ニペソツ山は、東大雪を代表する山の1つで、石狩岳と並んで日本二百名山にも選ばれています。東大雪では唯一、標高が2,000mを超えるのも特徴の一つです。
この山の一番の魅力は、三国峠や表大雪から見る山容や山頂からの景色ではなく、何と言っても標高点・1888(通称「前天狗」)で姿を現すニペソツ山の山頂、その感動的な出会いに限るでしょう。
前天狗でこの感動を味わったら、何度でもリピートしたくなる、そうしてニペソツ山に魅了されたら、今度は積雪期に来てみたと誰でも思うもの。
しかし、この鋭鋒に冬期に登るのはごく限られた人だけで、一般登山者には遠い存在となってしまいます。しかも冬季は南側から登ることが多いので、白いニペソツの眺めは、大雪山系は初冠雪となる10月上旬がベスト、ということになります。
今回は、10月も下旬に差し掛かる快晴の日に、前天狗まで登った山行をもとに、画像を通じて白いニペソツの姿を届けられたら、と思います。
残念ながら2016年の台風被害で、杉沢コースへのアクセスが不能になっていますが、幌加温泉コースが復活するしましたので、再び多くの人にこの感動が伝わる日がやって来るものと思われます。
快晴の白二ぺに期待が高まる!
ニペソツ山は、今まで出会った方との会話のなかで「今まで最も良かった山」として、必ず出てくる山の一つです。
私も10年前のあの感動が忘れられず、再び会いにやってきました。
画像の中央がニペソツ山、左がウペペサンケ山です。こんなに美しい東大雪の山々ですが、道央圏からは遠く、札幌を早朝3時に出発しても、登山口へは7時を過ぎるところが残念。
10月下旬になるのに、駐車場は朝7時でご覧の状況。人気のほどがうかがえます。
平成28年の台風での大規模災害のため、現在は林道の復旧見通しは立っていません。
幌加温泉コースが復活しています。
登山口は、まず十六ノ沢を渡渉するところから始まります。
この時は、丸太橋がありましたが、2017年に再訪したときには流出していました。なんとか飛び石で渡渉します。
渡渉後は、沢の出合にある急尾根を一気に登り始めます。
標高差600mくらいを一気に登り、尾根に出ると傾斜が緩やかになり、南に進路を変えていきます。
しだいに雪が現れますが、青空の下に前天狗がくっきりと姿を見せてくれるようになります。
国道を挟んだ対岸には、大雪山系の最東端にある、西クマネシリ岳(右)とピリベツ岳(左)の眺め。
東大雪の名峰、ウペペサンケ山が朝日を浴びて光り輝いています。冬のウペペサンケ山は特に美しいですね。
通称「天狗のコル」と呼ばれる1,580mの広場は、予想通り雪が深くてラッセルを強いられます。先行者がたくさんいるので助かりましたが、すでに30cmくらいの積雪はあるでしょう。
前天狗への登りをに差し掛かる手前、しばらく緩やかな地形を進みます。
すでに夏道は埋もれていますので、少々読図が必要です。
天狗のコルから前天狗へ
前天狗へは、トラバース気味に高度を稼いでいきます。
正面にはトムラウシ山、右側には石狩連峰を眺めながら。標高1,700mくらいのシーンです。
前天狗への登りにさしかかり、さらに高度を上げていきます。やや進路が南に変わり、後方には石狩連峰からトムラウシ山まで、冠雪した大雪の山々がズラリ並んでいます。
至る所で踏み抜きながらも、頑張って前天狗を登ります。
先行のパーティを始め、この日は20名以上が「白二ぺ」に会いに来ていました。
多くの方が、一眼レフのカメラと大きなレンズを持っているところを見ると、一般登山者よりも、写真撮影をメインに山に登っている人が多い様子。
オプタテシケ山までは、直線距離で約23kmあるのですが、ハッキリと見えるくらい空気が澄んでいました。トムラウシ山も約16km離れています。
ちなみに、下界は紅葉真っ盛り。
そして、ついに白いニペソツ山とご対面
遠くに十勝連峰の峰々がズラリ並んでいます。
ウペペサンケ山。ニペソツ山とは対照的な山容だからこそ、ニペソツ山が引きたっている、ともいえるでしょう。
登山道からちょっと外れたところに標石が。
地形図には三角点や水準点の表示はなかったと思います。
帰りは岩間温泉。※現在は崩壊、在りし日の岩間温泉を偲んで
下山後は、石狩岳のシュナイダーコース登山口を経て、岩間温泉を再訪。
残念ながら、今やその面影すらありません。画像は在りし日の様子。
こちらの浴槽も、跡形もなく流出。
人間が作ったものを自然が破壊し、元通りの自然を再生する、そんなところでしょうか。
幌加温泉さんも素晴らしいですが、糠平温泉の湯元舘さんもおススメ。
糠平温泉は、中村屋さんが有名で私も大好きな温泉ですが、湯元舘さんを利用することが多いです。お湯も雰囲気も大好きです。
※この記事は2014年10月19日の山行をもとに作成しました。