この記事は、道内在住者のためではなく、土地勘のない道外在住の方を対象とした内容になっています。多忙で諦めていた北海道への山旅を、少ない時間、少ないコストで実現できるようにいくつかの提案をし、より多くの人に北海道の山に親しんでもらえたら、という願いを込めて書いています。
前回、首都圏から大雪山の主峰「旭岳」を日帰りするための具体的プランについて書いてみましたが、今回は十勝連峰の主峰「十勝岳」の日帰りについて考えてみました。
まず最初に結論から先に申し上げると、コモ子が調べて結果では、公共交通機関を利用して日帰りすることはできないようです。ですが、旭川空港でレンタカーを借りれば十分可能です。また、レンタカーを借りることができ、1泊2日の旅程を組めるのであれば、大雪山「旭岳」と「十勝岳」の両山に登ることも十分可能になります。
本題である公共交通機関のみを利用して十勝岳を訪れる場合、1泊2日の行程であれば実現可能になります。それでも、宿を早立ちして徒歩で登山口まで歩くか、タクシーを利用することになります。
今回は、十勝岳へのアクセスについて選択肢となる、主な公共交通機関についてまとめてみました。
※2017年時点での情報です。各料金や時刻表などは最新情報をご確認ください。
まずは十勝岳概要から
十勝岳は、広義の意味での大雪山の中では、十勝連峰の中央に位置する活火山です。標高は2,077mと高く、地元でも1年を通じて人気がある山です。トムラウシ山への縦走路もありますが、まとまった休みが取れる方でもなければ、現実的な旅程ではないでしょう。
この山の登山口となる望岳台は、すでに標高が930mあり、活火山ということもあって道中に樹木はありません。また、吹上温泉から三段山を経由するコースもありますが、このページでは推奨しないため、提案には含めていません。裾野を1時間程度多く歩いて、白金分岐を経由して望岳台からのコースへ合流する道があります。
上富良野町営バス
十勝岳の登山口となる望岳台へ直接アクセスする公共交通機関はありません。前出の吹上温泉へは、JR上富良野駅から町営バスを利用します。便数は1日3便ですが、十勝連峰の山麓に最も近い白金温泉~望岳台~吹上温泉~十勝岳温泉を結ぶ道道966号線への数少ない公共交通機関となります。またこのバスは、十勝岳温泉の最も上にある凌雲閣(富良野岳登山口)まで行くので、凌雲閣さんに宿泊して、上ホロカメットク山経由で十勝岳へ登るという選択も可能になります。
▮バス料金
JR上富良野駅地区発、十勝岳温泉地区着 500円
▮運行スケジュール(十勝岳温泉地区まで運行しているもの)
上り路線 | 1便 | 2便 | 3便 |
JR上富良野駅 |
8:52 | 12:49 | 16:31 |
吹上温泉白銀荘 | 9:24 | 13:21 | 17:03 |
国民宿舎カミホロ荘 | 9:33 | 13:30 | 17:12 |
凌雲閣 | 9:37 | 13:34 | 17:16 |
下り路線 | 1便 | 2便 | 3便 |
凌雲閣 |
9:47 | 13:37 | 17:27 |
国民宿舎カミホロ荘 | 9:51 | 13:51 | 17:30 |
吹上温泉白銀荘 | 10:01 | 14:17 | 17:40 |
JR上富良野駅 | 10:30 | 14:20 | 18:10 |
ふらのバス「ラベンダー号」
ふらのバス「ラベンダー号」は、旭川市と富良野市を結ぶバスです。このバスのいいところは、JRとは異なり、途中で旭川空港に停車するところです。またJR美瑛駅、JR上富良野駅へも停車するので、後述する道北バス39番「白金線」への接続にも使えますし、前述した上富良野町営バスへの接続にも使えます。
旭川空港から旭川市内へ行かずに、直接登山口を往復するために利用価値が高いのが「ラベンダー号」です。
▮バス料金
旭川空港発、JR上富良野駅 680円
旭川空港発、JR美瑛駅 370円
▮運行スケジュール
富良野行き | 1便 | 2便 | 3便 | 4便 | 5便 | 6便 | 7便 | 8便 |
JR旭川駅 |
9:30 | 11:00 |
12:15 |
13:40 |
15:30 | 17:15 | 18:15 | 19:40 |
旭川空港 | 10:10 | 11:40 | 12:55 | 14:20 | 16:10 | 17:55 | 18:55 | 20:20 |
JR美瑛駅 | 10:26 | 11:56 | 13:11 | 14:36 | 16:26 | 18:11 | 19:11 | 20:36 |
JR上富良野駅 | 10:46 | 12:16 | 13:31 | 14:56 | 16:46 | 18:31 | 19:31 | 20:56 |
旭川行き | 1便 | 2便 | 3便 | 4便 | 5便 | 6便 | 7便 | 8便 |
JR上富良野駅 |
7:14 | 8:44 |
9:59 |
11:24 | 13:14 | 14:59 | 15:59 | 17:24 |
JR美瑛駅 | 7:34 | 9:04 | 10:19 | 11:44 | 13:34 | 15:19 | 16:19 | 17:44 |
旭川空港 | 7:50 | 9:20 | 10:35 | 12:00 | 13:50 | 15:35 | 16:35 | 18:00 |
JR旭川駅 | 8:30 | 10:00 | 11:15 | 12:40 | 14:30 | 16:15 | 17:15 | 18:40 |
道北バス【39】白金線【42】美瑛白金線
道北バス【39】白金線は、旭川市と白金温泉街を結ぶバスです。道北バス【42】美瑛白金線は1日1本のみの運行ですが、美瑛市街地と白金温泉街を結ぶバスです。旭川空港ではなく、JR旭川駅から白金温泉へアクセスするのであれば、前出の「ラベンダー号」よりもこちらの方が便利です。
▮運行スケジュール
白金温泉行き | 【42】 | 【39】 | 【39】 | 【39】 | 【39】 |
JR旭川駅 |
- | 8:35 | 11:20 | 14:55 | 16:35 |
JR美瑛駅 | 6:55 | 9:26 | 12:11 | 15:46 | 17:26 |
国立大雪青年の家 | 7:25 | 10:00 | 12:45 | 16:20 | 18:00 |
旭川、美瑛行き | 【39】 | 【39】 | 【39】 | 【39】 | 【42】 |
国立大雪青年の家 |
7:35 | 10:20 | 13:05 | 16:41 | 18:15 |
JR美瑛駅 | 8:08 | 10:53 | 13:38 | 17:14 | 18:45 |
JR旭川駅 | 9:00 | 11:45 | 14:30 | 18:06 | - |
首都圏発着。コモ子的十勝岳弾丸登山プラン
前置きが長くなりました。旭岳と違って、ややアクセスが不便な十勝岳。どうすれば公共交通機関中心で週末登山が出来るでしょうか?
冒頭にお話しした通り、レンタカーもしくはタクシーを利用すれば関東からの日帰りは可能です。タクシーを利用するだけの費用を捻出できるのであれば、6時台の始発便で旭川へ飛んで、空港からダイレクトに望岳台へ。十勝岳をピストンして再び望岳台から旭川空港へ戻れば日帰り可能です。これだと財布は厳しいものの、体力的には最も楽です。
さて、本題の公共交通機関に限っての最短での行程を提案します。
パターン①-1 前日に十勝岳温泉に到着し、凌雲閣から上ホロカメットク山を経由して十勝岳に登る
十勝岳温泉(登山口に最も近い凌雲閣さん)に宿泊し、早立ちで上ホロカメットク山に登り、十勝岳へ縦走するパターンです。下山ルートは、往路をピストンして十勝岳温泉に下りてもいいですし、吹上温泉に下りても大丈夫です。いずれもパターンでもJR上富良野駅から町営バスで十勝岳温泉地区を往復することになります。
このプランの難点は、往路でJR上富良野駅での待ち時間が3時間と長いことです。遅めの昼食をゆっくり取ったとしても、時間を余すと思います。登山の行程は、ややゆとりを持ったスケジュールになっています。7月上旬でしたら、朝4時前に出発したとしても、外は明るいので大丈夫です。
出発地 |
時間 | 到着地 | 時間 | 交通機関 |
羽田空港 | 10:40 | 旭川空港 | 12:20 | JAL |
旭川空港 | 12:55 | JR上富良野駅 | 13:31 | ラベンダー号 |
JR上富良野駅 | 16:31 | 凌雲閣 | 17:16 | 町営バス |
凌雲閣 | 5:00 | 十勝岳山頂 | 9:30 | 徒歩 |
十勝岳山頂 | 10:00 | 凌雲閣 | 13:30 | 徒歩 |
凌雲閣 | 13:37 | JR上富良野駅 | 14:20 | 町営バス |
JR上富良野駅 | 14:59 | 旭川空港 | 15:35 | ラベンダー号 |
旭川空港 | 16:20 | 羽田空港 | 18:10 | JAL |
パターン①-2 前日に吹上温泉に到着し、吹上温泉から望岳台コースに合流して十勝岳に登る
このプランは①-2とさせていただきましたが、基本は①-1と変りません。異なる点は、凌雲閣に宿泊するところを、白銀荘に宿泊または白銀荘前でキャンプをするということ。それと、ルートが望岳台ルートに合流して、一般的な十勝岳への登山ルートを登るということです。コースタイムは、上ホロカメットク山を経由するルートとさほど変わりません。ですから、下山は上ホロカメットク山を経由して、凌雲閣へ下りることもできます。いずれにせよ健脚者であれば、下山後に温泉で汗を流すくらいの時間ができると思います。
宿泊代を抑えるのであれば、白銀荘前でキャンプをすることをお勧めします。白銀荘さんでは日帰り入浴ができますし、歩いて5分くらいでの無料で入れる吹上露天の湯もおススメです。
さらに、2連休が取得出来て、前日の早朝の便で旭川空港入りすることができるのであれば、町営バスの第2便に乗って凌雲閣で下車し、その日のうちに上ホロカメットク山に登って避難小屋で夜を明かすこともできます。
スピードハイク、ナイトハイクができる人であれば、凌雲閣か吹上温泉のいずれかから、十勝岳の山頂を踏んで20時過ぎに下山するということも不可能ではないでしょう(推奨しているわけではありませんので、自己責任でお願いします)。
ちなみに、吹上温泉白銀荘さんから望岳台まで車道を4.5㎞歩き、望岳台から登ることも可能です。復路も望岳台に下りて、白金温泉まで車道を5.0㎞歩き、白金温泉からバスでJR美瑛駅へ下りることも可能です。
なお、白金温泉で前泊し、白金温泉から車道を徒歩で望岳台まで歩く選択肢もあります。
パターン② 前日に新千歳空港から北海道入りし、札幌駅からバスで旭川へ移動。旭川駅周辺で宿泊して翌朝にJRで美瑛へ。バスで白金温泉へ移動し、徒歩で望岳台まで移動するパターン
このパターンは、基本的におすすめしませんが、時間がないけれど、体力には自信があるという人向けのプランです。
どうしても1日しか休めない、レンタカーやタクシーは利用しない、コストはそこそこ低く抑えたい、体力は自信がある、という稀な条件を全てクリアするプランです。
羽田空港を18時に出発する飛行機に乗ることさえ出来れば、JRで札幌駅まで移動して旭川駅までその日のうちに移動します。
このパターンでは、札幌から旭川まで高速バスで移動してしまうと、美瑛行きの終電に乗ることができないので注意が必要です。また、美瑛到着が23時を過ぎるので、宿泊先の確保が課題です。
さらに、白金温泉から望岳台までの移動が往復10㎞あるというのが難点ですが、体力に自信があれば、徒歩でも1時間半もあれば着くでしょう。上手くいけばヒッチハイクも可能です。ですから、白金温泉から望岳台までの車道を経由して十勝岳をピストンし、さらに白金温泉まで戻るというのは、11時間10分を確保していますが、それほど余裕は生まれないと思います。
出発地 |
時間 | 到着地 | 時間 | 交通機関 |
羽田空港 | 18:00 | 新千歳空港 | 19:30 | ANA |
新千歳空港 | 20:00 | JR札幌駅 | 20:37 | 快速エアポート |
JR札幌駅 | 21:00 | JR旭川駅 | 22:25 | 特急カムイ43号 |
JR旭川駅 | 22:39 | JR美瑛駅 | 23:12 | JR富良野線 |
美瑛駅前 |
6:52 |
白金温泉 | 7:21 | 道北バス42 |
白金温泉 | 7:25 | 十勝岳 | 12:25 | 徒歩 |
十勝岳 | 12:35 | 白金温泉 | 16:35 | 徒歩 |
白金温泉 | 16:45 | 美瑛駅前 | 17:14 |
道北バス39 |
美瑛駅前 | 17:44 | 旭川空港 | 18:00 |
高速ラベンダー号 |
旭川空港 | 19:35 | 羽田空港 | 21:20 |
AIR DO/ANA共同運航 |
いかがですか?こういうタイトなスケジュールを楽しめる人でなければ苦痛でしょうね…
最後にまとめますと、十勝岳の日帰りに関しては、
- 旭川空港を利用して、レンタカーを利用する(楽・安・早)
- 旭川空港を利用して、タクシーを利用する(楽・安・早)
- 新千歳空港を利用して、公共交通機関を利用する(苦)
という結果になりました。
2日かけることができれば、上記の選択肢に加えて、
- 旭川空港を利用して、バスを乗り継いで十勝岳温泉地区に宿泊する
- 旭川空港を利用して、バスを乗り継いでその日のうちに、登山に入る
という選択肢も増えるということになりました。あくまでもコモ子の主観的なご提案ですので、参考にされる方はこれをベースに再構築していただけると幸いです。
十勝岳温泉、白金温泉地区の日帰り入浴可能な温泉
今回も、本題から外れますが、日帰り入浴可能な温泉の紹介もします。どこも大変素晴らしい温泉です。
▮日帰り入浴可能な温泉(一部抜粋) 2017年5月14日現在