塩谷丸山にはいくつかの夏道が開かれていますが、もっともポピュラーなのはJR塩谷駅から登るコース。いずれのコースも半日で十分楽しめる易しい山です。
標高は629mで、札幌市の藻岩山に登るような感覚で気軽に登れちゃうのが魅力。登山道もよく整備されているため、夏山シーズンの最初に足慣らしとして最適な山なんですよね。
私も毎年一度くらいのペースで何度か訪れており、どのシーズンに登っても余市方面の海岸線の眺めや小樽市街地、余市岳や積丹方面の山並みがきれいで、爽やかな気持ちになります。
今回は、まだ少しだけ雪が残る4月下旬の塩谷丸山の様子についてご紹介します。
高速道路の延伸で登山口周辺が大きく変化
まずは登山口への行き方から。
国道5号線から約1km離れたところにJR塩谷駅があり、駅から余市方面に約100mのところに踏み切りがありますので、線路を横断します。
看板が設置されているので迷わないと思いますが、T字路を右折して登山口へ向かいます。冬は左側の道路を進んで登るのが一般的。
民家の合間に1本の生活道路があり、行き止まりに駐車スペースがあります。
小樽~余市間の高速道路延伸によって、この一帯が大きく変化しました。2018年4月現在では橋梁の手前に駐車します。
「こんな立派になった道を歩いてもいいのだろうか?」と思いながら登山口を目指します。途中、山側にいくつか道がありますが、無視して大丈夫。
「あれ~、このまま高速道路に乗ってしまうの?」と疑いたくなりますが、そのまま舗装路を進みます。
すると…ありました、登山ポスト。ここから登山開始です。
ちなみにガードレールがありますので、将来的にはここまで車両で進入できるようになるのでしょうか?
入山届を済ませていよいよスタートです。ボックスの中には小樽山岳連盟さんが管理するファイルが入っていますので、記入を済ませます。
春の塩谷丸山はお花が多い
雪解け時期にはいろいろな花が咲くんですよね。
都市部に近い低山では住宅地が近いこともあって、本来自生していないような花が咲いていることもありますが、とにもかくにも私たちを楽しませてくれます。
花が大きいのも低山ならでは。高山植物は小さくて可憐な花が多いですからね。
道央圏ではゴールデンウィークが桜の満開シーズンで、世間の話題は桜ばかりになりますが、こうして地面に咲く花も見頃。
さて、はじめは傾斜が緩やかな林内を歩きます。まずは軽くウォーミングアップといったところ。
たまに道の真ん中に小さな杭が打たれている箇所があるので、足元をよく見て歩きましょう。
「山には白や黄色いお花が多いね」子供たちの何気ない発言から、そのような気付きを与えられることがあります。なるほど。
カタクリは個体数は少ないですが、時期的にはこれから増えていくのかも。
一面がブルー一色になるほど集中して咲いている箇所があります。花にはそれぞれ咲く条件というのがあるそうですが、今まさにその条件がすべて揃っているんですね。
頂上台地に上がる手前が一番のがんばりどころ。
上部に残雪があるこの時期は雪解け水が登山道を伝って下りてくるので、足元が泥だらけになっちゃいます。スパッツ着用もいいですが、長靴での登山もおススメ。
頂上台地に上がるとフラットに近い刈り分け道が続き、丸山の山頂部が見えてきます。急登で上がった心拍数を下げつつ軽快に。
上のほうは樹木が少ないので、地形的に傾斜になっている余市方面の視界が開けてきます。
風が強い時やガスがかかるような天候なら、この辺で引き返すのも選択肢のひとつ。山頂はあくまでも目標であって、目的にしないほうが気分的に楽になります。
目的にしてしまうと達成できないときにツラくなりますからね。
おわん状の頂上へは、最後に少しだけ登りがあります。
この時期は夏道が雪の下に隠れてしまいますが、高い方を目指していけば山頂へ着くので大丈夫。途中にピンクのマーキングがあるところには夏道が屈曲して露出していることもあるので、周囲をよく見るといいかも。
まもなく消失する雪渓を繋いで山頂へ。心配な方は軽アイゼンの着用をして。残雪期は転んで滑り出すと、どんどん加速するので慎重に。
この日は最後までお花を楽しめました。
”花がどういうところに咲くのか”を知っていると、見つけやすくなるんですよね。光を好む種と、そうではない種があるのもポイント。水の流れ、岩の陰、雪の際(きわ)など、注目すべき箇所を事前に学習しておくとハイキングがもっと楽しくなります。
最後はガレを登り切って山頂へ。意外と急なので、特に帰り道は注意すべきポイント。
山頂から眺める余市方面の海岸線がきれい
塩谷丸山の山頂はとても開けていて、海岸線が一望できます。
海が近いのでくっきりと見渡せることが少ないですが、爽やかな風を感じて気持ちいんですよ。
全周のランドマークが記されており、現物と対比しながら山頂からの眺めを楽しんで。
山頂からもう少し奥に入ると、見晴台と呼ばれる岩場と神社があり、山側の景色も見渡せます。
山頂付近はスナップショットを撮りたい人に譲ってあげて、ランチタイムや休憩は見晴台を利用したほうがいいかも。
遠藤山や天狗山への縦走路があります。正確には天狗山ロープウェイ登山口からのコースと言うべきかもしれません。
途中の於古発山や遠藤山は知名度こそあまりありませんが、塩谷丸山より100mくらい標高が高いんですよね。
11月になって木々の葉がすっかり落ち、たいていの山々に雪が積もるような時期になった頃のトレーニングコースとしていいでしょうね。
余市町の市街地をズームで。
札幌~函館間の特急列車が無くなって久しいところですが、クルマでのニセコや積丹へのアクセスが良いので、街も再び活気づいてくるかもしれませんね。
南小樽から朝里方向も眺められますが、木々が緑に色付くと少し隠れてしまうかも。
余市岳は遅い時期まで真っ白に輝く大きな斜面が魅力。道央圏では羊蹄山の次に標高があり、存在感たっぷり。
遠くから大きな山を眺めることで「次はあの山に登ってみたい」と思うものですよね。
登山初心者の方にとっては、余市岳は次の目標としていいかも。私も数年に一度のペースですが再訪しています。
下山はついついペースが上がりがちですが気を付けて。
〇冬の塩谷丸山⇩