こんにちは!コモ子@やまたび北海道(@ComocoHk)です。
今日の話題は増毛山地の群別岳。北海道在住で登山の愛好者であれば、誰もが憧れる群別岳です。
群別岳へは夏道が無いので、基本的には積雪期のアプローチとなるわけですが、その鋭い山頂部が人を寄せ付けず、増毛山地の厳しい気象条件も重なって、一部の人にしか登れない印象が強いと思います。
でも、実際は残雪に訪れている人が多い様子で、ウェブ上でも情報共有されています。
そんななか、私も群別岳にやっと登ることができました。2017年の大型連休は、中盤以降連日の好天が続き、北海道内でも夏日を記録するほどでした。
連休最終日は7日の日曜日ですが、翌6日は雨が降る予報。実質5日が連休の最終日と言ってもいいでしょう。降水確率はゼロ。行くなら今しかないということで、すぐに行動します。
この記事では私の山行をもとに概要を説明し、これから登る方に向けて計画の手助けをしたいと思います。登山は季節を問わず情報収集が大事。なるべく客観的な表現を心がけて記事にしました。
しかし、誰でも群別岳に登ることができるということを確約するものでもありませんし、推奨しているわけでもありません。ただ、時期さえ選べば、イメージしているよりも難しくないですよということを実体験を通じて紹介していきたいと思います。
群別川沿いのゲートから1時間林道を歩く
このルートの起点となるのは、群別川沿いの林道ゲート。
札幌の自宅を出発したのが3時40分。ゲート到着は5時30分です。林道はスリックタイヤのスクーターでも走れましたので、道は良好で残雪もありません。
この時点ではまだ車両は1台もなく、準備をしているときにちょうど1台がやってきたところ。5月初旬は、すでにシーズンは終わりかけているのでしょうね。車両は道路わきに縦列に駐車することができますが、ゲート前は、万一開放することも考え、また、車両の転回も考えてスペースを確保しておきましょう。
事前に収集した情報では、早い人では林道歩きが45分くらいとのこと。私なら1時間はかかるだろうと見積もっていましたが、やはり1時間かかりました。この林道、お花がたくさん咲いていますが、道は直線が多くて飽きます。
快調に歩き始めて、群別川に架かる橋を渡ってしばらくすると、1か所だけ崩落している箇所がありました。歩行に支障をきたすことはありませんが、深夜早朝に歩く場合は気をつけたいところ。林道歩きは、暗い時間帯でもヘッドライトなしで歩く人がいるようですが、こういう場所があることも想定して、ライト点灯をしましょう。
この付近から登り基調。ちなみに、川が近い林道では水の音がうるさいため、ヒグマから気付かれずに、至近距離まで接近するリスクがあります。
林道の終盤は雪が残り、腐っているので歩きずらいです。もっと下まで雪が残ると、スキーのほうが早く歩けます。
終点はちょっとした広場になっており、左側に踏み跡程度の小道があります。そこから林内に入り、ちょっと進むと沢に差し掛かります。
沢を渡渉して、広い尾根に取り付く
林道終点から続く小道を進み、沢に合流すると、正面に小道が登っていくように続いていますので、ここで渡渉します。
雪解けが進んで増水気味ですが、飛び石でクリアできます。
できれば靴を覆うビニール袋を準備しておくといいでしょうね。ちなみに奥徳富岳へ登る場合も、ここまでの経路は一緒。
渡渉してからも、ややしばらく小道が続いていますが、まもなく尾根に取り付き、傾斜が緩くなってからは、ほぼ直線的に緩やかに登っていきます。
ところどころにマーキングがありますが、広い平坦地では他人が付けたマーキングは当てにならないことが多いので、方角を確認しながら一直線に進みましょう。
そうして、地形図上の標高点・609まで登ると、いよいよ群別岳が見えてきます。地理院地図を見ながら確認してくださいね。
ガスがかかっていなければ、画像のように群別岳の全容と、これから歩くであろうルートの全体が見渡せます。かなりの標高差を感じずにはいられませんが、しだいに核心部へ入っていくのでテンションが上がることでしょう。
一直線に進みたいところですが、ここからは大きく左側を巻くように進んでいきます。
いくつか小沢の地形を横切りながら、群別川に沿って、・648下の増田の沢を目指します。
スノーブリッジを渡って一気に標高を稼ぐ
正面にこのコースのランドマークとなる大滝と、稜線直下の真っ白な斜面を見ながら、スノーブリッジを渡ります。
5月にもなると沢の一部が開いているので、安全な場所を見極めながら慎重に通過しましょう。
さて、沢を渡渉してからが正念場。
ここから一気に高度を稼いでいきます。
左手には幌天狗へと続く長い稜線。こちらのコースはスキー遊びにおススメです。浜益御殿に登るより開放的な斜面を楽しめることでしょう。そして、幌天狗からの眺めも素晴らしく、一面真っ白な風景に感動すること間違いなしです。
でもこの時期にもなると、至る所で全層雪崩が起きるので、幌天狗から先の群別岳へのルートを歩くなら、4月前半くらいまでになるのでしょうか。
幌天狗の記事はこちら
【幌天狗|浜益10峰】無名の三角点がイチ押しの山である理由は、、、
振り返ると、浜益の里山「黄金山」。かなり特徴ある山容をしています。浜益温泉付近から見ると、迫力ありますよね。
10年以上前にガーミンのGPSを使っていましたが、当時から比べると、最近のGPSはその信頼性や精度、使いやすさは飛躍的に向上しました。今ではスマホのGPSアプリも大活躍です。
それでもアナログの2万5千図とコンパスは、必ず持つようにしています。今や、いざという時でもGPSのほうが頼りになるくらいGPSは優れていますが、アナログの道具は持っているだけで安心感が得られるから不思議。それと、使うと感覚が養われます。
沢を渡渉してから、標高差にして約400mくらい高度を上げると、幌天狗からの稜線とぶつかる岩稜帯(通称南岩)が見えてきます。
トラバース気味に稜線へ登りますが、この付近の傾斜はまだそれほど急ではないので、滑落するような危険性はありません。
南岩のトラバースを慎重に憧れの群別岳へ
いっぽうで、南岩の基部のトラバースはとても急斜面なので注意が必要です。
画像の右側の斜面を巻いて行くのですが、先端部を目指して登り過ぎてしまいがち。南岩の上を歩かないことくらいちょっと考えればわかるようなものですが、ついつい南岩へと一直線に登ってしまうんですよね。
その場合、ちょっと進退窮まりながらも、ハイマツと灌木の急斜面をキックステップで慎重にトラバースしていきます。もう少し下の平坦地形を行くのが賢い選択です。
途中にクラックが発生している箇所がありました。この付近はまだ急斜面ではありませんが、全層雪崩の予兆とも考えられます。ここはスピーディに通過したいところ。
岩稜の基部を巻くように急斜面を一歩一歩トラバースして、やっと稜線まで間近に迫ると、群別岳の山頂を捉えることができます。
山頂に向かって右を見ると奥徳富岳、左は浜益岳、後方に幌天狗。すべてこの山域の名山ばかりです。山頂に立つといったいどんな景色が広がっているのか、とてもワクワクすることでしょう。
ちなみにこの時期は、サングラス、帽子、日焼け止めクリームは必須アイテムなのでお忘れなく。
群別岳の山頂までもう間もなく。最後は意外と安全な斜面で、ちょっと拍子抜けするかもしれません。
トレースがたくさん付いているので、ゴールデンウィーク期間中は賑わうようですね。
大型連休の終わりごろは、多くの人が「守り」の休日を過ごすので、このように山は空いていることが多いですね。
憧れの群別岳山頂は、全周の眺めが最高だった
そして、群別岳の山頂へ。
林道ゲートから、完全ツボ足で5時間。
ひとり占めできることが多いのが積雪期の嬉しいところ。
山頂からの眺めは、動画を併せてご覧ください。
浜益岳方向の眺め。ここに到達した誰もが、いつか繋げたいと思うことでしょう。
浜益御殿と浜益岳、雄冬山にはこの1か月前に登りました。
【浜益御殿・浜益岳・雄冬山】4月の残雪期にこの3山をスノーシューで日帰りできるだろうか?
山頂まで登らないと見ることが出来ない、暑寒別岳方面の眺め。
高度感抜群!
夏の暑寒別岳から群別岳を眺めてみると、、、
【暑寒別岳|日本二百名山】箸別コースはアプローチが長くて虫がウザいけれど、上部はスッキリして爽やかな高原歩きが出来るんです!
そして定番の雨竜沼湿原と南暑寒岳
【雨竜沼湿原・南暑寒別岳】ゲートパークへのアクセスや服装、7月上旬の開花状況など
こちらは奥徳富岳。いまのところ未踏。
ちょっと無理すればこのまま縦走できそうですが、基本的に無理はしない主義なもので、、、
そして幌天狗と日本海。
下りのルートを幌天狗経由にするのも、スキーなら面白いかもしれません。
実のところ、黄金山の眺めが一番素晴らしいかも。山の評価は高さだけではない、と再確認。
曇り空なので、空の青さがないところが残念ですが、著名な尾根が三方に連なり、一方は崖、こういう山の頂はあまりないでしょうね。
帰路にソロの方1名とスライドしましたが、その他はゼロ。完全に静かな山旅を満喫できました。やはり連休最終日は穴場です。
下山は約2時間30分。水は3リットル携行して2リットル消費、とても暑い1日だったと思います。
あくまでも主観的な感想ですが、最後のトラバース箇所以外には、これといった危険個所はなく、林道歩きを除けば行程もそれほど長くはありませんでした。
- 日照時間が長い4月下旬から5月
- 入山者が多いゴールデンウィーク頃でトレースが多い
- 林道の雪解けが進んで歩きやすい
- 高気圧が張り出して気象条件が良い
- 雪が腐ってツボ足でも歩ける
このような好条件が揃えば、憧れの群別岳も遠くないですよ。
おまけ。今日の目的は新調したザックを試すこと
今回はもう一つの目的があり、秀岳荘さんのセールで新調した夏用のザックを試すこと。購入したのは、サロモンの30リットルシナプスAWというザックとアジャイル17という通勤ランニングでも使用しているザック(2代目)です。アジャイル17は日帰り登山でも多用していますが、残雪期や1泊でも使えるような、もう少し容量が多いザックが欲しかったところです。要件として、
- 腰回りのベルトに大きなポケットがあること
- 軽いこと
- テントと寝袋、水4リットルを入れられる容量
この3点です。モンベルさんのバーサライトパックも候補に挙がっており、はじめは購入予定だったのですが、秀岳荘さんのセールで9,800円(10%割引のさらに5%割引で8,379円)というお値打ちだったこと、カラーが好きなこと、そしてサロモンが好きなこと、それで購入を決めました。
モンベルさんのバーサライトパックは、いずれ購入します。海外弾丸旅行のメインザックになりそうです。
なお、今回はスノーシューを携行しなかったので、このザックで十分でした。構造が非常にシンプルでアクセスしやすく、かなり満足度が高いです。ただし、もう廃盤かもしれません。
ちなみに海外旅行へ行くときに、いつも持っていくサロモンのトレイル20というザックは、登山にはあまりおススメしませんが、前出のアジャイル17は登山でも使えるので最高です。考え方を変えて、このザックに入る程度の物しか持っていかないようにすれば、かなり楽に山旅を楽しめますよ。
また、もう一つ、熊鈴も新調して2代目にしました。
真鍮製の鈴は、音が大きくて音色も美しく、音色に個性がでます。3,000円くらいのお値段でも、それだけの価値は十分あります。
秀岳荘さんには楽しいアイテムがたくさんあるので、私もかれこれ20年以上利用させてもらっています。やはり登山用品の買い物は、リアルの店舗のほうが楽しめます。
この記事は2017年5月5日の山行をもとに作成しました。