夏の羊蹄山には、全部で4つの登山コースが整備されており、そのなかでも今回ご紹介する真狩コースは、もっとも人気があります。
登山口にはキャンプ場が併設されているので、前夜にここでキャンプをして出発することが可能ですし、駐車スペースの心配も不要です。
ルート上に避難小屋もあるため、初心者の方にとっては、いざという時に安心できる存在となるでしょう。また、他のコースに比べて直登が少ないと感じるところも、足に自信がない人には魅力的かもしれません。
この記事では、真狩コースの魅力をお伝えするとともに、雪が降る直前の10月下旬に登り、火口壁を下りて凍った父釜の底まで下りてみることを提案します。興味がある方、最後までお付き合いくださいませ。
人気の真狩コースから羊蹄山に登ろう
羊蹄山は「蝦夷富士」と呼ばれるように、実に端正な姿をしていますが、南側の真狩村から見ると、左右のバランスが異なって見えます。富士山もそうですが、上部に雪が残るほうが見た目がいいですが、登るなら9月以降のほうが楽で安全です。
なお、真狩村には道の駅があり、コンビニも至近、温泉もありますので、車中泊をしながら山旅を続けている方にとっては、利便性が高いでしょう。
真狩村から登山口へ赴き、入山届を済ませたら、出発です。
山頂までは5時間くらいを見ておきたいところなので、朝早くの出発が必須。
登り始めてしばらくは視界が開けませんが、周囲が笹の斜面になる頃には、一気に展望が開けることも。
標高を上げて樹林帯を抜けると、上部がよく確認できるのですが、残りの登りが意外とあるので、精神的に辛いところ。
さすがに10月下旬となると、水があるところには氷柱(つらら)が。
8合目付近まで登ると、ニセコ連山を一望できるのがこのコースの魅力の一つ。ニトヌプリはアンヌプリ南肩の陰になって見えず、イワオヌプリはちょっとだけ覗かせています。ワイスホルンは画角から外れていますが、標高点・934のさらに右に位置しています。
標高点・1684から上部を眺めた様子。父釜の火口壁までもう少しです。
避難小屋とニセコ連山の眺めが素晴らしいですね。
最後を詰めると、父釜の火口壁に到着。
羊蹄山はルートがたくさんあるので、山頂まで歩いたり、火口壁を周回する場合は、下り口を間違わないように注意しましょう。
三角点のある山頂は、ちょうど反対側。京極コースや喜茂別コースの上部にあります。標高差はまだ100mくらいあり、反時計回りの方が近く感じますが、時計回りとほとんど変わりません。むしろ、反時計回りのほうがやや険しいので、自信が無い人は時計回りがおススメ。
火口壁から父釜の底へ下りてみよう
いっぽうで、真狩コースの長所の一つに、父釜の底までの標高差が少ないことが挙げられます。
スキーやボードでもなければ、わざわざここまで下りる人などほとんどいませんが、興味がある人は下りてみましょう。
僅か10分で下りられるんですよ。
上部はザレているので注意しながら下りますが、下部は意外と岩と草で覆われています。
父釜の底に溜った水が凍って、天然のスケートリンクに。
吹き出し公園の名水も、元をたどると、ここの水になるのでしょうか。
氷の上に乗ったり、音を出して反響を確かめたりしてみますが、5分くらいで飽きてしまうかも。
再び15分かけて登り返し。30分くらいの時間を惜しまなければ、父釜にも寄ってみてくださいね。
※この記事は2014年11月23日の山行をもとに作成しました。