山道は問題なく歩けるとのこと。核心部は登山口から御殿大橋までの間のようですね。でも、すぐに捲き道ができて親切にマーキングもされるでしょうね。
何十回も渡渉して、久しぶりに沢で遊びたい、と思いながら次は岩間温泉を目指すことにします。
余談ですが、登山中に静寂を感じたい場面でもなければ、以前はよくラジオを聞いていました。それが最近ではスマホでオーディオブックを聞くことが多くなりました。音楽だと飽きちゃいますし人の話のほうが勉強にもなるのでおススメです。クマ鈴と併用して、ヒグマ対策にもなるかもしれませんしね。
通話用のガラケーを1台、カメラの予備でもあり、GPSでもあり、オーディブルを聞くためのスマホを1台、テント泊や停滞のときなどに、本を読んだり映画を観たりするためのFireタブレットを1台と、ハイキングにもモバイル端末が必須になるような時代になりました。私のようなオッサンにとっては時代について行くのがやっとです。
東大雪の秘湯、岩間温泉の現状はいかに?
岩間温泉については、2016年の段階で訪れた人のブログ情報で「消滅した」との記事を読んだことがあり、既知の事実になっています。
でもせっかくここまで来たのだから、自分のこの目で確かめたいと思います。
もしかしたら、誰かが密かに浴槽を復活させているかもしれません。無許可で作ると、自然公園法に抵触しますが、、、
まずは林道状況から。
御殿大橋はその原形をとどめていますが、土砂が一部流出しています。その後の林道もつづら折りになるあたりで損傷が目立ちますが、修復はできるかと思います。
標高850mの直線は、約700m区間において全く損傷はありません。帰りはここを気持ちよく走ることが出来ました。
左側に崖の斜面が現れると、こんな感じ。倒木が道を塞いでいますね。
川が近づくと、今度は林道が流出しています。ニペソツ山の十六の沢林道と同じ感じです。十六の沢林道については下記の記事にて。
【ニペソツ山】杉沢コース登山口へ通じる16の沢林道の被災状況について
で、岩間温泉への林道ですが、これはもう復旧しないでしょうね。復旧する意味がないと思います。
さて、ここから川に下りて川沿いに歩くことに。
以前の林道は、川を渡渉して対岸(左岸)に点線道が延びており、岩間の湯の手前に駐車していました。そこから再び徒歩で渡渉して温泉に入るわけです。
車で渡渉するのを避けて川の手前の駐車スペースに停車して、右岸に付けられた捲き道を徒歩で岩間の湯まで行くことも可能でした。これだと一度も渡渉しなくて済みました。
ところが現状ではどちらの道もありません。渡渉せずに川の右岸をちょくちょく川に入りながら進んだ方がいいです。その方が歩きやすいばかりではなく、岩間の湯跡地を見落とす心配がないからです。
で、しばらく歩くと岩間温泉に到着します。最初はわからないかもしれませんが、お湯で地面や斜面が変色しているのに気づきます。
見るも無惨な岩間温泉2017年8月の現状。かろうじて一部のホースが生きており、お湯が流れています。
おっと!熱いお湯が流れています!
砂を少し掘って、靴ごと足湯を楽しんでみます。
やっぱり靴も脱いでしまおう!湯温がちょうど良い☆
ちなみに2014年にニペソツ山に登った直後の状況は、こんな感じでした。
当時の残骸も至るところに散乱していました。重くて長いホースも数百メートル下流まで流されています。自然の力は凄いもの。
30分くらい楽しんだのち、音更川林道の登りに差し掛かる2km地点くらいまでジョギング。今日は登山をしていませんが、たまにはこういう遊びもいいですね。
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