【大平山】お花好きなら一度は登ってみたい

 

大平山は渡島半島の付け根、狩場山の近くに位置し、多様な高山植物が多い山です。しかしながら知名度はそれほど高くなく、シーズン中にみんなが挙(こぞ)って出かけるほどの人気があるわけでもありません。

 

その理由は、短い北海道の夏山シーズンで、数少ない休日の優先順位を付けると、やはり大雪山系に軍配が上がるからでしょう。それと、最も近い都市圏である札幌からでも、意外と遠いことが挙げられます。直線距離はそれほどでもないのですが、道路を走ると時間がかかるのが、この山域の悩ましいところです。

 

一方で、たいていは静かな山歩きができ、花と、海岸線、海鮮料理、温泉も楽しめるため、総合的な山旅という点では、表大雪に引けを取らないでしょう。

 

一度は訪れてみたい大平山。6月の様子をお伝えします。

 

道道の行き止まりが大平山の登山口

大平山

 

国道229号線から道道836号「島牧美利河線」へ入り、9.6km走行して河鹿トンネルを出たところが行き止まり。ここが、大平山の登山口です。

 

札幌市内から出発する場合、

  1. 国道5号で小樽市、岩内町から国道229号を経由するルート
  2. 国道230号で中山峠を越え、ニセコから国道5号と道道を利用するルート

この2つのパターンが考えられ、前者の小樽経由が早そうに感じますが、実のところ距離はほぼ一緒です。

 

むしろ距離は60kmくらい変わりますが、黒松内まで道央自動車道を使用したほうが、移動時間は短くなり、運転が楽になります。

 

 

やや横道に逸れましたが、さっそく出発しましょう。

 

大平山

 

最初は鬱蒼とした林内を進みます。

 

道南はヒグマが多いと言われていますので、対策は忘れずにしたいところ。

 

大平山

 

植物の盗掘が進んで、かなり荒廃してしまったそうですが、初夏はあらゆる種類の花を見ることができます。傷つけないように配慮したいですね。

 

大平山

 

沢地形を抜けて樹林帯を飛び出すと、辺りは開放感ある斜面になります。

 

これまで樹林帯では、日陰を好む花が多い傾向でしたが、ここから先は日なたを好む花が増えていきます。

 

大平山

 

日陰を好む花は地味で色が薄め。一方で日なたに咲く花は色調が明るめです。

 

大平山

 

花にそれほど興味がない人でも、めったに見ることができない品種もあるので、ついつい立ち止まってしまいがち。

 

大平山

 

ウォーミングアップが終わり、いよいよ本格的な登りが始まります。

 

大平山

 

谷はかなり険しく、道南の山らしい特徴的な景観です。

 

大平山

 

至る所にカドバリヒメマイマイがいるのも、この山らしさですよね。

 

 

大平山

 

さて、登山道はどうかと言うと、決して歩きやすいとは言えません。登り基調で斜面をトラバースし、岩場やザレも多いため、浮石など足元には注意が必要です。

 

ストックは、下りではあったほうがいい場面もありますが、全体的には使わない方が楽かもしれません。

 

大平山

 

ほとんど最後まで山頂が見えないところが辛いですが、お花たちがそんなことを忘れさせてくれます。

 

大平山

 

絵本のなかで、お花に笑顔が書かれていることがありますが、本当に笑っているように見えてくるから不思議。自分の気持ちを映す鏡なのでしょうか。

 

大平山

 

さあ、あともうすぐ。頑張っていきましょう!

 

大平山

 

岩場に咲くカタクリ

 

大平山

 

シラネアオイの群生地も

 

大平山

 

頂上台地でおわん状のピークを確認したら、まもなく山頂です。

 

大平山

 

残雪の狩場山が美しい。今年も初夏の訪れを嬉しく思います。

 

大平山

 

初夏の大平山いかがでしたか。固有種のオオヒラウスユキソウやオオヒラタンポポなど、まだまだたくさんの花を楽しむことができます。シーズン中、2~3回ほど通ってみたくなるのもこの山の魅力。お目当ての花の開花時期に合わせて、訪れてみてはいかがでしょうか?

 

宮内温泉

 

帰り道に佇む一軒宿の宮内温泉。

 

こちらに立ち寄らずに帰ってしまうのは、もったいないですよ。大平山への旅の楽しみの半分は、こちらの温泉と言ってもいいでしょう。

 

宮内温泉

 

登山者は、ご当地の温泉や飲食店を利用することで、総合的に登山の魅力を伝えていきたいところ。それが登山人口の増加にも繋がりますし、地域の活性化に寄与することになると思います。地方の衰退化が始まって半世紀になりますが、登山は、地域おこしに貢献できる数少ない趣味だと思います。しかも特定の団体が一時期に集中せず、シーズン中、個々人が継続的にバトンリレーができるのも利点。ふるさと納税とは異なり、行政ではなく民間に直接、売上と言うカタチで貢献できます。

 

特に若い世代の方は、SNSを通じて画像や動画と、個性的な表現で魅力を伝えることで、多くの人を巻き込むことが期待できます。

 

私もこのブログを通じて、登山に興味を抱く方が、ひとりでも増えれば嬉しく思います。

 

※この記事は2015年6月20日の山行をもとに作成しました。