今日の話題は雷電山。
ニセコ連山の岩内岳から雷電山までの縦走路についてのお話です。
この区間を7月25日に歩いてみましたので、その様子を中心にお伝えします。
雷電山の概要
雷電山はニセコ連山の一番西に位置しており、この山を最後に日本海へと下っていきます。
夏山登山の対象として見た場合、一番南にある昆布岳と並んで、登る人は少なめ。
この山は「新版 北海道百名山(山と渓谷社)」と「北海道の百名山(北海道新聞社)」のいずれにも選ばれているわりには、あまり人気がないみたい。
夏の登山道は基本的に1本で、西側にある朝日温泉から登るのが一般的です。
今回ご紹介するのは、岩内岳から縦走路を使って高原を歩き、雷電山の山頂へ至るコース。
距離はそこそこあるものの、岩内岳を越えてからのなだらかな丘陵や、池塘やお花畑などが魅力的なので、みなさんにもぜひ一度訪れてみてもらいたいと思います。
まずは岩内スキー場から岩内岳に登る
縦走路の入り口となるのは岩内岳。
岩内町の市街地からクルマで10分くらいのところにある、IWANAI RESORT(岩内スキー場)が登山口になります。
今回は7月下旬ということもあり、登山者はおそらく私だけ。
しかも出発がすでに10時ということもあり、暑くて汗が吹き出します。
さすがにこの時期にもなると、登山道の周りの草も伸び放題で、虫も多くなります。
真夏にみんなが高山へ出かける理由のひとつに、虫が少ないというのもあるのでしょう。
さて岩内岳の登山道では、動物の糞が意外と多く、カエルもたくさん見ました。
8合目くらいまで変化に乏しい登山道ですが、6合目を越えたあたりから、岩内町の市街地が見られます。
この辺りで夜景を見ながら、ビールを飲んだらきっと気持ちが良いでしょうね。
岩内岳山頂からの眺めは、何度見ても飽きないと思う
視界が開けると9合目。
ガレ場を登りを詰めると、縦走路の入り口となる岩内岳の山頂。
天気が良ければ目国内岳はもちろん、羊蹄山やニセコアンヌプリも見渡すことができます。
ここからは岩内町全体の街並みや、積丹半島の眺めが抜群。
今回のペースは、ここまで約1時間50分、時刻は概ね正午です。
山頂で一休みしたら、いよいよ縦走路へ。
現在地の岩内岳の標高は1085m。
縦走路はいったん990mまで標高を下げ、そこから3回のアップダウンを繰り返しながら、4度目の登りで標高1211mの雷電山へ到達します。
右奥に雲がかかっている雷電山と、その左手前に見えている標高点・1174の通称幌別岳。
遠くに見えますが、歩行距離は往復10kmくらいなので、14時くらいには到達できそうな感じです。
ガスの中のお花畑にニセコらしさを感じる
岩内岳の山頂で一休みをしたら、ここから縦走路へ。
まずは下ったところに、目国内岳への縦走路分岐。
この縦走路について、 北海道夏山ガイド①道央の山々では、
”根曲がり竹がはびこりやすく、頻繁に笹刈りされなければコースはブッシュに覆われてくる”
と書かれていますが、今回に関して言えばとても歩きやすい状況でした。
岩内岳山頂までの区間ではほとんどお花を見かけませんでしたが、縦走路にはところどころにお花畑が点在しています。
特にニッコウキスゲが多く、まるで雨竜沼湿原にでも来ているかのような、そんな錯覚になる場所もありました。
幌別岳の山腹にチングルマの群生地
幌別岳の山腹に差し掛かった時、前方にはたくさんの白いお花たち。
ちょっと不自然な感じもしましたが、近寄ってみるとそれはチングルマ。
表大雪の裾合平でも7月中旬から下旬頃に満開になるくらいなので、まさかこの時期のニセコ連山で、チングルマのお花畑に出会うとは思ってもみませんでした。
降雪が多いだけではなく、なだらかな場所が続いているので、きっと雪解けが遅いのでしょう。
五ツ沼はニセコの秘境と言っても過言ではないかも
チングルマのお花畑を過ぎ、雷電山が近くなると、五ツ沼という池塘が見られます。
風がなければさざ波も立たず、鏡のような水面に魅せられるでしょう。
ちなみに「沼」と「池」、この2つの違いが何なのか気になってみたので調べてみました。
- 「沼」は水深5m以内で、沈水植物が生育する天然のもの
- 「池」は水深5m未満で、沈水植物の生育の有無は条件ではなく人工のもの
このように明確に区別をして説明しているサイトを見ましたが、もっと掘り下げて調べていくと、実際のところはどうも明確にはなっていないみたい。
ただ、私たちが山歩きで見るような「池沼」は、「沼」と表現した間違いはなさそう。
静かな雷電山の頂とニッコウキスゲの大群落
雷電山の山頂は、噂通りのだだっ広い平原になっていて、標識があるだけ。山頂標識も朽ちて地面に落ちていました。
ですが、山肌はニッコウキスゲが一面に咲いていて、その奥には日本海と寿都方面の海岸線を見渡すことができます。
時間は13時30分。山頂に着いたとたんにガスが晴れて明るくなってきました。ツイてます。
目国内岳を初めて反対側から眺めて、遅めの下山
帰路の途中、幌別岳に立ち寄ってみましたが、ちょっと藪漕ぎがありそうなので、次回の宿題にして岩内岳へ。
目国内岳をいつもと反対側から眺めることができたのは収穫でした。
岩内岳へは15時15分に戻り、遅めのランチ。そして16時30分には下山完了です。
サンサンの湯さんはいつか訪れてみたいと願っていましたが、今回はバイクということもあり、カゼをひかないように次回へ見送りました。また岩内岳へ再訪する理由ができましたね。