こんにちは!コモ子@やまたび北海道(@ComocoHk)です。
今日は夕張岳の話題。夕張岳は日本二百名山に選ばれており、花の百名山でも新・花の百名山でも紹介されている人気の山ですよね。
夕張岳単独でのカタチより、周囲の前岳や滝ノ沢岳、熊ケ峰と合わせて、総合的な山容が特徴的。大雪山系や日高山脈の主要な山々からでも、雲海に浮かぶ山頂を確認することも出来ます。
登山コースは夕張市側にメインとなるルート(大夕張コース)、南富良野町側にややマイナールート(金山コース)があります。
この記事では、夕張市側の林道が冬季通行止めが解除される前、5月にシューパロ湖から徒歩で往復40㎞を日帰りしてみた内容をお伝えします。
なおこの後、2019年6月25日にも訪れています。最新の状況は下記の記事をご覧ください。
【夕張岳|大夕張コース】林道ゲートは6月15日から解放 ユウバリソウを始め高山植物が満開
***
平成29年は林道の通行止めが解除にならなかったのですが、平成30年は通行できるようになったため、多くの方が訪れるようになりました。令和元年も6月15日から冷水コース登山口手前のゲートまで入れます。
なお、林道の通行規制に関する情報は、下記の記事でご案内しています。
【2019年夏山シーズン向け】北海道大雪山系・夕張山地の登山口への林道等道路情報まとめ
シューパロ湖畔から鹿島林道を歩いて夕張岳登山口へ
5月、林道にはすでに残雪がないことは容易に想像できました。
でも、高山植物を楽しむことはできないので、登っている人は皆無だと思います。
林道の開通は毎年6月中旬頃なので、そもそもシューパロ湖畔からヒュッテまで林道を歩く人もいないでしょう。
札幌から約2時間の距離ですので、5時前には湖畔を出発することができました。
シューパロ湖から夕張岳ヒュッテまでは、ほぼ一本道です。
厳密には、
- 市道奥鹿島線(舗装区間)
- 鹿島林道(未舗装)
- 鹿島支線林道(未舗装)
という3部構成になっています。大部分が鹿島林道です。
今回は、この区間を歩いたり走ったりして、ヒュッテまで行こうという計画です。
舗装区間は快適に走ることができ、約50分で未舗装区間へ到着。
鹿島林道に入り、未舗装の区間に入ると、勾配が急になる箇所があるので、走ったり歩いたりして詰めていきます。
9.4kmという距離は歩けば長いですが、軽く走れば1時間ちょっとの距離です。
普段から走る習慣がある方であれば、それほど敬遠するまででもないでしょう。林道を走るというと驚く方がいるかもしれませんが、私はフルマラソンの自己ベストが4時間20分程度という、初級レベルの市民ランナーです。
ピンチ!鹿島林道でヒグマに遭遇!
さて、鹿島林道を歩いている最中、ヒグマに遭遇してしまいました。
お互いに気付くのが遅れたため、びっくりです。
状況はこうです。
右側の林内でガサガサという大きな物音がしました。目を転じると、ヒグマ1頭が4時の方向に走って去って行きました。つまり、林道と90度交わる線に来るまで、私もヒグマも気付かなかった、というわけです。彼との距離は50mもなかったでしょう。
これはハッキリ言って、かなり衝撃的。もう、心臓が止まるかと思いました。
林道沿いには、ペンケモユーパロ川が流れており、ちょうどその河畔林にヒグマがいたわけですね。
川が近いため水の音が大きく、ヒグマも私の気配や鈴の音に気付かずに、驚いたのでしょうか。
登山道でのヒグマ対策には、鈴の音だけでもいいのでしょうが、こうした河畔沿いの林道歩きや山菜取りの場合は、もっと対策を強化すべきかもしれません。
これ以降、笛をピッピッと吹きながら体操のお兄さんのように走ることにしました。
夕張岳ヒュッテから、冷水コース登山道を登る
シューパロ湖から2時間10分で、夕張岳ヒュッテに到着。
ここから沢沿いを登っていく冷水コースに入ります。
もうヒグマに遭遇することはないだろう、と笛を吹くのは止めて、ラジオのボリュームを全開にして登り始めますが、ザーザーとノイズが入るとイライラしますよね。
ラジオのノイズが嫌なので、最近ではスマホにダウンロードしたオーディオブックや語学を聞くことが多くなりました。
さて、冷水コースは沢地形なので、かなり雪が残るだろうと思いましたが、5月下旬には雪はほとんどありませんでした。
冷水コースを順調に登り、石原平まで約1時間40分。
一面はすっかり雪になりました。シラネアオイが6月上旬から7月上旬まで楽しめるとのこと。要するにこの一帯は雪解けが遅い、ということでしょう。
残念ながら、この付近から濃いガスに包まれ、前岳の斜面すら見えませんが、地図を頼りに前岳の北側に沿って進みます。
ところどころに登山道を確認することができました。
さて、望岳台の手前に急斜面があり、ここをトラバースします。
雪がびっしりと残っており、滑落が心配です。
経験上、残雪期終盤に滑落するほど怖いものはありません。札幌の百松沢山南峰で滑り落ちてあわや大惨事になる一歩手前の経験があります。その時の山行記事はこちら。
落ちたら数十メートル先で立木に激突して大ケガ、打撲程度じゃ済まないでしょう。命がいくらあっても足りません。
林道を走ることを想定したため、ソールが柔いシューズです。
早朝の残雪はかなり固く締まっており、キックステップが刻めないのです。
アイゼンも持っていないため、真剣に敗退を検討します。
しかし、上部を見ると、雪があまりない箇所があり、ヤブを漕いで進めそうです。夏山でもそうですが、急斜面ではヤブが「使える」ことがたまにあります。
さて、望岳台のトラバースをクリアして前岳の東側に出ると、平坦地が続きます。
いよいよガスが濃厚になり、現在地すら掴めず彷徨うことになりました。
地図を広げてとコンパスを出しますが、高山帯の特異な地形では全体的な様子が掴みずらいと思います。
ところどころに夏道が露出している箇所があるので、少し手掛かりになります。
結局30分以上、進んだり元の場所に戻ったりを繰り返して、諦めたころに運良く夏道を発見。
そして一気にガスが晴れて視界が開けました。
ラッキーボーイです。いやラッキーおじさんか、、、
ガスが晴れたと言っても、あいにく山頂は雲の中。
でも気温が上がっていくのと同時に、雲も上昇するでしょう。
山では現在の状況だけを見て判断するのではなく、時間経過とともにどのように変化していくか、ということを見極めます。
これにはある程度の経験も必要でしょう。
さて、目指す方向がわかったので、どんどん進むことにしましょう。
このペースなら、11時にピークに立ち、18時くらいには自宅に帰れる計算。
しょせん夕張岳ですが、シューパロ湖から歩くとこんな感じになります。でもサブ3.5くらいの市民ランナーさんであれば、私の半分くらいの時間で行けそうです。
世の中にはスゴい人がたくさんいます。
高い目標を持って、ストイックに毎日トレーニングしてるんですよね。山に賭ける情熱が違うんです。
夕張岳の高山植物帯から山頂への道のり
さて、コース中の著名なランドマークとなる、ガマ岩に到着したのが午前10時。
この付近には木道がしっかりと整備されているので、歩きやすいですね。
でも、木道の上に雪があると滑るので、油断はできません。
さらに金山コースとの分岐を過ぎ、山頂直下から振り返ると、前岳から歩いてきたルート全体を確認できます。
残雪がびっしり残る斜面もありましたが、5月後半の夕張岳は、すでに夏山シーズンに入っています。
お花を見なくても良ければ、誰とも遭遇しないこの時期や、林道が閉鎖されて雪が降る直前の10月もおススメです。
山頂直下には神社があるんですね。
北海道の山は歴史が浅いので、山頂部に神社仏閣があることは極めて稀な例です。
山頂から芦別岳へ続く山並みが見ごたえ抜群
午前11時前に山頂へ到着しました。シューパロ湖からおよそ6時間の行程ですね。
360°のパノラマが広がっていますよ。
鋭鋒として有名な芦別岳も、中富良野町の里から見る姿とは全く違う印象です。
夕張岳から見ると、どっしり、という感じでしょうか。夕張山地の全景です。
いっぽう、こちらは芦別岳山頂から見た夕張岳の眺めです。
早朝で太陽の位置の関係もあり、色合いが異なりますが、私は夕張岳からの眺めの方が好きかも、、、
帰路は馬の背コースから下山、マダニに気を付けたい
さて、ここからが折り返し。
下山途中で振り返った夕張岳は、素晴らしい姿をしていました。
ガスが晴れて本当に良かったです。やっぱり登山は、天気を味方につけないとダメですね。
帰り道は馬の背コースから下山をします。
沢沿いの道と尾根道、好みが分かれるところです。
私は尾根地形を登るのが大好きなのですが、真夏の登りでは冷水コースのほうが涼しそうですよ。水があるので、虫が多いかもしれませんが、、、
山頂からヒュッテまでは、写真を撮りながら2時間半くらいかけて下山しました。
林道では頑張ってかなり走りましたが、往路とほとんど変わらず2時間ちょっとかかってました。工事用の車両が往来していたこともあり、ヒグマにも遭遇することはありませんでした。
シューパロ湖到着は15時30分。約40㎞、ちょっと疲れましたが、かなり満足いく山旅でした。
翌日は午前4時30分からの勤務でしたので、自宅に帰ってからすぐに就寝。でも、脇の下に何か違和感があり、鏡を見るとマダニに2か所咬まれていました。
翌々日の午前中に神居尻山に登ったあと、午後から皮膚科で処置してもらい、薬ももらいました。
マダニは日高山脈で咬まれることが多いと言われますが、夕張山地にも多いようです。
もし、咬まれてしばらく気付かなくても、皮膚を引っ張られるような違和感を感じます。ですから、下山後はまだにチェックが欠かせません。
この後にも、日高のイドンナップ岳でやはりマダニに咬まれました。
マダニを見たことが無い方は、どんな生き物か想像できないかもしれませんが、ゴマ粒くらいの小さな生き物です。
咬まれたときは無理にはがさず、クリームを塗るのがおススメです。クリームを塗られたマダニは、窒息して自然に剥がれることが多いのです。
ですから、ファーストエイドキットにオロナイン軟膏やメンソレータムあたりの医薬品を入れておくと、汎用性があっていいでしょう。
ライターの火で炙るやり方は、ケガをする可能性があります。