こんにちは!コモ子@やまたび北海道(@ComocoHk)です。
今回の話題は、札幌近郊の山々の縦走について。神威岳から奥手稲山までの雪山+藪山ハイクです。
札幌市の南側には標高1,000m前後の山々が連なっており、多くの山々に夏道の登山コースが存在します。しかしながら、縦走できるような箇所は少なく、積雪期や沢からのアクセスでなければ登ることができない山々も数多いのが現状。
そこで、残雪期に軽装かつツボ足で稜線を繋げてみようと考え、小金湯温泉の百松橋から登る神威岳から烏帽子岳、百松沢岳、迷沢山、奥手稲山、そして春香山までを一気に日帰りしてみる計画を立ててみました。
結果は、5月の連休後ということもあり、少々タイミングが遅すぎたようす。
稜線上でも雪が繋がっていない箇所があり、藪漕ぎに大幅に時間がかかり、春香山まで繋ぐことはできませんでした。
それでも、神威岳から奥手稲山まで日帰りで歩くことができ、スキーの機動力がなくとも残雪期であれば、札幌近郊でとても面白いハイキングが楽しめることがわかりました。
札幌には札幌50峰と呼ばれている山々があります。このコース上には、いくつかの札幌50峰がありますので、残雪期の縦走によって一気に訪れるというのも楽しい歩き方かと思います。
百松橋から神威岳へ登るところからスタート
当初は3月に神威岳から春香山まで1泊2日で歩く計画でした。残念ながらこの計画はスケジュールが合わず、5月まで持ち越すことに。その代わり日帰りで行こう、となったわけです。
神威岳の登山口は小金湯温泉の外れ、じょうてつバス「百松橋」のバス停がある付近から橋を渡ったところからスタートします。
この日は朝5時10分、登山口となる百松沢小屋にスクーターをデポし、ここから神威岳に登り、稜線をつなげていく計画です。
後日、バスでスクーターを回収しようと考えていますので、小屋の脇になるべく邪魔にならないように駐車。
山歩きを始めたばかりの頃に神威岳を訪れたときは、夏の暑い時期だっとこともあってか、行程が非常に長いというイメージがありました。
今回はまだ涼しい時期で、しかも早朝の時間帯だったため、軽快に進みます。残雪もまったくありません。
道は大変良く整備されていて、一部は走ることもできました。競技としてのトレランは厳しい印象がありますが、普段の通勤ランニングのイメージで野山を駆けるのは爽快です。
神威岳の特徴ある山頂が見えてくると、周囲にはたくさんのお花を見つけることができます。山にもすっかり春が訪れていました。
山頂まで約2時間で到着。時間はまだ午前7時過ぎです。
神威岳の山頂部は険しく見えますが、意外と広い地積があって、一休みするには最適です。
ここまでの間はほとんど雪は残っていませんでした。
山々の景色を楽しみながら烏帽子岳を目指す
神威岳から烏帽子岳へは縦走路があります。その途中、右手にはいくつかの著名な山々を見渡すことが出来ます。
まず手前には定山渓天狗山。奥に見えるのは余市岳です。
以前は神威岳との分岐点から、藪を漕いで山頂へ至った記憶がありますが、今はしっかりとした夏道が付いています。分岐点には標識もあります。
烏帽子岳は百松沢山から見ると台形上に見えますが、神威岳から見上げるとその名の通り端正で美しい姿ですよね。
烏帽子岳へ登っている途中で振り返ると、さっき登ったばかりの神威岳を見下ろすことができます。神威岳の山頂部がなぜあのようになっているのか、ちょっと興味深いですよね。
烏帽子岳の山頂付近に到着。神威岳側に雪庇があった形跡があり、まだまだたくさんの雪が残っていました。山頂がどこか明確にわからなかったので、この場所を勝手に山頂と決め、セルフィ―、、、汗
烏帽子岳の山頂付近からは、真っ白な無意根山と、羊蹄山の山頂部を眺めることができます。無意根山の左手には中岳の姿も。
この一帯は今回と同じように5月にツボ足で歩いたことがあります。中山峠から喜茂別岳を経て、並河岳、中岳、そして無意根山へ。再び中山峠へピストンです。そのときの記事もあわせてお読みください。
無意根山|5月の残雪期に中山峠から喜茂別岳、中岳経由でツボ足日帰りハイキング
さて、烏帽子岳の山頂まで約3時間10分。
通常の登山であれば、ここで終了して下山となるわけですが、この旅はそうではありません。
次の目的地は、百松沢山南峰です。百松沢山南峰へは2019年3月にも平和霊園から登っています。そのときの記事はこちらです。
百松沢山南峰の残雪期ツボ足ハイク|札幌の地下鉄沿線にお住まいなら、ドニチカきっぷとJRバス利用で平和の滝入口まで往復で940円とお得です
烏帽子岳から百松沢山南峰とのコルまで標高差200mを下る
実は、この行程の一番の難所は、烏帽子岳の下りなのです。通常は百松沢山南峰からの登りなのでしょうが、今回は烏帽子岳からの下りです。
百松沢山南峰とのコルがある標高点・902まで標高差で200mくらい下りるのですが、どの斜面も急なのです。神威岳側の夏道からトラバースをするのは長靴では危険だと判断し、忠実に稜線を辿り、泥だらけになりながら藪の斜面を下りることにしました。
コルまで約200mの標高差を下りて烏帽子岳を振り返ると、もう後戻りできないという切迫感が湧いてきます。
この時期にこんなところに来る人は、1年に100人、もしかしたら10人もいないだろうと考えると緊張します。ここで滑落して遭難したら、発見されることはないでしょう。
とてもリアリティを感じます。
そして、この辺から神威岳を眺めることができる人は、ほとんどいないかも。この画像、かなり貴重かもしれません。
さて、烏帽子岳から百松沢山南峰までの直線距離は僅かに1.5km。神威岳から烏帽子岳の直線距離が1.2kmだったことを考えると、1時間もあれば到着できると考えていましたが、完全に読みが甘かったです。
雪が繋がっていない箇所がいくつかあり、猛烈な藪漕ぎを強いられて時間がどんどん過ぎて行くのでした。
百松沢山南峰から北峰へ
結局、烏帽子岳からは1時間30分ほどかかり、百松沢山南峰に到着できました。日高山脈のハイマツや低灌木とは異なるタイプの藪たち。彼らと格闘した末に手にした勝利です。
稜線の右に雪を見つけてそちらに行けば藪。左に雪を見つけて再び乗っ越せばまたまた藪。発狂しそうでした。
でも、百松沢山南峰からはこんな素敵な眺めも。
左奥には無意根山、手前に烏帽子岳、定山渓天狗山、余市岳と連なっています。余市岳と無意根山の真っ白な斜面はいつ見ても美しく、札幌の誇りです。外国人旅行者の方々にも、この景色を見ていただきたいと切に願います。
さらに左に目を転じると先ほど登った神威岳。その左奥には札幌岳や空沼岳が眺められます。こちらの山々にもほとんど雪は残っていませんね。
南峰で景色を楽しんだら、次は北峰へ向かいます。
南峰から20分ほどで百松沢山北峰に到着。双耳峰の低い方が北峰で、地図上ではこちらに一等三角点があります。
最高点はさきほど訪れた南峰で、北峰より5mくらい標高があります。
ここに来る途中、南峰からの下りで転んでしまい、滑落気味に尻滑りをして制御できないくらいの速さになり、木に衝突寸前。あわや大惨事となるところでした。天塩岳でも感じましたが、長靴の弱点を感じます。
ここまでの経過時間は約5時間。迷沢山の到着予定時刻を11時で設定していたため、すでにかなり遅れ気味です。
百松沢山北峰から峰越へ、藪漕ぎが酷すぎる、、、泣
百松沢山北峰から次の目的地、三角点△858.5「峰越」を目指します。直線距離にして約3km、地図で見る限り、途中にポコが3か所、平均して標高が850mから900mくらいの稜線を繋ぐことになります。
これまでの状況から判断して、雪が繋がっていないことが予想されます。
実際、稜線上には雪があまりなく、稜線の左右いずれかに雪が繋がっていると信じ、勘を働かせながら進んでいくことになります。
途中、札幌市の街並みが眺められるので癒されますが、大半は藪の中。お気づきの通り、この画像の中にも雪が全く見られません。
進路の読みを間違えると斜面が急で雪もなく、しかもブッシュも濃いという場面が何度もあり、「峰越」到着はすでにお昼12時を過ぎていました。
時間通りいかない場合のエスケープルートはいくつか考えており、
- 峰越から阿部山を通って発寒川に下り、平和の滝へ下山
- 雪が少なくて阿部山へ下りられない場合は、送電線の下から発寒川に下り、平和の滝へ下山
- 奥手稲山から手稲鉱山へ下山
という内容です。発寒川はすでにスノーブリッジがないので、渡渉しなくてはなりませんが、長靴なので大丈夫?
結局のところ、奥手稲山から手稲鉱山へ下山する、選択肢3番に決定!
もうすでに一刻も早くおウチに帰りたい気分、、、
峰越から雪を繋いで一気に奥手稲山へ
幸いにも峰越を過ぎると稜線の雪が途切れることもなく、藪もほとんどないのでスピードが一気に上がりました。この付近は、手稲山を裏側から見られる絶景ポイントです。
次の目的地である迷沢山が見えるのですが、計画より時間がかかっていることと、すでに心が折れかかっているため、寄り道せずに真っ直ぐ奥手稲山へ行くことにしました。
迷沢山にはちょうど4か月ほど前の正月に登ったばかりです。そのときの記事は下記のリンクからご覧ください。
元旦、雪の平和の滝から迷沢山と阿部山登山。手稲山の眺めをいつもの反対側から見てみませんか?
2万5千図を見ると分かりますが、奥手稲山まではかなりフラットで、植生もまばら。ツボ足で踏み抜く懸念がありましたが、幸いにもほとんどなく一気に進むことができました。
奥手稲山の東にある、標高点・920付近からは、石狩湾を一望できます。
スタート地点が小金湯温泉ですから、結構遠くまで来たという実感があります。
3月にスキーで来たら、もうとっくに春香山に着いていたことでしょう。
標高点・920には三角点と書かれた石が倒れていましたが、謎。
こういうのって気持ち悪くないですか。だから雪が無い時期に夏道を外れるのは好きじゃないんです。
奥手稲山から手稲鉱山へ下山してバスで帰宅する
奥手稲山には、山頂標識が2枚。上が冬用、下が夏用、といったところでしょうか。
1年を通じて、奥手稲山には初めて登ることができました。比較的マイナーなピークですが、とても眺めが良くておススメの山頂です。
この時点で時間が15時を過ぎています。先ほど予定したエスケープルート、奥手稲山から星置川まで林道を使い、最終的に手稲鉱山に下山してJRバスで帰ることにしました。この時住んでいた家は手稲区の富丘でしたのでバスで一本です。
見慣れた手稲山の電波塔群も、この角度から見ることはあまりないですよね。やはり、地元の人こそ奥手稲山に登ってみるべきです。
土場から下は雪がなく、夏山シーズンの始まりを感じますね。
この道は、夏道として利用されますが、雪のある時期でも使えるかと思います。ただし、採石場があり、民有地を通過することになるので、採石場の休業日以外は推奨できません。
今回の行程は万人におすすめできるものではありませんが、札幌で生まれ育った者として、いつも見ているあの山並みを繋いでみる意義を強調したいと思います。