【十勝連峰】日帰り縦走するにはどこを起点にする?|富良野岳から十勝岳、オプタテシケ山までを繋いでみよう

 

今日の話題は、十勝連峰の縦走について。

 

十勝連峰は、主峰の十勝岳を中央に、富良野岳からオプタテシケ山までの一連の山々のこと。

 

境山下ホロカメットク山などには夏道がありませんが、原始ケ原からオプタテシケ山までの区間には、長い縦走路が付けられています。

 

この記事では、十勝岳温泉富良野岳オプタテシケ山吹上温泉を日帰りで歩いた模様を共有します。

 

十勝連峰の縦走は、どこを起点にするべきか?

十勝岳温泉

 

まず最初に頭を悩ますのが、クルマの問題です。

 

起点と終点を一緒にしなければ、クルマの回収ができません。

 

十勝連峰の主な登山口としては、原始ヶ原十勝岳温泉吹上温泉望岳台あるいは新得側登山口、そして白金温泉のいずれか。

 

しかし、原始ヶ原や白金温泉から登った場合、全区間の往復行程となるため、現実的はありません。

 

そこで、十勝岳温泉、吹上温泉、望岳台、このいずれかになるでしょう。

 

縦走路の中で、時間がかかりそうな区間として

  1. 三峰山周辺の小さなアップダウン
  2. 上ホロカメットク山から十勝岳への登り
  3. 通称鋸岳から美瑛岳までのザレの区間
  4. 美瑛富士のコルから美瑛岳への区間
  5. オプタテシケ山とベベツ岳との間のアップダウン

 

結局のところ、私が歩いたのは上の図の通り。

 

十勝岳温泉⇨富良野岳⇨オプタテシケ山⇨美瑛富士⇨ポンピ沢⇨吹上温泉⇨道道996号⇨道道291号⇨十勝岳温泉です。

 

 

日の出とともに十勝岳温泉をスタート

富良野岳

 

2014年6月28日、スタートは3時40分。

 

この日はほとんどが雲の中での行動。

 

夜明け前はまだ富良野岳がクッキリと見えていました。

 

6月下旬なので、すでに空は明るいはずなのですが、西側の斜面はまだ薄暗い感じです。

 

装備は最小限に抑え、サロモンの旧モデル、XA PRO 3D  ULTRA 2で軽快にスタート。

 

水分は約3リットルとビール1本。

 

美瑛富士南東斜面の残雪で採ることも考慮しています。

 

富良野岳までの行程でその日の体調を把握する

富良野岳

 

十勝岳温泉から、富良野岳手前にある縦走路分岐までのコースタイム(以下CT)は、約2時間30分。

 

今回のコース全体のCTは約23時間

 

午前3時30分に行動開始し、午後7時に下山完了した場合、所要時間15時間30分となります。

 

つまり、CTの概ね65%くらいで行動すれば問題ない感じです。

 

そこで逆算すると、十勝岳温泉から縦走路分岐まで、約1時間40分程度で到達すれば良いですね。

 

最初はウォーミングアップですので、身体が温まらずに、もう少し時間がかかるかもしれません。

 

この区間で体調を見極め、オプタテシケ山まで行けるかどうか、もしダメならどこかを省くかを考えながら行動します。

 

選択肢として考えられるのは、

  1. 富良野岳を省略する
  2. 美瑛富士を省略する
  3. ベベツ岳で引き返す

こんな選択肢があるでしょう。

 

まあ、ベベツ岳まで行くくらいなら、美瑛岳避難小屋で引き返すでしょうが、、、

 

それと、出発地点が十勝岳温泉なので、稜線からのエスケープルートは、美瑛岳と美瑛富士のコル、美瑛岳山頂、十勝岳山頂と考えるのが現実的でしょう。 

 

富良野岳

 

午前6時、十勝岳温泉から約2時間半で富良野岳山頂へ到着。ちょっと寒いのでウィンドブレーカーを着用。

 

十勝岳方向がガスの中なのが残念ですが、そのおかげで水の消費が少ないのも確か。

 

富良野岳

 

富良野岳から三峰山へ向かう途中、ガスが少し晴れて、朝露に濡れたお花畑と緑の山肌が見えます。

 


三峰山のお花畑と、上ホロカメットク山の荒々しさが対照的

三峰山

 

続いて富良野岳から縦走路のコルへ戻り、再び三峰山への登りに差し掛かります。両脇にお花畑が広がり、種類も豊富なので、この一帯はとても楽しめますが、アップダウンが多いため、距離のわりには時間を要する箇所でもあります。

 

三峰山を過ぎ、上富良野岳、上ホロカメットク山をやり過ごし、左手に荒々しい安政火口を見下ろしながら、いよいよ十勝岳への登りに差しかかります。

 

ガスがかかっていると、上富良野岳や上ホロカメットク山の山頂標識に気づかないことがあります。この付近は、足元が固めのザレの区間なので、走ることができるくらい、スピーディに移動できるところですが、高度感があって崖になっているところもあるので、道を外さないように気を付けましょう。

 

安政火口

 

荒涼とした風景が広がる上ホロカメットク山付近

 

十勝岳

 

十勝岳へは坦々とした登り基調で、まだかまだかと思うくらい長く感じます。ガレ場なので、浮石に乗って滑らないように、一歩一歩を慎重確実に登りたいところ。

 


十勝岳山頂は朝から大混雑

十勝岳

 

十勝岳は日本百名山の一山なので、特に道外からの多くの登山者でにぎわっています。

 

縦走路の上ホロカメットク山側を歩く人が少ないので、ガスの中縦走路から突然現れると驚かれます。

 

この旅では、ここまで4時間30分かかり、時刻は午前8時。

 

何度か来ているので、20秒も滞在せずに、次の美瑛岳へ向かいます。

 

十勝岳から殺風景な景観のザレ場をひたすら歩く

十勝岳

 

十勝岳頂上直下の岩場を下りると、新得町側の荒涼とした通称「月面」を進みます。

 

ここはかなりスピーディに距離を稼ぐことが出来るところですが、濃霧のなかでは迷う可能性があります。ただ、道は見えるので見失うことはないでしょう。この辺に雪が残るのも、おそらく5月くらいまででしょう。

 

 

鋸山からは結構下る場面。もっともザレが深い箇所があるので、足を取られて苦戦しがち。道を外すと雪が残るところも。

 

美瑛岳

 

十勝連峰でもっとも荒々しい場所が、ここ美瑛岳の西斜面です。自然の大迫力を感じ取りましょう。

 

美瑛岳

 

その後、美瑛岳をぐるりと巻くようにトラバースしながら登ります。

 

大きな岩が散りばめられた山肌に、低い背丈の草花が点在しており、気持ちを紛らわせてくれるでしょう。

 

美瑛岳

 

そして美瑛岳の頂きへ。縦走の場合、ちょっと寄り道になりますが、ここは十勝連峰で最も眺めが良い場所なので、立ち寄る価値があります。また、休憩ポイントに最適な場所。

 

この日は残念ながら、雲の中。

 

美瑛富士へは、帰り余裕があれば寄ることにしてオプタテシケ山へ向かいます。

 

美瑛富士とのコルまでの下りは、足が疲れるところ。いたわりながら慌てず下ります。

 

美瑛富士

 

美瑛富士の避難小屋へは、東側斜面をトラバースするように道が付いています。

 

ここは縦走路中でもっとも遅くまで雪渓が残ります。滑落するほどの斜面ではありませんが、転ぶと止まらないこともあるので、慎重にトラバース。

 

美瑛富士

 

美瑛富士避難小屋付近にて。

 

いつも思うのですが、オプタテシケ山までの距離表示はわかりますが、化雲岳まで22.9㎞という表示が謎。トムラウシ山は縦走路から離れるので、次の著名な山は化雲岳かもしれませんが、せめて南沼あたりにしておけばいいのでは、と思います。

 

ベベツ岳

 

美瑛富士避難小屋からは、大きな岩場が続く石垣山。

 

お花畑が徐々に増えてしばらくすると、ベベツ岳の山頂です。

 

ベベツ岳からの下りには大きなケルンがあり、ここからいったん大きく高度を下げていきます。

 

オプタテシケ山

 

ベベツ岳のコルまで下って振り返ると、帰り道が憂鬱になるかもしれませんが、そこは次のオプタテシケ山に登るため。 この下りが、オプタテシケ山への行程を盛り上げてくれる、ちょっとしたスパイスになっています。

 

オプタテシケ山への登りも疲れる場面で、最後の方は岩場を通過する箇所も。

 

 

美瑛富士避難小屋付近から1時間20分でオプタテシケ山。コースタイムより早く、時刻は正午を過ぎたくらいです。

 

横浜から来られたという2人組の女性とおしゃべりしながら、ひとりでビール。運動中にお酒を飲むのはややリスキーですが、楽しいから仕方ありません。

 

オプタテシケ山まで来て周囲はガスの中というのは残念ですが、何とも言えない達成感はあります。

 

オプタテシケ山で折り返して吹上温泉へ下山する

美瑛富士

 

次の目的地は美瑛富士。

 

ベベツ岳への登りは厳しいところですが、登ってしまえばあとはほとんど下り基調です。

 

美瑛富士

 

ビールを飲んだせいなのか、それとも満足感からなのか、突然、疲労感が押し寄せてきました。

 

ペースが落ちます。それでも美瑛富士に登ることに決め、14時30分に美瑛富士到着。

 

やや小雨模様の稜線。状況判断を迫られます。

  1. このまま上ホロ分岐まで進んで行って下山
  2. 十勝岳まで進んで望岳台へ下山
  3. ポンピ沢に降りて望岳台へ下山

 結局、稜線で雨に打たれるのはハイリスクと判断。風が強くなれば低体温症になりかねません。そこで美瑛富士避難小屋までもう一度戻り、ポンピ沢へ下ります。

 

美瑛岳

 

美瑛岳をトラバースしながら、ポンピ沢へと下降するルートを進みます。

 

あの急斜面を下山で使うのは膝に良くないのですが、こういう場合は仕方ないですね。

 

途中に遭遇したキタキツネが雪渓上を歩いています。キタキツネやエゾシカはあまり高いところへ登ってこないイメージがありますが、そうでもないようです。

 

美瑛岳

 

小雨のなか下山したため、美瑛岳に虹がかかります。 

 

晴れた日にしか山歩きをしないと、めったに見られません。

 

十勝岳

 

望岳台へ下りる途中でも、振り返ると虹が。

 

望岳台

 

望岳台まで下りず、途中から吹上温泉へ向かう道に入ります。歩きやすい道ですが、意外と長く感じられるかもしれません。

 

吹上温泉

 

十勝岳の登山道から吹上温泉へのハイキングコースを歩き、やっと吹上温泉が見えてきます。キャンパーたちを横目に車道に出て、ここから十勝岳温泉への分岐点となるT字路まで約2㎞歩きます。

 

時刻は18時。すっかり夕方になりました。

 

T字路から十勝岳温泉までは急こう配の車道。「あんなに登るのか」と閉口するくらい見上げる凌雲閣にため息が出ます。最後の試練、歩いたり走ったりしながら19時30分に十勝岳温泉に到着。14時間30分くらいの山旅です。完全燃焼した感がありますが、外が明るい時間を丸1日トレーニングするには、ちょうど良いコースですね。

 

翌年も十勝連峰日帰り縦走をしましたので、そちらの記事もお読みください。

【十勝連峰日帰り縦走】十勝岳温泉からオプタテシケ山まで往復してみた